2010年12月24日金曜日

年末・年始のお休みのお知らせ!

次回の投稿は、2011年1月17日(月)の予定です。来年もよろしくお願い申し上げます。




2010年12月17日金曜日

ブランド・リスニング(傾聴)事例の紹介 (7) ブランド成長の動因 ②

<第45回>

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook
リスニング・マーケティング:Social Media時代の新しい消費者調査 の第37回目です。
「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第11回目です。

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2)見込み客との会話による関与とトライアル:WhiteWave Silk飲料の事例



http://www.whitewave.com/
http://www.silksoymilk.com/


ブランドについてのすべての会話の85%-90%は、オフラインで起こっているー2人以上の人がいずれかの場所で会話をしているーので、オフラインの口コミをリスニングすることによって、顧客についてのさらなるインサイトをブランドが得ることができる。


健康ベネフィットで知られる豆乳飲料のリーダーであるWhiteWaveフーズのシルク・ブランドは、多くの人々が健康的な商品は、おいしくはできないと思っていることを学んだ。


口コミ・エージェンシであるBzzAgentと協力して、WhiteWaveフーズは、トライアルを促進する口コミ・キャンペーンを行った。


BzzAgentは、BzzAgentsと呼ばれるおよそ50万人の個人のネットワークを持っている。彼らは、ブランドをトライすることが好きで、ソーシャルネットワーク内でブランドについて会話をすることや、会話を引き起こし増幅することをー要求ではなくー勧められる。


各個人は、関心に基づいて各ブランドに振り分けられる。


彼らはプログラムに参加することに合意した後、会話の内容をBzzAgentに報告を行う。BzzAgentは、代理店の属性や、関与した人の数、地理的位置、クーポンの数やトライアル・パッケージの配布数の行動といった要因によって、その内容を広範囲に分析する。


彼らのレポートは、テーマと好意度によって分析される。


BzzAgentsの所属する3,000人がシルク・キャンペーンに興味を持った。


そのうちの90%以上が製品を試し、それぞれ3つずつクーポンの配布を行った。


配布されたクーポンのうち、24%が実際に使用された。


キャンペーンの終了時に、70%の近くの人がシルクの購入を続けるだろうと語った。そして、78%がシルクの購入について、自分が影響を与えた人を少なくとも1人を知っていると述べた。


この数字は印象的である。


しかし、より重要なことは、プログラムの成功理由である。


WOMレポートの分析のインサイトによると、「栄養的価値」や「フレーバーの種類」、「味」といったものが、参加者の好意的な意見であった。


これらの知見により、シルクは、市場化と広告をより効率的に行うための改善の機会を与えられた。


シルクやその他のブランドのオフラインのリスニングにとって、包括的なリスニング戦略は、代表的な声が聞かれ、分析され、リスニングされることを確実にするための付加的な「消費者バックヤード」や、「ブランド・バックヤード」ソースを含めることから利益を得ることができることを念頭に置くことが重要である。

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2010年12月10日金曜日

ブランド・リスニング(傾聴)事例の紹介 (7) ブランド成長の動因 ①

<第44回>


Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第37回目です。

「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第10回目です。

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ブランド成長の動因 ①


適切な見込み客を開拓したり、確実な販売戦略で見込み客をフォローすることは、ローカルの配管工からグローバル企業に至るあらゆる規模のビジネスにとって非常に重要なことである。


この目的のために、リスニングは、以下の事例が示すように、顧客の声を反映させたり、会話や製品のトライアルに関与させることによって、説得力のある販売戦略を開発するために使われる。


1)顧客インサイトに基づく営業戦略の開発:CDWの事例

http://www.cdw.com/



2004年以来、CDW(USのパソコン機器などの再販企業)は、コミュニスーペースが構築し管理している3つのコミュニティを通して、中小企業や大企業の声のリスニングを行っている。


コミュニティのメンバーは、ITの意思決定に影響を与え、決定を行い、同僚との相互活動に加わり、CDWの政策や製品、サービスの立案に役立っている。


再販売ビジネス、特にIT関連の企業は、非常に競争が激しく、マージンが小さいことでよく知られている。


彼らは、顧客獲得や取引のリピート、顧客の満足度にうまく対応して成長を遂げている。


不況に見舞われて、CDWは、見込み客へのアプローチを改善し、生産的な関係を築くことを助けることをコミュニティに課すことを決定した。


コミュニティでのリスニングに基づいて、CDWは、次の3つの分野の改善を行った。


①売り込み電話の効率化


②関係性を作るためのベストな営業活動


③ブランドのためのソートリーダーシップの確立


コミュニティ・メンバーは、これまでの中で最も売り込みの電話を受けたと報告した。このリスニングのレポートは、CDWが売り込みの電話の習慣を打破し、差別化しなければならないことを意味している。


メンバーは、言葉や接触するキーポイントのアドバイスを行い、最初の電話をよくするためのインサイトの提案を行った。


実際、コミュニティは、見込み客のニーズや関心の理解を反映し、ベンダー中心の宣伝文句を排除したコミュニケーション方法を考案した。


コミュニティによって開発されたベスト・プラクティスは、ビジネス・ニーズやサービス、賄賂の真の理解を中心に展開するものである。それらは、リスクを減らし、積極的な気持ちをもたらすものである。


1つのキーとなる示唆は、営業マネジャーのためのものであった。それは売り込みの電話のアイディアからもたらされたものである。すなわち、「クライアントの最初の購入についてのあなたの推奨について、真剣に考えなさい」


言い換えると、販売のために売ってはいけない。ニーズを満たし、関係性を作るために売りなさい。


メンバーはまた、価値ある提供や、プロモーション、ミーティングの準備、eメールやマーケティング資料の個人化についてのガイダンスの提供を行った。


多くのIT決定は、入手可能な機器構成の種類やスペック・レンジ、信頼性、ソフトウエア・ライセンス供与期間、価格、取引といった要因により複雑である。


ITバイヤーやインフルエンサーは、通常は、独自のテストや第3者のアドバイスを頼っている。これは、評価や推奨、意思決定プロススの重要な部分である。


CDWのコミュニティは、彼らが信頼できると思った5つのソースの特定を行った。


逆にCDWは、これらの多くの情報サプライヤーと戦略パートナーシップ関係を作り上げている。


そうすることによって、企業は、最高の顧客がよりよい情報に基づいた決定を行うことを助け、究極的には、購買への道をスムーズにするものである。


コミュニティをリスニングすることによって、CDWは、セールス・アカデミートレーニングのインサイトやプラクティスを形式化することができた。


変化は、報いられるものである。アカウント。マネジャーは、より多くの顧客をリクルートしている。彼らは、インターネット・サイトや他のソースから獲得された決められた顧客の4倍の価値を持っている。


顧客価値の平均値が前年に比べて17%も増加した。これは、まさにリスニングによる顧客戦略のパワーの証明である。

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《このBlogは毎週金曜日に更新されます。金曜日がお休みの時は土曜日です。また臨時に更新されることがあります》

2010年12月3日金曜日

ブランド・リスニング(傾聴)事例の紹介 (6) 販売モメンタムの維持

<第43回>

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第36回目です。

「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第9回目です。

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販売モメンタムの維持


売り上げを増加させるために、マーケターは顧客のトレンドや市場環境に適応する必要がある。


以下の映画と車の事例に示すように、リスニング・リサーチによって、ブランドは、変化を理解し、迅速に反応し、セールスを増加させ続けるためのアクションをとることができる。

バズをトラッキングし、インフルエンサーに影響を与える:映画スタジオの事例

ソーシャル・メディアの1つの帰結は、権威や影響力が、批評家やファッション編集者、その他の権威を持った人々の伝統的な主流派の声から、尊敬されるオンライン上の声や単なる人々の会話や他の人との意見の共有に移行することである。


例えば、映画界はこのことを理解し、インフルエンサーに焦点を当てたマーケティングの活動を開始している。


リスニングは、重要な役割を果たしている。


Collective Intellectというフルサービスのリスニング・ベンダーを使って、ある1つのスタジオが、配給されている映画と個々の映画のマーケティング活動を評価し、チケットの売り上げを増やすための戦術を開発するために、リスニング・データを使っている。


CEOのDon Springerによると、映画スタジオは、「より細かいインサイトと分析」を含んだカスタマイズしたレポートを要求している。


これらのレポートは、映画や俳優、観客のグループをめぐるトピックやテーマ、影響力のある作家のリストを含んでいる。


事前鑑賞や特別の内容やプロモーションのようなスペシャル・オファーを持った人々をターゲットにすることによって、スタジオは彼らに影響を与える。


リスニング分析によって、情報がいかにネットワーク間に広がるかのパターンを明らかにすることができる。


とりわけ、熱心な人々の小さなグループの協力を得ることによって、映画の公開の前に関心を盛り上げ、バズを生みだすことを目指している映画にとって、


いつ、どこで、「センシティブ」な情報が外部に漏れるかを明らかにするように分析を行うことが可能である。


そうすることによって、マーケティング・キャンペーンを順調に進め、必要であれば調整することが可能になる。


今述べたことは、本来的な「インフルエンサー」プログラムーそこでは、ブロガーが、ブランドについて書くことを選択してくれるという希望をもって、ブランドが主なブロガーに接近するーよりは、より特別な意味合いを持っている。


ここでの違いは、特定の分野でインフルエンサーである人々を明らかにし、彼らの特定のブランドに対する考え方や感情について理解するためにリスニング・ツールを用いている点である。


ある人は、映画は「宗教に対して非礼である」と思うかもしれない。またある人は、同じ映画を見て、「非常に暴力的」で、「悪い行い」であると感じるかもしれない。


1つかそれ以上の関心を共有する人々と共感し、効果のない広い範囲のメッセージを制作することを避ける、1つかそれ以上のエンゲージメント・プランを立案するためのインサイトを開発するために、これは単に映画ではなくブランドを支援するものである。

パッションを発見し、そしてメッセージを送り、関与する:MINIの事例

2005年にBMW MINIは、再導入による成功を収めた。


しかし、2006年に潜在的な厄介な問題に直面した。新製品の発売によってもたらされる新モデルがカテゴリーに1つも導入されなかったのである。


これは次に様な問題を提起した。つまり、興奮を生みだす新製品の導入なしに、Miniがいかにしてその勢いを保つことができるだろうか。


彼らは何を提供し、語ることができるだろうか。


MINIは、オンライン上のエンゲージメントを増加することと、その活動とセールスとを関連づけることに焦点を当てたソリューションを考え出すために、リスニングのフルサービスのベンダーであるMotiveQuestを使った。


その名前が示唆しているように、MotiveQuestは、消費者のモチベーションを明らかにすることに焦点を当て、オンライン上で人類学研究を行う。


彼らの最初のステップは、カテゴリー・ドライバーを抽出し比較するために、MINIと競合車についてのオンライン上の会話を分析することであった。


結果によると、ドライバーは2つのセグメントー車関係とコミュニティ関係―に分類された。


図1は、会話によるMINIに対する感情は、ユニークで競合車と差別化したものであることを示している。


MINIのオーナーは、車を白紙のキャンバスのように考え、カスタマナイズと修正を通して、彼らのパーソナリティを投影し、それをバーチャルと現実で行い共有することを楽しんでいた。


より深く分析することによって、MotiveQuestは、創造性や発見、参加、協働、ファン/プレイ、自己表現が、これらの発見を引き起こしていたと結論づけた。


以下の引用がポイントをついている。


「他の車の文化に深く関与したことがない。MINIオーナーに出会った時、友人は次のように言っていた。我々の文化は、ある意味、非常に親しく完全にMINIへの妄想であり、またある意味、非常に異なった、つまり車を超越したものである。我々は、もっと個人的レベルでお互いを知っている。」


