2010年2月8日月曜日

The ARF Listening Playbookの紹介 (1)

●先週の(株)エクスピリッジのもう1つのブログ「みんなのMR」で、
IT関連の調査で有名なUSのForrester Research社のReineke Reitsma
リサーチ・ディレクターが、2010年のリサーチ・トレンドとして、
「listeningリスニング」という言葉をあげていることを紹介しました。

●彼女によれば、「消費者のニーズを理解するために多くの調査は、
これまで主に尋ねること(asking)を行っている。しかし、数字の背後にある
ストーリーを発見するために、2010年には、
リサーチは定性的なlisteningのツールを装備すべきである」と考えています。

●同時に、USの権威あるリサーチ団体であるARF(Advertising Research Foundation)も、
昨年からlisteningの重要性に着目して、その方法を探究しています。


●以下では、ARFから得た資料The ARF Listening Playbookの紹介を行います。

●まずAFR団体の紹介です。http://www.thearf.org/

-1936年に創立。広告やマーケティング、メディア業界をリードする
専門情報(fact-based thought-leadership)と提供する専門団体。

現在、 広告主や広告会社、メディア会社、調査会社約350社が加盟。

本部はニューヨーク。Journal of Advertising Researchを発行。


●本資料は6章構成になっています。

 
第1章でリスニングの理論的背景を述べています。基礎編です。

第2章で、マーケティング課題別にその適用例を説明しています。

第3章でリスニングの具体的なソリューション・ツールについて説明しています。
リサーチャーにとって、おもしろい部分です。

第4章ではリスニングの可能性について提案しています。
リスニングがマーケティングや広告をどのように変えてゆくかを展望しています。

第5章は、前職の同僚であり、ARFのChief Research Officerである
Joel Rubinsonが、リスニングによってマーケティング・リサーチが
どのように変革されるかについて論じています。

最後の第6章は、リスニング関係のUSの会社について紹介しています。
これは役立ちます。

最後は、用語や文献の紹介です。
Social mediaのさまざな専門用語の解説も役立ちます。


●「はじめに」で言っているように、次の4つの質問に答えようとしています。

①1つはリスニングとは何かwhat is listening、

②どのように使われるかhow is it used、

③どのように実践されるかhow is it done、

④今後はどの方向に向かっているのかwhere is it headed。


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●目次は、
  
序文
はじめに Introduction
The ARF Listening Playbookの使い方
謝辞

第1章 リスニングの本質

リスニングの定義

本書の焦点ブランドがリスニングしなければいけない理由 Why Brands Listen

リスニングの構造The Structure of a Listening Initiative

リスニングがブランド目標の達成に貢献する理由
Objectives That Listening Helps Brands Achieve

リスニング・リサーチの利用 Research Uses for Listening

ブランド・リスニングの場所 Where Brands Listen

ブランドがリスニングする相手 Who Brands Listen To

オンライン上の声の代表性とデータの質の問題
Representative Nature of Online Voices and Data Quality

ブランド・リスニングのアプローチ方法 Brands’ Listening Approaches

リスニングでブランドが測定するもの What Brands Measure Through Listening

リスニング・マーケティングに向けて Towards a Listening-inspired Marketing Science

リスニングの挑戦と機会 Listening Challenges and Opportunities



第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用
Casebook: Putting Listening to Work

新規顧客の発見 Discover New Customers

新製品開発とイノベーション Drive New Product Development and Innovation

メッセージの形成と精緻化 Shape and Sharpen Messaging

既存製品の改善 Improve Existing Products

販売モメンタムの維持 Maintain Sales Momentum

ブランド成長の動因 Drive Brand Growth

ブランド再構築とリポジショニングRebrand and Reposition

企業やブランド、顧客に影響する課題の解決
Tackle Issues That Affect Your Company, Brand and Customers

評判のマネジメント  Manage Reputation

ブランド・ヘルスのマネジメント  Manage Brand Health

顧客のケア  Customer Care

顧客ロイヤルティと顧客価値の向上  Increase Loyalty and Customer Value


第3章 リスニング・ソリューション 
Listening Solutions

リスニング・ソリューションのタイプ  Types of Listening Solutions

SEOとメディア・モニタリング  Search Engines and Media Monitoring

テキスト分析のためのソフトウエア・ソリューション Text Analysis Software Solutions

フルサービス・リスニング会社 Full-Service Lsitening Vendors

オフラインとオンラインの口コミ  Offline and Online Word-of-Mouth

バズ会社と口コミ・プログラム  Buzz Agencies and Instigated Word of Mouth Programs

個別のブランド・コミュニティ Private Branded Communities


第4章 最先端:リスニング・マーケティング科学と、
メディア戦略、組織デザイン
Cutting Edges: Listening-inspired Marketing Science, Media Strategy and Organizational Design

会話(投入量)シェアとマーケットシェア
Conversational Share of Voice and Share of Market

結果の予測  Predicting Outcomes

会話の金銭的価値  Monetary Value of Conversations

注意点:予測におけるの情緒とデータの質の役割 
Bear in Mind: The Role of Sentiment and Data Quality in Prediction

リスニング志向のメディア・リサーチ、ターゲティング、プラニング、テスティング  
Listening-lead Media Research, Audience Targeting, Planning and Testing

組織デザインと発展  Organization Design and Development

リスニングの可能性 The Promise of Listening


第5章 リスニングとマーケティング・リサーチの変革
by Joel Rubinson, CRO, The ARF


第6章 関連企業プロフィール: リソース・ガイド 
A Resource Guide

SEOとメディア・モニタリング会社
テキスト分析会社 フルサービスのリスニング会社
オフラインとオンラインの口コミ会社
口コミ会社
オンライン・コミュニティ会社

参考資料

用語集
参考文献
索引
著者について 

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●私が専門とするSocial Media Researchは、非常に新しい分野です。
Digital consumer plannerにとって、Social media researchの方法は
欠かすことができません。


しかし、この用語自体まだ定着していない感があります。

Social mediaの動向をリサーチするものと誤解されるかもしれません。

そうではなく、Marketing research by using social mediaといったほうがよいかもしれません。

Social media marketing researchでは少し長いでしょう。

カナダのあるリサーチャーは、research wtihout survey researchとも言っています。

つまり、従来のランダム・サンプリング(対象者の代表性)や調査バイアスなどに
固執するサーベイ・リサーチとは異なる方法

ー従来の方法は代表性などに固執するあまり、
消費者インサイトの発見面でうまく機能していないー

である点を強調しています。(私とのメールで)

本資料は、この分野を理論的にまとめた最初のものです。未だ発展・開発途上にあります。

今後、その内容もSocial Mediaの進展とともに変化してゆくでしょう。

既存のマーケティング・リサーチを大きく変革することが期待されています。

現在USでは、MROCsという言葉が定着しつつあります。
これはMarketing Research Online Communitiesの略です。

早くて安く柔軟に消費者を調査することができる「オンライン・コミュニティ」は、
従来のインターネット調査での「オンライン・パネル」に対応する言葉です。

USでは、インターネット・リサーチをもはや「伝統的調査」の中に分類する人もいます。

リスニングはMROCsにおける有力な方法です。


●次回は、第1章からさらに詳しく見てゆきたいと思います。ご期待下さい。◆


《このBlogは毎週月曜日の午前中に更新されます。月曜日がお休みの時は火曜日の午前中です。また臨時に更新されることがあります》

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