●ARFのThe ARF Listening Playbookの
「第5章 リスニングとリサーチの変革」の後半の紹介です。
*******************************************************
フェースブックがマイスペースにとって変わった。
ツイッターが4000万ユーザーとともに突然現れた。
消費者の共有が、スーザン・ボイル現象を生みだしたり、
2008年のモートリンの失敗*のような大規模なマーケティング・キャンペーンを
中止に追い込んだりした。
注* Motrinモートリン(鎮痛薬)2008年12月に、頭痛薬のCMで「子供を背負ったり抱いたりするのは頭痛を引き起こすことがあります」とユーモラスなビデオで紹介。ママたちの怒りが爆発。炎上を受けて4日後、公式に謝罪。Controversial Motrin Moms Commercial (「日本にソーシャルメディアの風を!」より。
オンディマンドTVによるビデオや、DVD、モバイル、ウエッブの存在は、
ビデオがもはや一方的に見るという体験ではないことを示している。
変化は、加速度的に進行している。
今後、あなたのビジネスを撹乱するのは、現在の競争相手ではなく、
テクノロジーの具現者や、成功した起業家、究極的には、
それらを活用する消費者であるだろう。
それゆえに、我々は再び「なぜ変化するのか」を考えたい。
我々は、変化が激しく予測しづらいマーケティング環境の中で暮らしている。
未来研究所は、これを4つの文字の頭文字をとって、VUCAとよんでいる。
すなわち、不安定性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、
複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)である。
従って、組織は、素早く学習する組織(fast learning organizations)を
目指してその焦点を変えなければいけない。
マーケターは、彼らが売ろうとしているブランドの視点ではなく、
チェンジ・メーカー(change-makers)つまり人々を彼らの文脈で研究する必要がある。
マーケターは、彼(女)らのインサイト・チームに、
未来に焦点を当てた大きな問題に取り組むことを要求しなければいけない。
リサーチやインサイトのチームは、過去を測定するだけでなく、
将来の状況を予測したり、マーケティング戦略やアクションの提言を
行うために学習しなければいけない。
リサーチは、自らが変わらなければいけないだけでなく、
マーケティング思考の中心に人間を据えた俊敏な学習者の役割を果たす
ことによって組織をも変革しなければいけない。
リサーチは、リスニングにこれまで以上に重点を置かなければいけない。
予想していないことをリスニングするには、謙虚な気持ちが必要である。
人々は、行動への参加を始めたり、我々が未だ十分に理解していない方法で、
ライフスタイルの選好や選択を変化させているかもしれない。
それゆえに、われわれはリスニングを行うのである。
アイフォンの大きな転換点は、その営業レポートで最初にわかったのか、
それとも、検索やオンライン上の会話で最初に明らかになったのか。
人々の経済に対する関心が、どの時点で、ターゲット社が何をやっているかを
調べていたウォルマートを再び勢いを取り戻す方向へ転換させたのだろうか。*
逆転が起こり始める初期に、ターゲット社が、消費者が語っていたことに反応したのだろうか。
*リーマン・ショックの前まで、ウォルマートよりも好調であったターゲット(USの大型量販店)が、
不況下に不調に陥り、ウォルマートに抜かれたことを指す。(タイムの記事参照)
本書を書いている時点では、オンライン・ビデオをモバイル機器で見ている割合は非常に低い。
キンドルでの新聞購読のシェアも小さい。
これらが大きく伸びる場合、どのような兆候が見られるのだろうか。
もし一方が大きく伸びて、他方が一時的な成功に終わった場合、
歴史として行動が指標に表れる前に、どのようなシグナルが見られるのだろうか。
リスニングは、イノベーション・プロセスの中心に位置付けられる必要がある。
これは、多くの組織やリサーチのリーダーにとって、180度の大転換である。
後方に位置していたリサーチが、真正面に置かれることになる。
これからは、マーケティング・チームが、コンセプトや広告テストを
依頼する時に初めて、リサーチの役割が始まるのではない。
リサーチの役割は、消費者の次の動きを予想することであり、
マーケティング・チームがイノベーションを起こすことを助けることである。