このインサイトを前提として、MotiveQuestは、関心を高めるために連続的に予定されたメッセージ作成と、絆を構築するコミュニティ活動のための戦略と戦術を開発するために、MINIとそのエージェンシーであるButler, Stern Shine and Partnersと共に働いた。


創造的開発は、特別のメーリングや、ライブイベントを含んでいた。というのは、それぞれのMINIは、ドライバーへのメッセージを個人化するデジタルの識別チップとデジタルの掲示版を含んでいるからである。


メイリングやイベント、掲示版の影響度によって、MotiveQuestは、「オンライン・プロモーター・スコア」―オンライン上で、ブランドを他の人に進めた人々の人数を測定―を開発した。


オンライン・プロモータ・スコアは、予測的である。スコアの増減は、セールスの増減を予測するものである。


リスニングに基づく測定や分析に注意を向けた時、このスコアをより詳しく見ることにしょう


*来週は、リスニングの事例の最終セクションである「ブランド成長の動因」です。

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2010年11月26日金曜日

ブランド・リスニング(傾聴)事例の紹介 (5) 既存製品の改善

<第42回>


Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第35回目です。

「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第8回目です。



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既存製品の改善







商品発売後、マーケターや広告マンは、そのブランドを社会的や文化的、経済的変化やライフスタイル上の変化において、常に現在的に維持しなければいけない課題に直面する。


新たに発生したり未充足のニーズに対して、適切でかつ進化する製品は、一般的には、顧客に幸せを付加し、長い生命を持ち、企業にとっても長期にわたる財政的貢献をするものである。


Tideの象徴的なボックスや、洗浄力やエネルギー効率への特別な関心にフォーカスしているTideのColdwaterのようなP&Gが提供するすべての特定の製品について考えて見よう。


リアル・ビューティのDoveキャンペーンは、単に話題のあるトレンドを反映したものではない。女性や少女についてのグルーバル視点の長年にわたる包括的な理解に基づくものである。


偶然ではなく、これらのブランドは、リスニングに関連している。






コンテンツを新鮮で適切なものにする:BeingGirlの事例






2005年に、P&Gは、少女に関連した問題や関心を議論するためのBeingGirl.comという少女達だけのためのブランド・コミュニティを創設した。そこでは、市場やテスト中の製品について評価してもらったり、気分転換になるような情報を提供したりしている。


Tampax and Alwaysの女性用ケア・ブランドによってサポートされたサイトは、少女達に関連した個人の健康問題についての豊富な情報を含んでいる。


2007年までに、サイトは、18言語に翻訳され、200万人が登録し、世界中にアピールを行った。


少女の会話やコメント、共有されるコンテンツ、トラッキングされる商品、商品のレビューのマイニングの分析によって、P&Gは、少女のモチベーションや好き嫌い、彼女らの考え方の「理由」についてのインサイトを発見した。


さらに、P&Gは、前に述べたFiat MIOの例のように、自信を持って市場の変化への対応やイノベーションの能力強化を加速させる一方、顧客のグローバル理解を文化や国境を越えて、効率的かつ急速に獲得した。


インサイトを発見する一方、P&Gは、少女によって提起される課題やトレンドのトピックを注視することによって、コンテンツの定期的な再構成を行っている。


Tampax and Always(生理用品)は、テスト製品や既存ブランドについての議論や、問題を解決したり製品や少女の使用経験を強化するための改良について特に注意を払っている。


リスニングのベネフィットに加えて、BeingGirlは、売上にも貢献しているようである。


ブランドの角度からサイトを見ると、サイトでのチャットは、Tampax and Alwaysの購入検討に影響を与えているようである。


フォレスター・リサーチのアナリストであるJosh Bernoffによれば、BeingGirlは賢明な投資である。彼はコミュニティは、「伝統的なメディアにおける同じ金額のマーケティング施策よりも4倍有効である」と語っている。






コア・ブランドにユーザーが作った特徴を付加する:ツイッターの事例






ツイッターがリストとリツートという2つの製品イノベーションを行うという最近のニュースは、The New York Timesの第1面をかざった。


メインポイントはヘッドラインである。「ツイッターは、そのフォロアーからアイディアを引きだす」


企業は、ユーザーが何を行っているかを観察し、どの特徴が広くアピールするかを特定し、それらを改善し、中心の製品に組み入れて行く。


リスト機能は、有名人や政治家のような人々をより簡単にフォローするのを助けたり、彼らがフォローしている人から得た投稿を管理するのに役立つものである。


ツイート機能は、メッセージの転送と同じようなもので、ツイッターのその他の多くのアプリでも人気のあるものである。


リツイート機能は、ツイッター・ユーザーやリスニング企業にとって非常に重要なものになった。というのは、リツイートが個人の権威や影響力を測るファクターとして使われるからである。


リツイート機能は、重複した投稿を削除しーこれは管理を簡略化し、統一性を御改善したー、著作権を明確にし、人々がオリジナルの投稿を書き換えることを防ぐことによって、「フィールド・バージョン」を改善した。


ツイッターのこのコミュニティによる開発の実行能力は、そのプラットフォームや、創立者のEvan WilliamsやBiz Stoneの視点に関連するものである。


ツイッターは、ユーザーが予期していない利用方法を生みだすことを可能にする柔軟性と適応性の興味深いバランスの均衡を保っている。


相互に関わる多くの人々がいる場合、彼らが次に何を行うかを予測することは難しいだろう。


「なぜ人々はこれを使い、我々はそれをどのようにより良くできるだろうか」と言うだろう。






ユーザーを動かそう:NASCAR*の事例






*ナスカー、National Association for Stock Car Auto Racing, 全米自動車競争協会






NASCARのレースは騒がしいものである。騒音は、経験の一部でもある。


ESPNは、リスニング・リサーチからインサイトを発見した。それは、レースの観客は、彼らがあたかもレースを行っているかのような高揚を期待している。


ESPNはそれに答えた。


NASCARはそのファン協議会を通して、ファンの声のリスニングを行った。ファン協議会というのは、フルサービスのリサーチ・プロバイダーでブランド・コミュニティの管理会社であるVision Criticalが運営している12,000人のプライベイトなオンライン・コミュニティである。


リスニングを通して、NASCARは、レースの実況について、2つの主な改善を行った:1つは、よりエキサイティングなDouble File Restarts(2列再スタート)のルールの採用。もう1つは、テレビの実況時間の統一。


最初の例は、NASCARは、その案を発見し、実証した。


再スタート・ルールを実行し、さらにリスニングを継続した。


レビューは肯定的であった。


テレビの実況開始時間については、NASCARは議論についてのセンチメントを定量化した。


彼らは、2010年からNASCAR Sprint Cupシリーズを始める予定である。


これらが主な変更である。ファンのコメントによって生まれたものであり、画期的で、大胆な先例のないものであった。


すべてではないとしてもその多くの場合、競争のルールの変更は、ふつうは、ファンではなく、オーナーやリーグの管理会社、特別委員会が決める領域である。


オールスターゲームのような人気競技へのファン投票は別として、プロ野球の指名打者についてや、アメフトのフェアキャッチ*についてファンの意見に基づいて決定を行うことを創造することはほとんど不可能なことである。


*《アメフト》フェアキャッチ:相手側のキックしたボールを直接受けること.


NASCARの事例は、リスニングによるインサイトの力は、組織の上層部やブランドにおける主要なビジネス上の決定に影響を与えることを証明するものである。


NASCARのManaging Director of Market and Media ResearchであるBrian Moyerは、次のように指摘している。「ファン協議会は、企業の中に変化を生み出した。


ほとんどの部署は、スポーツに関連したさまざまなトピックのためにファン協議会を採用している。協議会のメンバーは、熱心なファンの代表であり、すばらしい仕事を行っている」


協議会への参加を希望している人々のウエイティング・リストがある。




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2010年11月19日金曜日

ブランド・リスニング(傾聴)事例の紹介 (4) メッセージの形成と精緻化

<第41回>


Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第34回目です。


「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第7回目です。


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 メッセージの形成と精緻化



QSR(クイックサービスレストラン)の事例は、ブロガーや彼らの正確さ、観点への広告の影響を推測する、つまりインフルエンサーの分析―上でのリスニングの価値を表している。


我々の理解では、人々への広告の影響は、同一店におけるセールスの傾向によって評価される。


しかし、メッセージを形成し、さらに精緻化するドライバーの理解についてはどうだろうか。


この問題に答えるためには、アパレルやベビー・ケア、パーソナル・ケア、ゲーム、携帯電話の5つの異なったカテゴリーにおける事例を見ることにする。


最初の3つの事例は、リスニングと「アスキング」アプローチとの違いを理解し、さらにそれぞれがどのように補完しあっているかを特定するためのP&Gとニールセン・オンラインとの共同の作業によるものである。


P&GのKristin Bushとニールセン・オンラインのDavid Wiesenfeldは、次の2つの重要な結論を導いている。つまり、調査は、『何人の消費者が特定の見解を持つかを決めることが要求され。さらに、すべてのケースで、「リスニング」は、重要な方法でストーリーを強化した』


ある場合、リスニングは、ストーリーの発見には不可欠であった。((Wiesenfeld & Bush, 2009; Wiesenfeld et al 2009).






事例①ポップカルチャーのインサイトの開発: スナギーのケース






袖付き毛布(ブランケット)のスナギーのことは、よくご存じでしょう。最初は、テレビショッピングで販売され、現在はドラッグストアや量販店で広く買うことができる。


600万枚売れて成功した会社は、子供用のスナギーを発売した。


スナギーのいろいろな着る方法を示したユーモラスな広告は人々の関心を引いた。


しかし、David WiesenfeldとKristin Bushは、この商品の成功の背後にあるものを理解しようとした。


スナギーはP&Gのブランドではないけれども、彼らは、YouTubeを含むソーシャル・メディアのサイトから、過去のデータのリスニングの分析や、


商品やコマーシャル、文化的アピールを説明する特性を使った調査を行った。


スナギーはそのベネフィットを明確にコミュニケーションした機能的製品であったことを彼らの分析は当然のように明らかにした。


問題は、「それは本当の話であるけれども、メインなストーリーではない。


リスニングから集められたメインのストーリーは異なっていた」


リスニングは、スナギーをその機能的な領域を超えるポップ・カルチャーの象徴となる商品として描いていた。


商品の便益やコマーシャルの要素に集中した消費者のコメントは、しばしば冗談のようであった。


ポップカルチャーのストーリーは、調査では、特性の評価や自由回答のいずれにも表れてこなかった。






事例②実践と消費者の信念との結合:布製のおむつのケース






調査によって、布製のおむつへの関心が、規模は小さいけれでも復活していることが明らかになった。


親の2つの関心事は何か。それは、環境にやさしい商品と、妥当な価格な商品。


しかし、調査では、その理由は明らかではなかった。


「布製のおむつの会話」を発見し、分析することによって、リスニングが、家庭での出産や、教育、オーガニック・フードといった「自然な養育」プラクティスへの傾向を明らかにした。


さらに、布製おむつの利用者は、洗浄の問題と夜間の漏れのような現実問題を認識し、受け入れながら、トレードオフについて、微妙に語っていた。


これは余談であるけれども、この事例は、リスニング・リサーチの重要な能力を表している。すなわち、インサイトの展開に導いてくれる比較や対照、分析を可能にしてくれるおむつについてのすべての会話から、布製のおむつの会話を分離する能力である。


