2010年7月29日木曜日

リスニング・ソリューション: フル・サービス・リスニング・ベンダー②

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《第29回》

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第22回目です。

今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

第3節 フル・サービス・リスニング・ベンダー その2です。


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3.フルサービス・リスニング・ベンダー


データ構造




データの構造化―トピックスや、サブ・トピックスの分類や開発、テーマの特定、

センチメント分析の方法の開発、テストや精緻化とそれらの繰り返しを含むーは、

プロジェクトの第3の典型的なステップである。



ベンダーは、プロジェクト目的の構造化の完全性や妥当性を確実にするために、

技術的知識や、ソーシャル・メディア、カテゴリーや課題への専門的知識などの

複合的知識を導入している。



会話の構造化の詳細については、119頁を参照。(6月24日の本ブログ参照)



フルサービス・ベンダーは、多くのプロジェクトにおいて、コンピュータによる分析を

人的分析で補完している。

というのは、ブランドが、1つや少数のポストに基づいてアクションを起こす可能性が

あるからである。



「zPhoneが好きだよ」といったようなコメントがどのような意味を持っているのだろうか。



単なる皮肉なのか、否定的センチメント、あるいは歓びの表現、

ポジティブ・センチメントだろうか。



コメントを理解しようとするブランドにとって、文脈や、その他の手掛かりによって、

コメントから特別な意味を見出すことは重要である。



コンピュータによるセンチメント分析は、トレンド分析には向いているけれども、

個人レベルにおける正確性については劣っている。



このような理由から、フルサービス・ベンダーには、

センチメント・アサインメントの正確性を改善するためのスタッフが存在している。

(コンピュータによるセンチメント・アサインメントの議論については121頁参照)

(7月8日の本ブログ参照)