この変革の強固な思考枠組を提示したのは、
キム・デディッカー(元P&G)である。
彼女は、正規分布図を書いて、調査支出のおよそ80%は、
(コンセプトや製品、広告、マーケティング・キャンペーンの)「テストや評価」に使われ、
残りの20%が、「イノベーション」の創造と、「感覚や反応」に2分されていることを示した。
2003年に、我々は、「テストと評価」の正確性の改善に焦点をあてた。
2008年と2009年には、この支出のバランスの適正化と、
企業内における学習の創造に焦点を当てた。
確かに、多くのテストと評価のためのリサーチが行われている。
しかし、正確な予測や説明力ある指標は、学習する組織においては、
もはや十分なものではない。
リサーチの方法は、企業がすべてのテストから学べるように
設計されなければいけない。
例えば、新しい考えがうまくテストされたり、されなかったりするのには
理由が存在する。
このことは重要な学習につながるものである。
もしうまくテストされない場合は、既に教訓を学んでいるので
そのテストが不要であるか、調査が効果的に設計されなかったと言える。
これまでになかったソーシャル・メディアや、検索、その他のオンライン上の活動で、
自然に起こった会話や行動のおかげで、
幸いにも、我々には聞く能力もあり、予想していないことを聞く能力もある。
このようなインサイトは、リサーチのリズムを変える絶え間ない川のように我々に押し寄せてくる。
ニールセン・オンラインのピート・ブラックショーが名付けた「リスニング・パイプ」は、
「強制的なサーベイ」を今や超えた存在である。
それは、「ブランドの後方」や、流通における相互作用、
管理されたコミュニティにおけるソーシャル・メディアでの会話や、
検索、デジタル分析、顧客間の相互作用を含んだものである。
2009年にサンフランシスコで行われたリサーチの変革についてのARFの会議で、
『グランズウェル』の共著者であるシャーリーン・リーは、
「活動家的な消費者」の台頭について言及した。
彼女と、ピート・ブラックショーは、そのような消費者は、
聞いてもらうことを望んでいるという点で同じ意見であった。
本書でのニールセンとP&Gのケースが証明したように、
リスニングと、サーベイからは、それぞれ異なったインサイトを得ることができる。
リスニングによって、知らないことを理解することができる。
マーケターのリサーチとインサイトのチームは、
このリスニングとサーベイのインサイトの2つのソースを統合する戦略を
発展させなければいけない。
リサーチは、その存在価値をどのようにして高めるかについて継続的に腐心してきた。
筆者は、これに関係して、映画「Xメン」の類推に共感している。
Xメンのすべての主な登場人物は、ある状況において、
最大の力を発揮するユニークで、強力なパワーを持っている。
これまで、リサーチの強力なパワーは、測定だと信じられてきた。
我々のXメンの強力なパワーは、人間を生活に位置付ける
総合的に予測する学習能力であることに気づいた。
人々がどのような生活を送りどのようなことに関心があるかについての視点は、
変革やブランドに関係性を持たせる上で非常に重要であるので、
これはXメンの状況に匹敵するものと考えられる。
あなたのチームにウルヴァリンやストーム*が必要ではありませんか。
*Xメンに登場するキャラクター
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《このBlogは毎週木曜日の午前中に更新されます。
木曜日がお休みの時は金曜日の午前中です。また臨時に更新されることがあります》
2010年4月30日金曜日
2010年4月22日木曜日
リスニング・マーケティング: Social Media時代の新しい消費者調査 (第11回)
●ARFのThe ARF Listening Playbookの
「第5章 リスニングとリサーチの変革」の前半の紹介です。
リスニング・マーケティングにより、リサーチがどのように変わるかを論じています。
この部分は、著者Steve RappaportのARFでの同僚でCRO(チーフ・リサーチ・オフィサー)を
務めているリサーチャーであるJoel Rubinsonが書いています。
彼は私のシノベイト時代の同僚で、リサーチのソリューション責任者でした。
ショッパー・インサイトの調査企画書を一緒に作成したりしていました。
彼のブログとTwitterは、USでも高い評価をえています。
USを代表するリサーチャーの1人であり、またリサーチ変革の第1人者でもあります。