P&Gとニールセンは、次のように結論づけた。つまり、リスニングはストーリーをまとめあげる。しかし、『リスニングは、何人の消費者が、環境の理由で、あるいは費用の理由で布製のおむつを選択したかということは、確実に決定づけるものではない。


「アスキング」と「リスニング」は、布製のおむつの背後にあるフル・ストーリーを語る上で、それぞれ欠かせないものであった。』






事例③消費者のパーセプションとブランド広告:ジレット・フユージョンのケース






P&Gのジレット部門は、次のような状況に直面していた。深剃りを約束する5枚刃のフージョンの導入は、高い初年度の売上を生みだすけれども、次年度の替刃のセールスは低下するだろう。


ジレットは、この問題の解決するための調査で次のことを発見した。ユーザーは、フユージョンは、他のカミソリも同様に良いけれども値段が高いと思っていた。


リスニング分析によると、フージョンは他のかみそりよりも少し良いけれども、その分にお金を余分に払うほどではないとユーザーは、感じていた。


下の図は、サーベイ結果とリスニング結果を表している。


フージョンのポイントを見ることによって、競合商品のマッハ3との関係を見ることができる。フージョンは、価格面で高く、パフォーマンスではよりパワフルである。


対照的に、調査結果は、人々がフージョンの使用を中止した理由を示している。


ジレットのマーティングは、主な改良を要求しなかった。そのかわりに、「フユージョンはより優れた切れ味を提供し、その優位性に見合った価格を保証する必要があることを消費者に理解してもらう必要があった」と、DaveとKristinは我々に話してくれた。


リスニングでのインサイトを反映して、P&GのCFOであるJon Muellerは、次にように簡単に述べている。「我々は、消費者が、ジレット・フユージョンはベストな製品であり、それに見合った少しのお金を支払う価値があることを確信したい」


さらに付け加えて、「トライアルや新たなイノベーションの促進のためのメッセージは、我々の消費者とのコミュニケーションにおける主要な焦点であり継続されるだろう」






事例④顧客インサイトによるメッセージの: ハラーズのケース






カジノやスパ、ホテルを運営するハラーズは、消費者レビューやTripAdvisor.com上でのコメント、ツイッター、フェースブックから収集したリスニング・インサイトによって、そのウエッブサイトや、マーケティング・メッセージの修正を行った。


ハラーズは、旅行者がパリのラスベガスホテルからの「象徴的な景色」を語ったり、アメニティに関心があることを学ぶことによって、景色やホテル周辺のアトラクションを紹介するなどのホームページの変更を行った。また部屋の大きさやメニュー、その他の提供品についての詳細を伝えることを開始した。


リスニングの教訓は、オンラインの世界を超えて、より広いコミュニケーション戦略に影響を及ぼした。ハラーズのマーケティングVPであるMonica Sullivanは、ウエッブの広告によって、「オンライン予約が2ケタ増加した」ことを認めた。


さらに、ハラーズは「オンライン調査によって、部分的に活性化された一連のテレビや印刷、ラジオ、ウエッブの広告を実施している」ことを付け加えた。


ジレット・フユージョンとハラーズの事例は、リスニングがマーケティング課題にいかにインサイトを付加し、メッセージに非常に貢献し、市場での結果を改善することができるかをよく示している。


次に見るように、リスニングはまた、迅速な判断をするために戦術的に利用されうるものである。






事例⑤市場における広告の戦術的変更:携帯電話ブランドのケース






イギリスの企業であるOnalyticaは、プライム・タイムのテレビ広告に比重を置いた4カ月のキャンペーンを実施した携帯電話のグローバル・ブランドであるクライアントの話を述べている。


発売当初のバズの測定によって、広告が既存顧客と見込み客の間に混乱を生じさせたことを知った。


ブランドは、ポイントを明らかにするために少しの調整を加えた。


Onalyticaは次のように述べている。『キャンペーンの後半は、大きな成功であった。しかし、もし問題発覚のあと1時間を争うほどの速さで対応していなかったならば、このように成功しなかったであろう』


迅速に状況を判断し活動を示唆するリスニング能力は、ブランドが顧客と同じ立場にいることを手助けするものであることに、我々がインタビューを行った多くの人々は合意している。




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2010年11月4日木曜日

ブランド・リスニング(傾聴)事例の紹介 (3) 新製品開発とイノベーション その4

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<第40回>


Steve Rappaport The ARF Listening Playbook


リスニング・マーケティング:


Social Media時代の新しい消費者調査 の第33回目です。


「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第6回目です。




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2.2.5 新商品導入の評価: クイック・サービスレストランの例




もしあなたがフランチャイズ制の組織で働いた経験があれば、フランチャイジー(加盟店)の要求、特にプロダクト・マーケティングと広告における要求がいかに強いかをご存じでしょう。



彼らはお店が繁盛するために、商品とコミュニケーションが十分に機能することを強く望んでいる。



フランチャイジーは、商品や、価格、広告に対して、定期的に反乱を起こす。



若い顧客層を拡大するために、人気のあるクイック・サービスのレストラン・チェーンは、メニューを多くし、新しい広告を開発することを決定した。それは新商品を提供し、おもしろいキャンペーンを導入するものであった。



フランチャンジーは、キャンペーンが新商品の認知を上げ、売上を上げるかどうかを知りたがった。



ブランド(企業側)は、さらに投資を続けるべきかどうかを知る必要があった。



そこでブランドは、フルサービスのリスニング・ベンダーであるUmbriaを使った。彼らは、新しい広告が流れた最初の3カ月の間、ブランドや新商品について議論しているブログのモニターを行った。



オンラインで語られることは、しばしばオフラインの会話や広告に影響を受ける。



Umbriaは、広告支出やメディアプラン、広告スケジュール、バズの関係を分析した。



新しい広告キャンペーンは、「ブログのブランドについての投稿数に、即効かつ持続的に影響を与え、ポジティブやネガティブなブランドについての投稿の割合を急激に増加させた。



ブロガーは、広告を評価し、新メニュー商品を的確に指摘し、キャンペーンにおけるユーモアに好意的に反応した」とUmbriaは結論づけた。



お店の売り上げは、広告がヒットしたすぐ後に増加した。



フランチャイジーは、キャンペーンの成果や新商品に満足した。この結果に基づいて、ブランドは、勢いを維持するために、全国メディアにさらに投資を行ったと、Umbriaは報告している。




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2010年10月29日金曜日

ブランド・リスニング(傾聴)事例の紹介 (3) 新製品開発とイノベーション その3

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<第39回>


Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第32回目です。

「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第5回目です。


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2.2.4 新製品の洗練化:メレディスMixing Bowl.comの例




多様なメディア・パワー企業であるメレディス・コーポレーションは、雑誌の発行を行ったり、放送局やいくつかのデジタル所有権を持っている。



企業の目標は、所有権が適切であり、その視聴者の品質が良いこと、さらにその組み合わせが、広告主にとって魅力的であることを保証することである。



メレディスの発行するBetter Homes & Gardens誌は、MixingBowl.comとその読者が読んでいるソーシャルネットワークによって、そのプリント上での存在を強化することを決定した。



このチームは、コンテンツやデザインについてかなりまとまったアイディアを持っていたけれども、Real Women Talking上で実際にそれらを検証したいと考えた。



メレディス・リサーチ・ソシューションは、ターゲットである女性の声をリスニングするために、コミュニスペースのプライベイト・コミュニティであるReal Women Talkingを運営している。



コミュニスペースは、コンセプト・テストを準備し、全体的印象や、ユニークさ、新しいサイトを使う可能性について尋ねた。



コミュニティ・メンバーは、そのアプローチを支持した。



それは良いアイディアであった。しかしコミュニスペースは、「これは価値のあるリスニングなのか、単なる確認なのか」を問う必要があった。



価値は、特に、コンテンツの方向性や広告についてのコメントや示唆に見られた。



編集面では、メレディスは次のような点を発見した。つまりメンバーは、新鮮な資料を希望した-これによって、コンテンツが週ごとに更新されるように計画された。これは単に、伝統的な方法を使ってなされる種類の決定である。



メレディスにとっての本当の付加価値は、文脈や活動、広告の受容へのリスニングの面で見られた。



原案では、レシピーを含んでいた。女性は、日常生活から切り離すのではなく、オケージョン(娯楽や家庭での食事、買い物など)の文脈で食品をみたいと思っている。



さらに、彼女らは単にレシピーを見るだけでなく、コミュニティの他のメンバーと意見を交換したいと言った。それによって、お互いに役立ち、生活をより充実させることができるからである。



リスニングを通して、メレディスは、彼らが魅力あるサイトとしての特徴とサービスを持っていることに気づいた。



しかし、売上を上げるためには、スポンサーシップを販売する、つまり資金提供をえる必要があった。



そのためには、次のような点も考慮する必要があった。すなわち、編集とスポンサーシップの適切なミックスは何かとか、多すぎる広告は敬遠されるだろうか。



リスニングによって、メレディスは、女性は、有名でよくリンクされたブランドによって提供された編集を受け入れることを学んだ。



このインサイトに基づいて、MixingBowl.comのチームは、いわゆる「クライアントのブランドの顧客経験を同時に強化するエンゲージ・リソース」と呼ばれる「バック・オブ・ザ・ボックス」レシピー・セクションを作成した。



コミュニティ上のコメントを根拠にして、メレディスの広告営業チームは、有望な広告主にその価値を提示することができた。



このリアルタイムの市場情報を理解することは、「広告主との関係を築き、イノベーションを推し進める上での差別的なキーポイント」である。



実際、メレディスは、特別の機会やプログラムのためのインサイトを得るために広告主と協力してReal Women Talkingを活用した。



Ripple6社によって運営されているMixingBowl.comは、グループやプロファイル、フォーラム、シェアリング、アップデイトといったソーシャルネットワーキングのフル・サービスの提供を開始した。これによって、メレディスは、インサイトや、コンテンツや特集のためのアイディアを掘り起こすための追加のリスニング投稿を多く得ることができるようになった。



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2010年10月21日木曜日

ブランド・リスニング(傾聴)事例の紹介 (3) 新製品開発とイノベーション その2

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<第38回>

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第31回目です。

「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第4回目です。


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2.2.3  新製品の共創:フィアットMIOプロジェクトの例



消費者相手のビジネスにおいて長い間不可欠なものであった「提案箱」は、顧客の声を企業内に運ぶものであった。多くの場合、それは弱くて小さな声であった。

Stew Leonard’s グロサリー・チェーンのようなところでは、未だに「提案箱」を出口に置いている。

ソーシャル・メディアの発展によって、それは豊富なアイディアとイノベーション工場へと変化した。

MyStarbucksIdea.comは、最も早く、かつ最も人気があるサイトとして、熱狂的なファンと共に、アイディアを共有し、議論し、投票を行い、実際のアクションを行った例である。

2009年の後半までに、約7万におよぶアイディアを集めている。

フィアトMIOプロジェクトは、ブランドがその顧客と関わる別の方法を示した例である。

自動車メーカーは、通常、顧客から「ウオント・リスト」を作成する。

調査や、グルイン、顧客パネルによって作成されたリストは、製品の改良や新しいアイディア(3つあげるとすれば、カーホルダーや社内エンターテイメント・システム、設定可能なシート)に活用される。

しかし、人々のオープン・コミュニティとの協働によって、コンセプト・カーのような重要な開発を設計することは非常に稀である。

しかし、これがフィアットが、MIOプロジェエクトでまさに行っていることである。

フィアトMIOプロジェクトは、車をパーソナルにするためのアイディアを発見することに焦点を当てている。

結果がどうであれ、フィアットは、組織的にソーシャル・メディアとリサーチ手法を活用して専門性を学習し、発展させようとしている。このことは、人々が望む要素に完全に基づいた製品を開発するためのインサイトに関与し、活用し、開発することに役立つという利点を持っている。