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2010年7月22日木曜日

リスニング・ソリューション: フル・サービス・リスニング・ベンダー①

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《第28回》

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第21回目です。

今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

第3節 フル・サービス・リスニング・ベンダー その1です。


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3.フルサービス・リスニング・ベンダー



フルサービスのベンダーは、テキスト分析のベンダーと同じ機能を提供するだけでなく、

付加価値サービスをも提供している。

ここでは、ブランド・マーケティングや広告、PRのプロジェクトに専門化したものに関心がある。



3-1.リスニング・ベンダー: ソリューション・キー


コンサルティングやサービスの提供は、リスニング・プロジェクト・マネジメントや、

データ品質、分析、レポーティング、戦略、時にはエージェンシー・サービスに焦点を当てている。

ブランド・リスニング・プラットフォームの主なベンダーには、

Nielsen Online, TNS Cymfony, Converseon, MotiveQuest, JD Power Web Intelligence,

Harris Interactive、Collective Intellectなどが含まれる。


1)プロジェクト・マネジメント


プラットフォーム・ベンダーは、広範囲のサービスを提供している。

例えば、①ニーズの評価、②プロジェクト範囲の設定、③リソースの配分、

④作業のスケジュール設定、⑤システムの運用、⑥モニタリングの進行、

⑦ソリューションの展開などである。


フルサービス・ベンダーは、多くのプロジェクトの実施の経験から、

またプロジェクトの成功に寄与する技術的、分析的なリソースを持つことによって、

付加価値を提供している。



2)体系的なプロジェクトの方法


リスニング・プラットフォームのベンダーは、多くの場合、

プロジェクト実施のアプローチの方法を標準化している。


ニールセン・オンラインは、本質を適切についた1つのモデルを提供している。


①収集と摘出


プロジェクトは、ソーシャル・メディア情報を収集するという広範囲な仕事から始まる。

それらには、内部データのような「ブランド・バックヤード」ソースの情報や、

ブログやフォーラムといった企業がコントロール可能なソースの情報、

掲示板やソーシャル・ネットワーク、ツイッターといった「消費者バックヤード」ソース

の情報が含まれる。


プラットフォーム・ベンダーは、正しいソースが採用され、検索が正しい情報を

摘出することを確実にするために、処理プロセスと熟練者を適正配置している。



②クリーニングとデータの品質


データの品質が、リスニング・プロジェクトが成功するか失敗するかどうかの

最も重要な理由と言えるだろう。


データの品質なしでは、「信号対雑音比」は、非常に低いので、

プロジェクトが信頼分析のために必要な情報を抽出することができない。


このコントロールのステップが、処理する前に、データをチェックし、

雑音を取り除き、クリーンにすることを保証するものである。



プラットフォーム・ベンダーは、リスニング・プロジェクトのための技術やインフラを提供する。

それらは、クライアントがもつ複雑さを軽減したり、ソフトウエア実行の費用の節約に役立つものである。


経験やプロジェクトの歴史に基づいて、ベンダーは、簡略法や、トレードの知識、

「ビジネスのコツ」を発展させてきた。それらをリスニング・プロジェクトの効率性や

正確性、適時性を向上させるユーティリティや、特別のプログラムのライブラリー

を構築のために使っている。



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2010年7月15日木曜日

リスニング・ソリューション: 分析とレポーティング

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《第27回》

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第21回目です。

今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

第2節 テキスト分析ソフトウエア・ソリューション Text Analysis Software Solutions その5です。


次週は、「第3節 フル・サービス・リスニング・ベンダー」です。


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3-7 分析とレポーティング




ベンダーは、ソーシャル・メディアでの会話のすべての側面について

分析を行いレポーティングするためのツールを提供している。

通常、会話の総量や、カテゴリーについての統計、分類やテーマ(トピックス、サブトピックス)、

ソーシャル・メディア・ソース、センチメント、キー・アクター

(人々やブランド、競合、小売、インフルエンサー)、比較、ランキング、

トレンドなどが含まれている。



このような分析は、競合のポジショニングや、先ほど言及したアドビルと

タイレノールの例のようなメッセージングやエンゲージメント戦略立案のような

目的のために使われる。



ベンダーのレポーティング・ツールは、デザインが柔軟である表やチャート、

グラフを提供している。

それによって、レポートは、リスニング目的に合致するように設計することが可能である。

多くは、チャートやグラフに「ドリルダウン」することが可能である。

それによって、分析者は、彼らが関心があるデータの背後にあるものを見ることができる。

事実、すべての企業は、図45の示すようなクララブリッジ・ソーシャル・メディア分析のように、

急なモニタリングやレポーティングのためのダッシュボードやツールバーを提供している。



3-8 グループとコラボレーションの特徴



会話やインサイトに従って行動するためには、チームやグループが、

情報を共有、伝達したり、コメントを行ったり、戦略を立案、実行し、

計画に対応することが必要である。

作業グループと協働の特徴は、ますます共通になってきている。

あるベンダーは、eメールやCRMのような既存のシステムへの接続を提供している。

またAttensity やRadian6のようなベンダーは、顧客の声に従って行動するためや、

Salesforce.comのようなインハウスや、サードパーティのシステムと、

ケース・レコードを統合するための一式のツールを提供している。



3-9 サードパーティ・システムとの統合



前述のエンタープライズ・ベンダーは、インハウスのデータベース

(例えば、CRMや営業、マーケティング)や、

サードパティ・アプリケーションを統合するRSSやプログラム・インターフェース、

データ・フィードといったツールを彼らの顧客に提供している。

そうすることによって、彼らの顧客は、360度視点に立った

行動計画を創造することが可能になる。

セルフサービス・ツールのユーザーは、ソーシャル・メディアのデータセットを

彼らの内部のデータベースに組み込むことができる。



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2010年7月8日木曜日

リスニング・ソリューション: センチメント・アサインメント

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《第26回》

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第20回目です。

今回は、第3章 リスニング・ソリューション Listening Solutionsの

第2節 テキスト分析ソフトウエア・ソリューション Text Analysis Software Solutions その4です。


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3-6 センチメント・アサインメント



どのように人々が感じるかー肯定的、否定的、中立―は、「センチメント」と呼ばれる。


ユーザーや見込み客が、ブランドとどのように関連し、

その好き嫌いや問題点、満足度をどのように語っているかを理解することによって、

会話に関わったり、

消費者のムードによってブランドを測定したり、

ブランドの利点を最大化し、欠点を最小化するためのマーケティング活動やPR活動

を行うための貴重な方向性をえることができる。



センチメントは、リスニングにおける最もホットなトピックの1つであるけれども、

単に「グリーンやイエロー、レッド」といった以上には十分理解はされていない。

しかし、センチメントが計算され、分類されるいくつもの方法があるので、

その十分な理解が必要である。



センチメントの分類は、全体的であり、また特定的でもある。

それは、個々の記事や、コメント、投稿のセンチメントといった

ドキュメント・レベルのものから、人や場所、物事といった存在レベルに渡っている。

センチメントは、リスニングのプロジェクトにおいて非常に重要なので、

賢明なリスナーは、ベンダーのセンチメント・ソリューションの強みや弱みを

十分に理解する必要がある。



多くの場合、コンピュータによって計算されたセンチメント・スコアの正確性と

利用可能性について語られる。

それは、その価値についての混乱と議論をしばしば呼ぶものである。

70%あるいはそれ以上の正確性を確保したとか、20%あるいはそれ以下であるとか、

センチメントは皮肉や多義的なアイディアといったニュアンスを捉えきれないなどと

ソフトウエア企業が述べた場合、このような論争を評価することができる。



本書の執筆にあたり、我々は、テキスト分析のソフトウエア企業の担当者に、

自動化センチメント分析の価値と、現在の強みと弱みについて、インタビューを行った。

彼らのコメントは非常に実際的である。

次のように、コンピュータによって計算されたセンチメント・スコアと、

人的な分析によるセンチメントとがある。

・コンピュータによって計算されたセンチメント・スコアは、

全体的なトレンドを追う場合に非常に有用であるが、個人的会話を分析するには向いていない。

・機械的なセンチメント・スコアは、何千もの会話を分析する最も効率的な方法である。

・人的な分析には重要な役割がある。特に文脈や正確性が問題の時には必要である。



自動化と、絶対的な正確性とは、トレードオフの関係にある。

特定のニーズや要求によって、どちらの方法を選ぶべきか適切なガイドが、

ブランドには必要である。


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