************************************************************
第5章
リスニングとリサーチの変革
本書は、消費者が主導権を持っている時代に、迅速に対応できる組織を
作ることについて述べている。
恐らく本書の多くの部分では、マーケティング・リサーチやインサイトが、
ビジネスに影響を与えるやり方を変革することについて述べている。
賢明にリスニングを行えば、差別化を生みだすことが可能である
リサーチの機能は次の2つである:
1)予測できることを定量化する、(つまり指標化)
2)予測できないことを聞く。
リサーチの価値を高めようとする考えが、この5年間で、どのようにして、
定量化から、リスニングを必要とする「何か」に変化したかをこれから説明しよう。
2003年にARFとESOMARは共同で、マーケティング・リサーチのビジョンと
価値を再定義するために熱心に活動する業界のリーダーの動きを世界中で後押した。
2008年の7月以来、ARFはリサーチの使命やビジョン、機能の範囲を再定義するために、
リサーチ改革評議会を立ち上げ、著名なマーケターのチームをリードしてきた。
たったこの5年間で、これらの2つの活動は、非常に異なった方向に進んできた。
2003のキーワードは、説明責任や、妥当性、差別化、科学、測定、モデル、
知識、調整、正当性、R4―正しい情報や、正しい場所、正しい時間、正しいフォームであった。
2008年と2009年に開かれたリーダーシップ会議や産業フォーラムで
出されたキーワードは全く異なったものであった。
例えば、ヒューマンや、統合、科学、ソーシャル・メディアによる共有、
学習、ストーリーテリング、リスク・テイカー、戦略(どこで戦い、どこで勝つか)。
なぜこのような変化が起こったのか。
2003年までは、マーケターは、「刺激―反応」モデルに従って考えていた。
つまり、マーケターは、消費者の反応を期待する刺激を提供していたのである。
マーケターは、コンテンツやメッセージの主導権を握っていた。
伝統的なメディアであっても、ウエブ上のものであっても、
そのコンテンツは、マーケターが作り出したものであった。
ビジネスというのは、「バランス・スコアカード」*的思考性を持っている。
つまり、指標によってパフォーマンスを改善することや、
組織的整合性**を達成するためにそれらを使うことに焦点を当てている。
注*バランススコアカードは、従来の財務分析による業績評価に加えて、お客様の視点(顧客の視点)、業務の内容や製品のクオリティ(業務プロセスの視点)、企業のもつナレッジ(アイディア、ノウハウ)や従業員の意識・能力(成長と学習の視点)を加味した業績評価を行なうことで、企業のもつ有形資産、無形資産、未来への投資などを含めた今を総合的に評価するためのマネジメント手法
注**Organizational Alignment は、企業と顧客の整合性、従業員と企業の目標の整合性、業務の達成度と期待感の整合性などのレベル。企業成功の可能性を評価、経営クオリティ向上のための経営課題を明らかにする。その組織が市場とアラインメント(方向性の一致)しているか、また、組織の中の従業員とベクトルがあっていうかどうかなど。
同時に、ビジネスは、マーケティングの成果を常に改善するために、
すべてのマーケティング活動のROIを測定するように求められている。
マーケティング・リサーチは、これらの組織ニーズを十分に活用した。
すなわち、消費者やマーケティングに基づいた重要な指標を測定して
スコアカードを作成したり、信頼性の高い指標をさらに正確かつ厳密なものに改善した。
特に、マーケティングのROI(投資収益率)を算出し、
最終的に改善することによって、マーケティング・リサーチは貢献ができるだろう。
事実、2003年には、コンサルタントや、リーダーシップ、インサイトという言葉は
必要なものとして含まれていた。しかし、差別化するほどのものではなかった。
組織が望むことー測定と検証に焦点をあてることは、リサーチの価値であった。
2004年から2005年にかけて、マーケティングの変化は始まった。
主導権は、既存のマーケティングやメディア体制から、人々に移行した。
そのころから消費者がウエッブサイトに群がり始めた。
そこでは、人々はお互いにつながりあい、自身のコンテンツの提供を始めた。
そこでの通貨は、相互依存であった。
現代では、消費者は、彼らのニーズやブランドの好みについての考え方や
写真、ビデオ、オーディオ、メッセージなどを直接、共有することができる。
消費者は、主導権を別の方法で獲得したのであった。
メディアや買い物のロングテールがどんどん長くなるように、