MIOプロジェクトは、企業として、人々をその思考と方向に導こうとする3回目の試みである。

MIOのウエブサイトにある以下のメッセージは、彼らのコミットメントを表している。


「我々は集団として、また参加意識をもって、未来を考えなければいけない。それゆえに、フィアットは、フィアットMIOプロジェクトを継続し、あなたのアイディアを現実化するために行動するだろう。それらが簡単であるか、あるいは複雑であるかということは問題ではない。すべての人は、将来がどうあるべきで、よりよくするにはどうすればよいかについてアイディアを持っている。それゆえに、あなたが参加することが不可欠である。何かを生みだすために、あなたのアイディアと、我々の力を合わせましょう。我々はあなたとともに、新しいプロジェクトを立ち上げ、新しい車や次世代のための新たな輸送手段を作りたいと願っています。」


フィアットは、ブラジルのAgenciaClickという代理店と一緒にこのプログラムを運営している。彼らは、ウエッブサイトを作り、ツイッターやその他のソーシャル・ネットワークに登場している。

なぜブラジルなのか。

1つの理由は、ブラジルがデジタルに詳しい国だからである。

2つ目の理由は、フィアットは、ブラジルで最も大きな自動車メーカーであることである。およそ25%の市場シェアを持ち、5番目に大きな広告主であるからである。

ソーシャル・メディアだけではリーチを確保できないけれども、伝統的メディアとデジタル・メディアにおけるこの革新的なプロジェクトについての話は、プロジェクト・ニュースを拡大し、認知を広げ、口コミを生みだし、参加を促進した。

「2009年の8月にスタートして2週間で、サイトには6万7,000のビジターが訪れ、1,700のアイディアを投稿し、4万を超すコメントをツイッターに書きこんだ」とアドバタイジング・エイジは報告している。

10週間後に、MIOサイトは、次の7つのカテゴリーにおいて、9,301人の参加者から6,683のアイディアを収集した。カテゴリーは、一般や、安全、デザイン、駆動力、人間工学、機械材料、娯楽情報番組が含まれる。

投稿者は、書き込んだり、写真やビデオを掲示することができる。

サイトの訪問者の投票によって、提案の人気度やアピール度をMIOが推測することができる。

重要なことは、そのアイディアは必ずしも新しいものでなくてもよいということである。ある人は、既存の競合ブランドから望まれる特徴についての情報を投稿したりする。

インスピレーションのソースがどこであれ、人々は開発のプロセスの一部であり、彼らの声が「リスニング」されていることを望んでいる。

会話やコメントが推奨されるとともに、MIOは正しくリスニングするための戦略を持っている。それによって、彼らやコミュニティは、コンセプト・カーの開発ニーズを同じタイミングで動くことができる。

特徴やデザイン、現ステージが最初である。

次に、エンジニアがデザインの提案の最初のラウンドに集中する一方、ブランドとマーケティングのアイディアが、2010年3月には望まれるだろう。

最後に、コミュニティは、車の最後の組み立てを行うに従って、企業の努力やより特定の推奨についてのフィードバックを求められるだろう。

MIOは、コミュニティに情報を伝え、参加し続けるだろう。

リスニングとエンゲージメントを繰り返すことによって、ベスト・カンパニーとコミュニティ・アイディアの選定と実行が行われる。

プロジェクトは、第1ステージであるけれども、フィアットは、望ましい車についての貴重なインサイトを得ており、彼らの既存の車のマーケティングや広告を伝える顧客の声からその手ごたえを感じている。

フィアットあるいはその他のリスニング企業は、現在入手可能な特徴の中でどれが最も魅力的で強調すべきかを学ぶことができる。

例えば、特徴への関心の地理的な分布を知ることによって、企業がその提供を地域化することを手助けすることができる。

もう1つ例を上げると、メッセージやクリエイティブは、顧客のコミュニティで明らかになった動機や願望、ベネフィットに合致するようにあわせることが可能になる。

次の事例が示しているように、リスニングによって得られたガイダンスによって、顧客とのつながる企業の力を強化し、セールスの可能性を拡大させることが可能になる。

 
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2010年10月14日木曜日

ブランド・リスニング(傾聴)事例の紹介 (3) 新製品開発とイノベーション その1

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<第37回>

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第30回目です。

「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第3回目です。


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2-2.新製品開発とイノベーション


リスニングによって、顧客中心の製品やサービスが生まれる。




対象が台所で使う新しい調味料から、新車、新しいWEBまで、成功した製品のデザインや関与度の高い顧客の創出に、リスニングは貢献するものである。



2.2.2 新製品アイディアのテスト:J&Dのベーコン・ソールトの例



ベーコン好きの2人の友人であるJustin EschとDave Lefkowは、ある時ベーコンの香りのする調味料があればすばらしいと冗談で言っていた。そして、アイディアは生れた。我々の多くは、あらゆるサービスや解決策、食品、商品の情報を多く含んだコマーシャルが組み合わされた同じような会話を行っている。



しかし、アイディアのテストや、見込み客の反応は、最悪なものであった。



アイディアは確実であるという自信と、市場からの声との間のギャップは大きなものであった。



我々は、多くの新製品の失敗率を思い出させる必要はなかった。



MySpaceのデータを使って、ベーコンの愛好家を検索したところ、35,000人以上の人々が、彼らのプロフィールの中でベーコンに触れていることを発見した。



ジャスティンとデイビッドは、ベーコン味の塩についての関心を調べるためにこれらの人々にアプローチを行った。



話題が関心に火を付け、製品が製造される前に、注文が行われた。



多くの的確なターゲットの発見とソーシャル・ネットワークのコミュニケーション・ツールによって、彼らは会話を外部に広げるバズを作り出すとができた。彼らは現在でもMySpace, Facebook, Twitter and YouTubeを利用している。



メーカーは、2007年販売を開始した第1週から、いきなり成功を収めた。



2008年には、収益が100万ドルに達した。



販売はこれまで65万個の注文があり、商品は広く流通している。



会社は一発屋ではなかった。リスニングによって、サンドイッチ用のベーコネーズやベーコン味のひまわりの種の開発を行った。



さらに会社は、ベーコンの香りがする石鹸やローション、ボディ・スプレーといったパーソナル・ケア製品の販売実験を行っている。そして、「bringing home the bacon」というフレーズに新たな意味を付加しようと試みている。



2.2.2 新製品イノベーションを構造化するフレームワークの活用:女性向けの食品の例



女性向け食品の新製品開発のプロジェクトにおいて、フルサービスのリスニング・ベンダーであるUmbria(現J. D. Power Web Intelligence)は、イノベーション・フレームワークと、女性の会話や投稿、コメントのテキスト分析と人的分析との組み合わせの活用を行った。



彼らの方法は次の3ステップを含んでいる:



1)消費者が取り組む課題と特定し、課題別の消費者のセグメント化

2)課題のドライバーとアンメット・ニーズの発見

3)それらを満たす製品の特定



アンブリア社は、女性と食品に関わる情緒的なランドスケープを調べた。



課題を4つの自己記述的なトピックに分類した。



①ミー・タイム、②体重管理、③バランスと健康、④内面からの美



アンブリア社は、新製品プロジェクトにおいて、4つの「ニーズ・ステートメント」を特定した。



①フォーカス、②活性化、③つながり、④リラックス(図3参照)



プロセスによって、同一条件での比較と日々の対照が可能な統一的な分析スキームが可能になった。



アンブリア社は、それぞれのニーズにおいて、目標や女性の活動、ポジティブやネガティブな感情、それらと関連する食品に関連したキー・コンセプトの整理を行った。



報告書は、日々の女性の関心や気持ち、好みの推移を表している。



ブランドは、製品イノベーションの可能性を評価することが可能であると報告書は結論づけている。



ミー・タイム視点から活性化ニーズをより詳しく見てみよう。



リスニング・データの要約(図4参照)から、分析者は、キーとなる戦略的インサイトを発展させた。女性のエネルギーは突然枯渇してしまう。(「その時ひらめく」)。そして、彼女たちは永続的な刺激を求める。それは、例えば、彼女らが「どんなものにも負けないという強い気持ち」を助ける良い簡便なスナックーである。



しかし、健康的な他のものがないので、彼女らは「ジャンク・フード」を食べている。



伝統的な新製品開発において、これらのインサイトは、新製品のアイディアを生みだすのに使われるだろう。開発プロセスを長くしたり、新製品を市場化するための最終的な時間を延ばすためのプログラムである。



他方、リスニングのデータの場合、例えば、Super Woman Chocolate Doseのような活性剤的なアイディアによって、時間を短縮することができる。



アンブリア社は、リスニング・データベースをマイニングすることによって、インサイトに関連した製品アイディアを探し出した。それは、ニーズに関連したインサイトからである。



十分に説明されてから、アイディアは、女性の目標や、活動、感情の適切な文脈において評価され、さらなる開発のために選定されるものである。



そのようなイノベーションのためのフレームワークは、非常に大きな価値を付加するものである。というのは、それがマーケターが、コンテキストを理解するのを助けるゆえに、思考とリサーチを構造化するからである。



基本的なフレームワークなしでは、リスニング・プロジェクトは、有効にアクションにつながることが難しい単なる「インサイト」の寄せ集めになる危険性がある。



ブランドが挑戦している課題が何であろうと、リスニングのフレームワークとプロジェクトの目的との合致が成功への鍵といえる。




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2010年9月30日木曜日

ブランド・リスニング(傾聴)事例の紹介 (2) 新規顧客の発見

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<第36回>

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第29回目です。


「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第2回目です。



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2-1.新規顧客の発見




新規顧客の獲得なくして、ブランドは、その拡大や革新、利益を生む出す力は制限される。



リスニング手法は、真に革新的な方法で「顧客のゴールドを抽出する」ために使用される。



以下では、2つの事例を紹介する。



最初の事例は、ウエッブ・サーバー・ファイルから収集される行動トレンドのリスニングが、いかに新規顧客を導くためのインサイトの発見を促進するかについて述べている。



第2の事例は、カテゴリーにおける会話のリスニングと、男女の割合の変化がいかに市場の変化を示唆したかを理解することの重要性を明らかにしている。



(1)ウェッブ活動からインサイトを活用する: ヘネシー・コニャック



世界的なコニャクのリーディング・ブランドであるヘネシーは、2005年に企業ウエブサイトと、アフリカ系アメリカ人の最大のネットワークであるBlackPlanet.com間のリンクが増加しているトレンドを発見した。



詳しく調べると、ブラック・プラネットのメンバー数は、ヘネシー・サイトへの個人的なページとリンクしていたことがわかった。



さらには、ヘネシーブランドから拝借したイメージでそのページを飾っていたものもあった。



リンクする行動に含まれていたシグナルをリスニングすることによって、彼らが気づいていなかった熱い市場を偶然見つけることができた。



ヘネシーは、これらの消費者についてより詳しく知りたいという関心から、彼らの考えを理解し彼らのブランド・イメージを使うために、ブラック・プラネットのメンバーのウエッブ・ページを無作為に選んで調査を行った。さらに、リサーチのパートナーであるCRMメトリクス社を使って、彼らの態度や使用、影響力などを調べるためにオンライン調査を行った。



メンバーのページで表されていたヘネシーブランドのビジョンは、「必ずしも我々のビジョンそのものではなかったけれども、その正当性を損なうものではなかった」



「ブランドは、ブランド・マネジャー同様、その多くは消費者に属している。それゆえに、我々は偏見なしでリスニングを行う必要がある」ことを調査は示していた



別の言い方をすると、このことは、顧客との「共創」(co-creation)であり、重要なブランド・エンゲージメントのすばらしい例である。



調査結果は、これらの個人を魅力的に描いていた:

・10人中8人は、「高い価値」の消費者であった、

・彼らは、アルコール飲料の選択について周辺の人々に強い影響を与える人であった。



回答者の約半分がオピニオンリーダーであった。それは通常よりも高い割合であった。



ブラック・プラネットのメンバーの一貫した可能性のある価値を認識することによって、ヘネシーは、自社のサイトをどのように改善し、より興味深く、彼らにとって楽しいものにすることができるかを学ぶように努めた。



しかし、ヘネシーは、サイトを少し修整するだけでなく、「ヘネシーコニャックを飲む経験をより楽しくするにはどうすればよいか」についての示唆を尋ね、リスニングを行った。



インサイトを得ることによって、ヘネシーの改善は、サービス提供の中心に位置付けられた。



最初に、ヘネシーは、ページの修飾やブランド認識のための壁紙や共有のイメージを行うダウンロードの部分の強化を行った。



ブラック・プラネットのメンバーは、飲酒することやヘネシーとその他のお酒を混ぜることを楽しんでいることに気づいたので、ヘネシーは、コニャックを主な成分とするレシピを追加したり、パーティのためのヘネシーブランドのe招待状の提供を行った。



最初の対応から5年が経つけれども、ヘネシー・サイトは、ブランドによるリスニングへの継続的実施や、関係性や経験の進化を表している。



2009年には、ヘネシー「芸術的才能」イニシアティブが、音楽家や、音楽ツアー、インターネットでの音楽配信、注目のアーティストなどのスポンサーを行っている。



インサイトの要素を構築することによって、リスニングの活動は、「ミキシングのグローバル・アート」というフレーズに結晶化した。



ヘネシーはまた、フェイスブックやYouTubeにアカウントをもつことによって、ソーシャル・ネットワークの要素も追加している。





(2)新しいお客を見つけるための会話のトラッキング:電子ゲーム



誰が製品カテゴリーやブランドについて会話しているかをトラッキングすることによって、進行している会話に注目し、トレンドを特定することができる。



誰が話したかを明らかにする分析によって、声の変化は、一時的上昇や流行ではなく、長期的で構造的な違いを特定する市場の変化の初期のシグナルを提供することができる。



アンブリア(Umbria: J.D.パワーウエッブ・インテリジェンスとしてブランド化以降)は2004年7月に遡って電子ゲーム市場の研究を開始した。



その当時、会話のおよそ40%が女性によるものであった。



このインサイトは、これまでの常識を覆すものであった。



業界のマーケターが焦点を当てている若い男性をはるかに超えて、女性が重要な市場であった。



9か月後の2005年の3月に、ニールセンのゲーム・レポートは、リスニング分析を確認し承認を行った。

2009年の終わりには、M16とePollリサーチは、ゲーム産業史上初めて女性が男性よりもゲームを行っていることを発見した。(J.D. Power, 2009b; Knight, 2009).


 
 
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2010年9月24日金曜日

ブランド・リスニング(傾聴)の事例の紹介 (1)

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<第35回>

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第28回目です。


「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第1回目です。
 
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リスニング自体、刺激的なことであるけれども、ブランド・パフォーマンスやマーケティング、広告に影響を与えるようにリスニングを活用することはそれ以上に刺激的である。




本書の読者の方は、スターバックスや、ジェットブルー、デルのようなブランドについて、よく引用されるサクセス・ストーリーでのリスニングの役割を十分ご存じだと思う。



これらのケースは、真正面からブランドをリスニングしている。



しかし、ここで疑問が生じる。つまり、リスニングがいかに価値のあるものか、あるいはないものなのかを判断するために、ブランドはどのようなリスニングの経験を持っているのだろうか。



そのために、次のようなリスニングを使った事例を探した。

①消費者インサイトを生み出している、

②ブランドによって活用されている、

③市場での結果や、特定のブランド・アクションが報告されている。



以下で取り上げる事例は、これらの基準を満たしたものである。



最も成功した結果を出した事例は、明確な目的と、リスニングの役割を定義した戦略を含んでいる。



多くのブランドは、オンラインと伝統的なメディアを組み合わせている。ソーソーシャル・メディアは、ますますそのミックスの要素の1つになってきている。



さらに、リスニング・リサーチは、単独で行われることは稀である。十分に有効なものにするために、その他のマーケティング・リサーチのソースや入手可能なデータと併せて行われる。



リスニンングの成功事例を見ると、次のような点が指摘される。



リスニング・リサーチは、



①あらゆる規模の企業や、既存のブランドから新ブランド、B2BからB2Cブランドに適切である、



②新規顧客の発見から顧客ロイヤルティに至るマーケティング目標の範囲をカバーしている、



③ブランド戦略や戦術に貢献し、困難でチャレンジングな課題にも役立つ、



④競合のリスクを評価するのにも役立つ、



⑤企業の評判を管理するだけでなく、企業やブランド、顧客に影響を与えるような課題を企業が解決することを可能にしてくれる、



⑥顧客のケアにおいて重要な役割を果たす、



⑦伝統的な「尋ねる(asking)」リサーチや、マーケティングの有効性の理解に豊富な内容を付加してくれるものである。



以上のような特徴に加えて、本書は、ブランドのリスニングが失敗する、次のような共通の特徴も発見した。



①企業の政策が時々、顧客サービスの方法に組み込まれている、



②選択して聞くので、普通では発見できないような課題を含む重要な会話を聞き逃すことがある、



③中心的な顧客のグループを特定できず、誤った質問を尋ねてしまう、



④十年前はベストな方法であったけれども、現在では時代遅れの戦略で課題に対応しようとする。ソーシャル・メディア時代に合わせて改善する必要がある、



⑤消費者の関心を発見しそれを表明するためにリスニングを行うだけでは不十分である。ソリューションが有効ならば、ブランドは、学習するためにリスニングを続ける必要がある、



⑥リスニングは、一般的なトーンを維持し、公的な議論を避ける必要がある。



以下では、リスニングによって、ブランドの目的が達成される順に事例を紹介することにする。



本章の目的は、ブランドのリスニング・プロジェクトを計画した時の参考となる情報を提供することである。



それでは、基本的な目的である「新規顧客の発見」から始めることにしょう。



*次週から、以下の項目にわけて、リスニングの適用例を紹介します。

1.新規顧客の発見

2.新製品開発とイノベーション

3.メッセージの形成と精緻化

4.既存製品の改善

5.販売モメンタムの維持

6.ブランド成長の動因

 
 
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2010年9月16日木曜日

The ARF Listening Playbook 書評の紹介

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<第34回>

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第27回目です。


これまで以下に示す本書の6章のうちの1章、3章、4章、5章を紹介してきました。

あとは事例紹介の第2章と、リスニング関連のUSの企業紹介の第6章が残っています。

第6章の日本版も作成する必要があります。

第1章 リスニングの本質
第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用
第3章 リスニング・ソリューション
第4章 最先端:リスニング・マーケティング科学と、メディア戦略、組織デザイン
第5章 リスニングとマーケティング・リサーチの変革
第6章 関連企業プロフィール: リソース・ガイド 


今回は、Amazon.COMに掲載されていた本書についての2つの書評をご紹介します。


1)ソーシャルメディア・マーケターにとって、すばらしいツールである。(Vishal Pandhya、2010年8月10日)


ソーシャル・メディアの基礎とリスニング・リサーチの応用的なトピックを理解する人にとって、「宝石」のようである。ソーシャルメディアを理解しようとする人にとって、事例は非常に役立つツールである。非常に強く推奨します。

2)知的なマーケターにとってはmust-readの本(Sen.S、2010年5月7日)

本書は、C2Cコミュンケーションの役割が、B2Cコミュニケーション以上に大きくなっている現在において、タイムリーで重要な本である。

本書は、自然なオンライン環境で消費者の会話をリスニングするための最先端の方法を非常に体系的にかつ詳細に紹介したものである。

リスニングの定義から、ブランドがリスニングする理由、リスニングの構造、リスニングの目的、成功事例、リスニング企業の最新情報に及んでいる。非常に貴重な情報が満載で、マーケティングを有意義により密接で、知的で、効率のよいものにするために必要なことがすべて含まれている。


次週からは、「第2章ケース・スタディ:リスニングの活用」の紹介を始めたいと思います。


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2010年9月9日木曜日

プライベイト・ブランド・コミュニティ

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<第33回>

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第26回目です。

今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

「第6節 プライベイト・ブランド・コミュニティ」です。

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第6節 プライベイト・ブランド・コミュニティ




プライベイト・オンライン・コミュニティでは、条件にあった顧客や見込み客を招待し、質問を行ったりテーマを与えたりなどの直接的方法で、ブランドへの関与を高めたり、自由で自然な構造化されていない方法で、ソーシャル・メディアを利用して、彼らの関心によって、コミュニティ・メンバーの関与を高めたりする。



この点において、コミュニティは、「ブランドのバックヤード」ソースとして位置づけられる。



6-1.プライベイト・オンライン・コミュニティ:ソリューション・キー



コミュニティを運営している企業は、マーケティング・リサーチのための大規模な「生活ラボ」を管理する。



少なくとも1カ月から数カ月あるいはそれ以上参加しているメンバーが存在すれば、コミュニティによって、ブランドが、複数のプロジェクトを同時、あるいは革新的に進行させたり、非常に貴重な中心的顧客がある一定期間行う議論を傾聴することが可能になる。



コミュニティは、顧客インサイトや、ブランド戦略、新製品やイノベーションの開発に役立つものである。



CommunispaceやRipple6のような初期設定が不要なフルサービスベンダーから、必要に応じてソフトウエアやサービスを提供するPassengerのような企業まで、コミュニティのサービスはさまざまである。



Vision CriticalやMarketToolsといったコミュニティ・ベンダーは、マーケティング・リサーチの深い理解に基づいてコミュニティを構築している。



コミュニティ・メンバーのリクルートと、メンバー資格、メンバー・アカウントの有効化



選抜的リクルートが、プライベイト・オンライン・コミュニティを特徴づけるものである。



ベンダーは、参加者を招待し、管理し、リクルートを行い、条件を絞り、会員化するためのツールを提供している。



例えば、女性だけのコミュニティであるSheSpeakesの登録フォームには、以下に示すように、名前や、連絡先、趣味、関心のある商品、属性、応募動機が含まれている。



コミュニティを構築する企業は、リクルートメントの基準を設けており、顧客リストからリクルートを行う。



調査の目的によって、外部のデータベースからリクルートを行ったり、参加者の知り合いを紹介してもらったりもする。



他のグループ同様、自然減少が起こったりする。そして、コミュニティの目的は時間とともに変化する。



参加者のリクルートメント戦略は、このような変化を考慮する必要がある。



属性や態度、ブランド経験などの条件がクリアされれば、メンバー・アカウントが有効になる。



Communispaceのデクレクターであるマニラ・オースティンは、次のようにアドバイスを行っています。ネットワークで、ひとたび不同意や批判―これらは議論の幅を広げる意味では重要なことであるーを許す場合、



「文化的な基本原則やお互いを尊重する行動規範の設定を行い、メンバーに呈示するルールがあります。



必要があれば、それらの人々をその行動のゆえに無効にしたり、コミュニティからの脱退をさせたりします。」(オースティとのインタビューより)



メンバー・アカウント



コミュニティは、さまざまなツールや機能をメンバーに提供を行う。



それらには、個人的なホームページや、好み、プライバシー・コントロール、グループやフォーラムへのアクセスやそこでの活動などが含まれている。



ソーシャル・ネットワーキング



コミュニティ・ベンダーは、多くのソーシャル・メディアの機能を提供している。例えば、ホームページや、プロフィール、ピープル、コンテンツとグループ・サーチ、ブログ、ディスカッション掲示板とフォーラム、コンテンツ・クレイエーションと共有、レイティング、レコメンデーション、フェイバリットやトップ・リスト、ステータス更新、グループ・クリエーションとマネジメントなどである。



マーケターは、関心のある特定のブランドのグループを構築する。



多くは、メンバーの関心が沸き起こったり、グループを作ったり参加することによって、この「トップダウン」アプローチを補完するものである。



マーケティング・リサーチ機能



マーケターは、リサーチを行うためにコミュニティを活用する。



コミュニティは、投票やサーベイといった定量的ツールや、アイディアを出したり、日記やジャーナル、イメージを共有する定性的ツールを提供する。



これらのツールは、さまざまな目的のために使われる。例えば、コンセプトやパッケージ、メッセージ、ストーリーボード、編集内容、ブランド関連などのテストである。



6-2.参加者のエンゲージメントの促進



インサイトを探る上で、ブランドについて尋ねることと、メンバーの自発的な会話の傾聴との間のバランスをとることが重要である。



Communispaceのマニラ・オースティン・ディレクターは、インタビューの中で次のように語っている。「コミュニティのメンバーが自身の話題について会話を行っている時こそ、彼らや彼女らがより深い関与を示している時です。

クライアントが特別に知りたいことを議論している間に、メンバー間の会話を傾聴することによって、その深い関与のゆえに貴重なインサイトをしばしば得ることができます」



プラットフォームの提供



多くのベンダーは、プラットフォームをサービス型ソフトウエア(SaaS)として提供している。それによって、オンサイトでのインストールやサポート、メンテナンスの必要性を取り除くことが可能である。



分析とレポーティング



ウエッブやデータに基づき、登録やログインを必要とするオンライン・コミュニティによって、多くのベンダーが、グループ・レベルやある期間のコミュニティ間の活動をうまくトラッキングやレポーティングする機能を提供することができる。



これらには、登録や社交性といったコミュニティ・ヘルスや、グループ設立、コンテンツの共有、ブランド・リサーチ活動への参加率といった重要なデータが含まれている。



ベンダーによっては、会話の分析は、自動化や総合化され、ブランドやコミュニティの専門家である分析者によって行われる。



ある企業は、最新の活動や統計、トレンドのためにダッシュボードやウエッブペイジを提供している。



コミュニティ管理とマネジメント



コミュニティ・ソフトウエアは、カスタマイズや構成のためのモジュールの提供や、管理者やモデレータの提供、グループや話題の設定、セキュリティの確保などを提供する。



専門的なサービス



多くのコミュニティ・プラットフォームは、すぐに使えたり、エンドユーザーがカスタマイズできる一方、プランニングや実行、分析、評価、価値の抽出のための専門的なサービスが必要とされている。



ベンダーは、直接そのようなサービスを提供したり、サービス・パートナーとしての関係を通して行う。



ブランドはまた、コミュニティの専門家を使っている。



提供される専門的なサービスは、多岐に渡っている。



サービスを提供しているベンダーは1つかそれ以上のブランドやコミュニティ、メンバーのニーズを提供している。例えば、戦略的プラニングや、コミュニティ・デザイン、メンバー資格基準とリクルートメントプロセス、メンバーエンゲージメントの促進、フォーラムのモデレーションとコメント、マーケティング・リサーチ、分析、レポートと要約、トレーニングとサポートなどである。



さらには、ユーザーの経験に焦点をあてたカスタム・アプリケーションやウエッブ開発やデザイン・サービスが含まれている。




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2010年9月2日木曜日

バズ・エージェンシーとクチコミ促進プログラム

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<第32回>


Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第25回目です。

今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

第5節 バズ・エージェンシーとクチコミ促進プログラム」です。


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バズ・マーケティング・エージェンシーは、ブランド・マーケティングをサポートするために、バズを生みだし、分析し、レポートを行うことの専門家である。




5-1.バズ・エージェンシー:ソリューション・キー



バズ・マーケティング・プログラム(施策)は、消費者インサイトを開発したり、擁護者を作り上げたり、知名度を上げたり、トライアルを刺激したりするようにデザインされている。



プログラムは、その他のブランド・マーケティング・プログラムと連動して行われる。



目的と戦略、戦術



ブランドは、1つか2つの主な目的の設定を行う。



サンプリングやクーポン、インセンティブ、ウエッブ・プロモーションのようなバズを生みだす戦略や戦術は合意されたものである。



プログラムの評価基準は、会話やクーポンの配布数、ウエッブサイトへの訪問数、新規顧客数などである。



キャンペーン実施サービス



エージェンシーは、プロジェクトのニーズを満たすためにキャンペーンを実施する。



キャンペーンは、市場別やエリア別、全国規模で、同時または継続的に実施される。



よいバズを生みだす熱心な人々を特定し、リクルートすることは非常に重要なポイントである。



バズの把握



バズを把握するために、エージェンシーはさまざまな方法を用いている。



それらは、リアクションの写真やビデオの撮影を行ったりそれらの分析や、参加や観察といったエスノグラフィックな手法を含んでいる。



あるサービスは、自己申告レポートに依っている。



分析とレポーティング



分析は、基本的な活動の単純なカウントから、洗練されたリアルタイムに近いプレゼンテーションーこれは言葉を広げる人々の測定や、会話の数、デモグラフィクス、地理的位置、キーとなるテーマのランキングとセンチメントを加えたものである。



この点で最も進んだベンダーは、BzzAgentである。

 
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2010年8月26日木曜日

オフラインとオンラインのクチコミ

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<第31回>

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第24回目です。

今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

第4節 オフラインとオンラインのクチコミです。

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オンライン上、とりわけソーシャル・ネットワーク上で過ごす時間が多いにもかかわらず、オンライン上の会話やコメントは、ブランドについての会話の10から15%に過ぎないということには驚くかもしれない。




85%から90%の圧倒的多数の会話は、電話や、オフィス、家庭、コーヒーショップあるいは2-3人の人が集まりおしゃべりできる場所などのオフラインで起こっている。



オフラインのクチコミを加えると、ブランドについての会話を拡大することになる。



2つのタイプのオフラインのクチコミ・ソリューションがある。1つはサーベイで、もう1つは、クチコミを推進するバズ・マーケティングに特化したエージェンシーである。



4-1.サーベイ・アプローチ:ソリューション・キー



サーベイによるアプローチは、より一般的な方法を使って、会話を記録、分析する。デモグラフィックや、態度的や心理的情報、ブランド情報別の分析を提供する。



サンプルに代表性があることを前提にすれば、結果によって、オンライン上の議論を一般化することが可能になる。



サンプリング・デザイン



サーベイを行うリサーチャーは、リサーチ目的によってさまざまなサンプリング・アプローチを利用する。



多くの場合、サンプルは、割り付け法で、1つあるいは複数のオンライン・パネルから抽出される。



ベストなサンプルは、ブランドの顧客ベースやキーとなるデモグラフィック・グループのようなターゲット集団の代表性があり、予測可能なものである。



トラッキング頻度



トラッキング目的のためには、測定は長期にわたって行う必要がある。



ブランドやリサーチの目的や予算によるけれどもその期間はさまざまである。



高いレベルの新製品やイベント、ソーシャル・カレンシーを持ったベービー用品やファッション、車、エンターテイメント、消費者テクノロジーといった人気のカテゴリーは、トラッキングのより多くの頻度から恩恵を受ける。



リサーチャーのケラー・フェイは、全国の会話を把握する目的で1週間に1度サーベイを行っている。



会話のトピックスの把握



トピックスは選択肢質問や自由回答質問から得ることができる。



自由回答はより柔軟な回答を提供する。サーベイでは、人々が自身の言葉でいったことを得ることができる。また新しい予期していなかったトピックスやコメントも得ることができる。



自由回答から価値やインサイトを得るには、熟練のコーダーやテキスト分析のソフトウエアが必要である。



分析とレポーティング



データ分析以外に、サプライヤーの中には、「人々はブランドの広告で何をしているのだろうか」といった質問に答えるために、クチコミのドライバーや会話のインフルエンサー、会話のリスナーについてのインサイトを提供している。



コンサルティング・サービス



企業は、有効なクチコミ施策やモニタリング、その評価のプラニングとその実施についてのサービスを提供している。



クチコミのデータをその他のマーケティングや財務上の文脈で見ることは、クチコミとブランド・パフォーマンスとの関係を持たせるのに役立つかもしれない。





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2010年8月19日木曜日

リスニング・ソリューション: フル・サービス・リスニング・ベンダー③

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《第30回》

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第23回目です。

今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

第3節 フル・サービス・リスニング・ベンダー その3です。


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3.フルサービス・リスニング・ベンダー


分析




ソーシャル・メディアや、業界知識、リスニングの専門知識を活用することによって、
フルサービス・ベンダーは、インサイトを得るためのユニークな分析レポートのタイプを
提供している。



センチメントの通常の分析は、話題に対するポジとネガ、そして中立の量を見るものである。



ブランド選好のトレンド変化を把握することは、異なったマーケティング要素や、
さまざまな顧客グループの考えの影響を分析するためには非常に有用である。



ハリス・インターラクティブのテキスト分析は、センチメントとボリュームという2つの要因が、
「ヒートマップ」という可視化によって、戦略的インサイトやガイダンスのためにどのように
使われるかを示している。

可視化は、データと経験によって考えだされたクライアントに結果を伝える方法である。



図48.ハリス・インターラクティブ・ヒートマップ:
センチメトとボリュームの3X3マトリクス(機会と脅威)



上のヒートマップ図は、センチメント(低、中、高)とボリューム(低、中、高)の3X3の
マトリクスで表されている。

それぞれのセルによって、ブランドが努力を維持する点や、問題を修正する点、
人々はポジティブな感情を表明しているけれども、あまり知られていない点、
一層のボリュームとポジティブなセンチメントが必要な点が明らかになる。



このようなタイプの分析は、話題や時間の比較を標準化する統一的なレポーティングの
フレームワークを提供したり、トレンドの出現を察知することを助けたり、
過去と現在を対比させたりすることによって、ブランドにいくつかの方法で、
ベネフィットをもたらすものである。



ハリス・インターラクティブのヒートマップは、フルサービス・ベンダーのユニークな視点や
経験から開発された数多くの貴重な分析や可視化の1つにすぎない。



事実、それらの多くはまた、鋭い戦略的かつ戦術的なインサイトを生みだす説得力のある
センチメントやボリュームの可視化を含んでいる。



ベンダーによる可視化は、彼らが解決する課題のタイプや、彼らが収集するデータ、
彼らを理解し、最終的に推奨し、行動するアプローチを反映したものである。



ベンダーのアプローチを理解したり、リスニングのプロジェクトにそれらをあせたりすること
によって、よい結果をえることが保証される。



レポーティング



ソフトウエア・ベンダーのように、フルサービス企業は、フィードやダッシュボードを提供している。
それらによって、標準的あるいは個別のレポートだけでなく、定期的なアップデートや、
アドホック分析が可能になっている。



フルサービス・ベンダーは、戦略的、戦術的な推奨や、詳細な分析を提供することによって、
ソーシャル・メディアやカテゴリー、課題の専門家と、自らを区別しようとしている。



エージェンシー・サービス



フルサービス・ベンダーの中には、エージェンシー・サービスを提供しているところもある。



一般的に、彼らは、活動の枠組みを提供し、その実施を行っている。



Converseon社のアプローチは、十分標準的なエージェンシーのフレームワークを提供している: 

傾聴ープランと組織化―エンゲージー測定



話題や、センチメント、影響の分析といったリスニングの結果は、
プログラム全体の基礎を築くものである。

 
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2010年7月29日木曜日

リスニング・ソリューション: フル・サービス・リスニング・ベンダー②

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《第29回》

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第22回目です。

今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

第3節 フル・サービス・リスニング・ベンダー その2です。


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3.フルサービス・リスニング・ベンダー


データ構造




データの構造化―トピックスや、サブ・トピックスの分類や開発、テーマの特定、

センチメント分析の方法の開発、テストや精緻化とそれらの繰り返しを含むーは、

プロジェクトの第3の典型的なステップである。



ベンダーは、プロジェクト目的の構造化の完全性や妥当性を確実にするために、

技術的知識や、ソーシャル・メディア、カテゴリーや課題への専門的知識などの

複合的知識を導入している。



会話の構造化の詳細については、119頁を参照。(6月24日の本ブログ参照)



フルサービス・ベンダーは、多くのプロジェクトにおいて、コンピュータによる分析を

人的分析で補完している。

というのは、ブランドが、1つや少数のポストに基づいてアクションを起こす可能性が

あるからである。



「zPhoneが好きだよ」といったようなコメントがどのような意味を持っているのだろうか。



単なる皮肉なのか、否定的センチメント、あるいは歓びの表現、

ポジティブ・センチメントだろうか。



コメントを理解しようとするブランドにとって、文脈や、その他の手掛かりによって、

コメントから特別な意味を見出すことは重要である。



コンピュータによるセンチメント分析は、トレンド分析には向いているけれども、

個人レベルにおける正確性については劣っている。



このような理由から、フルサービス・ベンダーには、

センチメント・アサインメントの正確性を改善するためのスタッフが存在している。

(コンピュータによるセンチメント・アサインメントの議論については121頁参照)

(7月8日の本ブログ参照)


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2010年7月22日木曜日

リスニング・ソリューション: フル・サービス・リスニング・ベンダー①

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《第28回》

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第21回目です。

今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

第3節 フル・サービス・リスニング・ベンダー その1です。


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3.フルサービス・リスニング・ベンダー



フルサービスのベンダーは、テキスト分析のベンダーと同じ機能を提供するだけでなく、

付加価値サービスをも提供している。

ここでは、ブランド・マーケティングや広告、PRのプロジェクトに専門化したものに関心がある。



3-1.リスニング・ベンダー: ソリューション・キー


コンサルティングやサービスの提供は、リスニング・プロジェクト・マネジメントや、

データ品質、分析、レポーティング、戦略、時にはエージェンシー・サービスに焦点を当てている。

ブランド・リスニング・プラットフォームの主なベンダーには、

Nielsen Online, TNS Cymfony, Converseon, MotiveQuest, JD Power Web Intelligence,

Harris Interactive、Collective Intellectなどが含まれる。


1)プロジェクト・マネジメント


プラットフォーム・ベンダーは、広範囲のサービスを提供している。

例えば、①ニーズの評価、②プロジェクト範囲の設定、③リソースの配分、

④作業のスケジュール設定、⑤システムの運用、⑥モニタリングの進行、

⑦ソリューションの展開などである。


フルサービス・ベンダーは、多くのプロジェクトの実施の経験から、

またプロジェクトの成功に寄与する技術的、分析的なリソースを持つことによって、

付加価値を提供している。



2)体系的なプロジェクトの方法


リスニング・プラットフォームのベンダーは、多くの場合、

プロジェクト実施のアプローチの方法を標準化している。


ニールセン・オンラインは、本質を適切についた1つのモデルを提供している。


①収集と摘出


プロジェクトは、ソーシャル・メディア情報を収集するという広範囲な仕事から始まる。

それらには、内部データのような「ブランド・バックヤード」ソースの情報や、

ブログやフォーラムといった企業がコントロール可能なソースの情報、

掲示板やソーシャル・ネットワーク、ツイッターといった「消費者バックヤード」ソース

の情報が含まれる。


プラットフォーム・ベンダーは、正しいソースが採用され、検索が正しい情報を

摘出することを確実にするために、処理プロセスと熟練者を適正配置している。



②クリーニングとデータの品質


データの品質が、リスニング・プロジェクトが成功するか失敗するかどうかの

最も重要な理由と言えるだろう。


データの品質なしでは、「信号対雑音比」は、非常に低いので、

プロジェクトが信頼分析のために必要な情報を抽出することができない。


このコントロールのステップが、処理する前に、データをチェックし、

雑音を取り除き、クリーンにすることを保証するものである。



プラットフォーム・ベンダーは、リスニング・プロジェクトのための技術やインフラを提供する。

それらは、クライアントがもつ複雑さを軽減したり、ソフトウエア実行の費用の節約に役立つものである。


経験やプロジェクトの歴史に基づいて、ベンダーは、簡略法や、トレードの知識、

「ビジネスのコツ」を発展させてきた。それらをリスニング・プロジェクトの効率性や

正確性、適時性を向上させるユーティリティや、特別のプログラムのライブラリー

を構築のために使っている。



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2010年7月15日木曜日

リスニング・ソリューション: 分析とレポーティング

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《第27回》

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第21回目です。

今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

第2節 テキスト分析ソフトウエア・ソリューション Text Analysis Software Solutions その5です。


次週は、「第3節 フル・サービス・リスニング・ベンダー」です。


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3-7 分析とレポーティング




ベンダーは、ソーシャル・メディアでの会話のすべての側面について

分析を行いレポーティングするためのツールを提供している。

通常、会話の総量や、カテゴリーについての統計、分類やテーマ(トピックス、サブトピックス)、

ソーシャル・メディア・ソース、センチメント、キー・アクター

(人々やブランド、競合、小売、インフルエンサー)、比較、ランキング、

トレンドなどが含まれている。



このような分析は、競合のポジショニングや、先ほど言及したアドビルと

タイレノールの例のようなメッセージングやエンゲージメント戦略立案のような

目的のために使われる。



ベンダーのレポーティング・ツールは、デザインが柔軟である表やチャート、

グラフを提供している。

それによって、レポートは、リスニング目的に合致するように設計することが可能である。

多くは、チャートやグラフに「ドリルダウン」することが可能である。

それによって、分析者は、彼らが関心があるデータの背後にあるものを見ることができる。

事実、すべての企業は、図45の示すようなクララブリッジ・ソーシャル・メディア分析のように、

急なモニタリングやレポーティングのためのダッシュボードやツールバーを提供している。



3-8 グループとコラボレーションの特徴



会話やインサイトに従って行動するためには、チームやグループが、

情報を共有、伝達したり、コメントを行ったり、戦略を立案、実行し、

計画に対応することが必要である。

作業グループと協働の特徴は、ますます共通になってきている。

あるベンダーは、eメールやCRMのような既存のシステムへの接続を提供している。

またAttensity やRadian6のようなベンダーは、顧客の声に従って行動するためや、

Salesforce.comのようなインハウスや、サードパーティのシステムと、

ケース・レコードを統合するための一式のツールを提供している。



3-9 サードパーティ・システムとの統合



前述のエンタープライズ・ベンダーは、インハウスのデータベース

(例えば、CRMや営業、マーケティング)や、

サードパティ・アプリケーションを統合するRSSやプログラム・インターフェース、

データ・フィードといったツールを彼らの顧客に提供している。

そうすることによって、彼らの顧客は、360度視点に立った

行動計画を創造することが可能になる。

セルフサービス・ツールのユーザーは、ソーシャル・メディアのデータセットを

彼らの内部のデータベースに組み込むことができる。



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2010年7月8日木曜日

リスニング・ソリューション: センチメント・アサインメント

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《第26回》

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第20回目です。

今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

第2節 テキスト分析ソフトウエア・ソリューション Text Analysis Software Solutions その4です。


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3-6 センチメント・アサインメント



どのように人々が感じるかー肯定的、否定的、中立―は、「センチメント」と呼ばれる。


ユーザーや見込み客が、ブランドとどのように関連し、

その好き嫌いや問題点、満足度をどのように語っているかを理解することによって、

会話に関わったり、

消費者のムードによってブランドを測定したり、

ブランドの利点を最大化し、欠点を最小化するためのマーケティング活動やPR活動

を行うための貴重な方向性をえることができる。



センチメントは、リスニングにおける最もホットなトピックの1つであるけれども、

単に「グリーンやイエロー、レッド」といった以上には十分理解はされていない。

しかし、センチメントが計算され、分類されるいくつもの方法があるので、

その十分な理解が必要である。



センチメントの分類は、全体的であり、また特定的でもある。

それは、個々の記事や、コメント、投稿のセンチメントといった

ドキュメント・レベルのものから、人や場所、物事といった存在レベルに渡っている。

センチメントは、リスニングのプロジェクトにおいて非常に重要なので、

賢明なリスナーは、ベンダーのセンチメント・ソリューションの強みや弱みを

十分に理解する必要がある。



多くの場合、コンピュータによって計算されたセンチメント・スコアの正確性と

利用可能性について語られる。

それは、その価値についての混乱と議論をしばしば呼ぶものである。

70%あるいはそれ以上の正確性を確保したとか、20%あるいはそれ以下であるとか、

センチメントは皮肉や多義的なアイディアといったニュアンスを捉えきれないなどと

ソフトウエア企業が述べた場合、このような論争を評価することができる。



本書の執筆にあたり、我々は、テキスト分析のソフトウエア企業の担当者に、

自動化センチメント分析の価値と、現在の強みと弱みについて、インタビューを行った。

彼らのコメントは非常に実際的である。

次のように、コンピュータによって計算されたセンチメント・スコアと、

人的な分析によるセンチメントとがある。

・コンピュータによって計算されたセンチメント・スコアは、

全体的なトレンドを追う場合に非常に有用であるが、個人的会話を分析するには向いていない。

・機械的なセンチメント・スコアは、何千もの会話を分析する最も効率的な方法である。

・人的な分析には重要な役割がある。特に文脈や正確性が問題の時には必要である。



自動化と、絶対的な正確性とは、トレードオフの関係にある。

特定のニーズや要求によって、どちらの方法を選ぶべきか適切なガイドが、

ブランドには必要である。


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2010年6月24日木曜日

リスニング・ソリューション: 会話の構造化

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《第25回》


Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第19回目です。

今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

第2節 テキスト分析ソフトウエア・ソリューション Text Analysis Software Solutions その3です。



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3-4.情報の抽出


リスニング・プロジェクトへの注目の用語の発見は、人々や態度、ブランド、

ジオグラフィー、日付、数字、通貨といったものを特定する

「固有表現抽出」(entity extraction)と呼ばれるプロセスを通して実行される。


多くのベンダーは、競争力のある一連の機能を提供している。

一方、エンタープライズ・ベンダーは、 固有表現が、

特定のビジネスや市場、顧客、ブランドのために定義づけられ

抽出される機能を提供している。



3-5.会話の構造化:分類や、トピックス、サブ・トピックスやテーマ


テキスト分析のソフトウエアを使ったプロジェクトは、

通常は、ブランド関心と課題に焦点を当てたヒエラキーに、会話を構造化する。


そうすることによって、アドバンンテージを提供している。

例えば、トピックや議論されている特定の事や、

時系列分析のおける統一性が何であるかを明らかにしたり、

すべての異なった会話がどのように関連しているか見ることができる点である。

テキスト分析のソフトウエアは、高度なレベルの分類と、

さらにトピックス、サブ・トピックス、テーマに、

会話を構造化する決められた方法(ルーティン)を有している。


実際問題として、ソフトウエア・ベンダーは、ブランドのプロジェクト要求を

見たすことを保証するために、スキームを精緻化し、

微調整するためのユーティリィを提供している。



3―5-1 分類


言語が処理された後で、ソーシャル・メディア・テキストから

抽出された用語や、コンセプト、課題は、情報を高度なグループに

編成する分類スキームに振り分けられる。


テキスト分析のベンダーであるHarris Interactiveは、

IT企業のすばらしい分類スキーム例を提供している。(図42)



図42のそれぞれのボックスは、トップ・グループにおける

ハードウエアや契約、実行のようなトピックや、

第2のグループにおけるコストや価格、価値といったマーケティング課題や、

ビジネスの軽減、ブランドの信用性といったトピックで、

インフォーメーション・テクノロジー企業の機能的視点を提供していている。

分類を展開しているブランドは、スキームが完成し、

さまざまな組織的視点が反映された時、恩恵を受けることになる。



3-5-2. テーマやトピック、サブトピック


テキスト分析は、会話のテーマを特定し、さらに、

テーマをトピックやサブ・トピックに分類する決まった方法(ルーティン)を持っている。

痛みの緩和に関連したテーマの例は、人々が製品カテゴリーにおいて

話す話題の範囲や、ブランドによってそれらがどのように異なるかを示している。


両方の会話は、熱の減少や、ヒーリング、副作用の問題について語っている。

しかし、2つの異なったストーリーになっている。

タイレノールは子供の安全性やブランド信用、やさしさについて、

アドビルは、有効性についてである。



上のテーマから、安全性や有効性といった複数のトピックにまたがっていることがわかる。

そして、テーマはいくつかのサブ・トピックにグループわけすることができる。


例えば、安全性は、子供の安全性や製品の安全性といったサブ・トピックに分類される。

我々が手動で行ったことをベンダー・ソフトウエアの場合、プログラムがやってくれる。


ソフトウエアによるトピックやサブ・トピックの良い例として、携帯電話のブランドがある。



分類によって、トピックや、サブ・トピック、分析、報告が、

顧客サービスや、サービス・プラン、携帯といった携帯ブランドの

ビジネス課題レベルで可能であり、

さらに、顧客サービス課題における知識や対応、礼儀正しさといった

非常に小さな関心事にまで掘り下げることができる。



基本的な投稿メッセージやコメントに問題を掘り下げることによって、

トピックやサブ・トピックに分類するコメントへのアクセスが可能になる。

このようなテーマやトピックについての分析は、広告のメッセージングや、

関心を表したりブランドとのコネクションを強化するための

ユーザーのコミュニティへの関与のような多くの方法で使われる可能性がある。



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2010年6月17日木曜日

リスニング・ソリューション: テキスト分析ソリューション・キー

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《第24回》


Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第18回目です。

今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

第2節 テキスト分析ソフトウエア・ソリューション Text Analysis Software Solutions その2です。


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 3-2 ソフトウエア評価における重要なポイント



この4つのタイプのベンダーは、次のような点で異なっている。

すなわち、基本的なテクノロジーやアルゴリズム、価格、展開のオプション、

実行条件、組織的リーチ、特にスタッフの専門知識と

システム・サポートの必要性の点である。

ベンダーの選択は、リスニングを行うそれぞれの会社にとって

特定的なものでなければいけない。

つまり、企業やビジネス・ユニットのリスニングの目的や戦略に照らして、

これらの要因やトレード・オフの重要性や妥当性を評価しなければいけない。



3-3 テキスト分析:ソリューション・キー



リスニング・ソフトウエアは、今述べたようないくつかのキーとなる

特徴を共有している。

異なったベンダー・タイプ間の違いを明らかにする必要がある。



1)インフォメーション・コレクション



すべてのテキスト分析のソフトウエアによって、企業は、

ウエブやブログ、ソーシャル・ネットワーク・コンテンツ、写真や

ビデオサイトのタグ、ウイキ、ツイッターなどのさまざまなソースから

コンテンツの収集が可能になる。

Clarabridgeのようなエンタープライズ・ベンダーは、

コールセンターやチャット、サーベイ、メッセージ・ボード/フォーラム、

CRMシステムや、例えばデータ・ウエアハウスのような構造的ソースといった

クライアント内部の「ブランド・バックヤード」に存在するデータに

直接接続するといった革新的な方法を提供している。



セルフサービス・ベンダーや専門ベンダーは、

主に「消費者バックヤード」ソースからコンテンツにアクセスする

メカニズムを提供している。

あるベンダーは、Lexalyticsのように、定期的にクロール*されるURLの

パッケージを作成する機能を提供したり、

ClarabridgeやTechrigy SM2のように、特別のURLで増強された

ソーシャル・メディア・ソースの事前に構成されたデータベースへの

アクセスを提供している。

*クロール(crawl)ソフトウェアなどが自動的にWebページを収集する作業のこと



2)ウエッブ・コレクター(エージェントあるいはボット)のセットアップ



ベンダーの標準的なソースを使ったり、クロールするためのURLを特定するよりも、

会話の収集は、さらに進んでいる。

単にURLをクロールすることは、しばしば不適切な結果をまねくことが多い。

というのは、クロールは特定することを欠いているからである。

ギーゴ(garbage in, garbage out)*を最小限にするためには、

それぞれのリスニング・プロジェクトのための最も適切な情報を

探しだすための良い検索エージェントを構築する必要がある。

*GIGO (garbage in, garbage out)ガイゴー / ギーゴー / ガーベジイン・ガーベジアウト


これには、正しいあるいは、ほぼ正しいデータを抽出する

クエリー*を開発しテストを行い、調整するための事前の相当量の作業が必要である。

*クエリー:データベースへの検索要求


ベンダーによっては、エージェント・セットアップは、

複数のブール演算子(Boolean operators)や、

コンプレックス・ロジックを使うことによって、

非常に洗練されたものが可能である。

一般的には、エンタープライズ・ベンダーは、

より多くのオプションを提供している。

しかし、これに対する投資は、十分価値がある。

というのは、データの品質、ひいては分析する会話に基づく

インサイトや決定を改善してくれるからである。



3)テキスト処理のコンピュータ化



ソーシャル・メディアの収集のあと、テキストは 

自然言語処理(natural language processing)と

機械学習(machine learning)によって高速処理される。 

自然言語処理:人間が日常的に使っている自然言語を
コンピュータに処理させる一連の技術であり、人工知能と言語学の一分野


機械学習:人工知能における研究課題の一つで、
人間が自然に行っている学習能力と同様の機能を
コンピュータで実現させるための技術・手法のこと。


自然言語処理は、会話やコメント、タグなどの収集した

ソーシャル・メディア・テキストをコンピュータが処理し、

分析できるフォーマットに変換する一連のプログラムを含んでいる。

機械学習は、コンピュータがデータから学習するために

トレーニングされることを可能にしたり、リスニング・プロジェクトで

処理されるすべてのデータに一貫したルールを適用する

アルゴリズムを含んでいる。

このように、新しいデータの付加は冒険ではなく、標準化と反復のプロセスである。


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2010年6月10日木曜日

リスニング・ソリューション: テキスト分析ソフトウエア・ベンダーの4タイプ

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《第23回》


Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第17回目です。


今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

第2節 テキスト分析ソフトウエア・ソリューション Text Analysis Software Solutions その1です。
 
 
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テキスト分析ソフトウエア・ソリューション



テキスト分析ソリューションの目的は、リスニング・プロジェクトのすべての側面を

手助けすることである。

例えば、会話の収集や、会話の構造化やマイニング、トピックやサブ・トピック、テーマ、

センチメント分析、キー・プレイヤーのトラッキング(例えば、人々やブランド、企業)、

分析やレポート、コラボレーションやブランドがインサイトに基づいて

活動することができるようにするワークフロー・ツールなどである。




リスニングに対する組織的ニーズや要求はさまざまであるので、

テキスト分析業界は、価値や製品、サービスを差別化すると同時に、

ニーズを満たすために常にイノベーションを行っている。



3-1.ベンダーの4つのタイプ


市場で利用可能なソリューションを検討した結果、

テキスト分析のベンダーを次の4つのグループに分類した。


1)エンタープライズ・ベンダー: 中規模から大企業をターゲットとする

2)セルフ・サービス・ベンダー:すべての規模の企業に対応する

3)専門ベンダー:1つか2つの領域に特化している

4)オープンソース・ベンダー:ソーシャル・メディア分析能力を

導入したい企業のためにツールを提供する


これらの企業の焦点が何であれ、彼らの目的は、

企業がその内部のリスニング能力を育成することを手助けすることである。




エンタープライズ・ベンダーは、通常、テキスト分析のプラットフォームを

提供する企業と考えられている。

それは、さまざまなビジネス・ニーズをサポートし、

その他のコンピュータ・ソフトウエア・システムや、

顧客が持っているCRMや営業・マーケティング・システムのような

データベースと密接に関連している。


例えば、Attensityというベンダーは、

「アクションを引き起こすためのテキストを活用する能力を通して、

組織が重要なビジネス要求を発信することを手助けしている」。


彼らの製品ポートフォリオは、

企業がリスニングを行ったり(Attensity Voice of the Customer, Attensity Market Voice)、

聞いたことに反応したり((Attensity Response Man agement, Attensity E-Service Suite)、

リサーチや発見をしたり(Attensity Research and Discovery)、

リスク・マネジメントやコンプライアンスを行ったり(Attensity Risk & Compliance)、

トレンドやパターン、関係性を発見したり(Intelligence Analysis)

することを手助けしている。


エンタープライズ・ベンダーは、伝統的にクライアントのIT環境のもとで

使用を許可され実行できるソフトウエアを提供している。


その多くは、今日、専門的に管理しホストとなる構築が容易なプラットフォームを

求めているクライアントへの代替サービスとして、ソフトウエアを検討し提供を行っている。


せルフ・サービス・ベンダーは、ツールの収集と、エンド・ユーザーがモニターを行い、

分析、報告を行えるようにする機能を提供している。


これらのベンダーは、ブラウザやインターネット接続によって

利用可能なサービスとしてソリューションを提供している。


Trenrrといったベンダーは、プログラマー・インターフェースを通して、

企業のデータ・ソースと、モニターを行うソーシャル・メディア・ソースとを

統合する方法を提供している。



リスニングの人気の拡大から、この分野では、その多くが投資家の支援を受けた

新規企業の参入が急激に増加している。


新規企業であるTechrigy社は、リアル・タイム・ソーシャル・メディア・モニタリングや、

センチメント分析、ディスカッション・クラスタリング、カスタマイズ・レポーティングなどの

提供を行っている。



専門ベンダーは、非常に特定の分野に焦点を当てている。

例えば、人々や企業の意見(Jodange)や、

ブランドやブランド特性についてのセンチメント(GeeYee)、

役員レベルの人のモニタリングや意思決定のための

センチメント・ダッシュボードの構築(General Sentiment)などである。



オープンソース・ベンダーは、テキスト分析を行うためのフレームワークや

コンポーネント、サービスの提供を行っている。


これらは、通常、ソフトウエア・ソリューションに属性の追加を行いたい

プログラマーによって行われる。


技術的な話なので、ここではこれ以上議論を行わないけれども、

主なツールとしては、以下のようなものがある。

GATE,

Yale/RapidMiner,

UIMA (unstructured information management architecture, a component framework) and

UCompare

 
 
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