選択はほとんど無限になった。
コンテントのタイプとメディアとの一貫性はなくなった。
今日では、30分もののコメディ*は、もはやテレビとは同意語でなくなっている。
モバイルを含む、少なくとも3つのスクリーンでも見ることができる。
注*シチュエーションコメディ(situation comedy)はコメディのジャンルのひとつで、登場人物や場面が固定された連続もののコメディ作品やその手法を指す。しばしばシットコム(sitcom)と略される。日本で有名な作品としては『奥さまは魔女』や『フルハウス』、『フレンズ』など。
書籍は、キンドルのような携帯できる電子機器で見ることができる。
これは、書籍の広告の可能性を生みだしている。
マーケティングやメディア体制ではなく、人々が主導権を握っているのである。
人々の選択である。
CNNのニュースルームが、速報ニュースのために、
Twitterをモニターしているような世界で我々は暮らしているのである。
2006年に、タイム誌は、変化の予兆を表していた。
タイム誌の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」は、「あなた」(消費者、人間、人類)であった。
2006年を違ったレンズで見ると、異なったストーリーが見えてくるだろう。
かつてなかった規模でのコミュニティやコラボレーションについてである。
無限の知識の宝庫であるウイキペディアや、百万チャネルをもつ
人々のネットワークであるYouTube、
オンライン・メトロポリスであるMySpaceなどである。
少数者による変化のパワーや、相互扶助など、単に世界を変えるだけでなく、
世界を変える方法自体を変えてしまうということである。
これらはほんの始まりに過ぎなかったことを我々は現在、理解している。。。
(後半に続く)
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「第5章 リスニングとリサーチの変革」の前半の紹介です。
リスニング・マーケティングにより、リサーチがどのように変わるかを論じています。
この部分は、著者Steve RappaportのARFでの同僚でCRO(チーフ・リサーチ・オフィサー)を
務めているリサーチャーであるJoel Rubinsonが書いています。
彼は私のシノベイト時代の同僚で、リサーチのソリューション責任者でした。
ショッパー・インサイトの調査企画書を一緒に作成したりしていました。
彼のブログとTwitterは、USでも高い評価をえています。
USを代表するリサーチャーの1人であり、またリサーチ変革の第1人者でもあります。
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第5章
リスニングとリサーチの変革
本書は、消費者が主導権を持っている時代に、迅速に対応できる組織を
作ることについて述べている。
恐らく本書の多くの部分では、マーケティング・リサーチやインサイトが、
ビジネスに影響を与えるやり方を変革することについて述べている。
賢明にリスニングを行えば、差別化を生みだすことが可能である
リサーチの機能は次の2つである:
1)予測できることを定量化する、(つまり指標化)
2)予測できないことを聞く。
リサーチの価値を高めようとする考えが、この5年間で、どのようにして、
定量化から、リスニングを必要とする「何か」に変化したかをこれから説明しよう。
2003年にARFとESOMARは共同で、マーケティング・リサーチのビジョンと
価値を再定義するために熱心に活動する業界のリーダーの動きを世界中で後押した。
2008年の7月以来、ARFはリサーチの使命やビジョン、機能の範囲を再定義するために、
リサーチ改革評議会を立ち上げ、著名なマーケターのチームをリードしてきた。
たったこの5年間で、これらの2つの活動は、非常に異なった方向に進んできた。
2003のキーワードは、説明責任や、妥当性、差別化、科学、測定、モデル、
知識、調整、正当性、R4―正しい情報や、正しい場所、正しい時間、正しいフォームであった。
2008年と2009年に開かれたリーダーシップ会議や産業フォーラムで
出されたキーワードは全く異なったものであった。
例えば、ヒューマンや、統合、科学、ソーシャル・メディアによる共有、
学習、ストーリーテリング、リスク・テイカー、戦略(どこで戦い、どこで勝つか)。
なぜこのような変化が起こったのか。
2003年までは、マーケターは、「刺激―反応」モデルに従って考えていた。
つまり、マーケターは、消費者の反応を期待する刺激を提供していたのである。
マーケターは、コンテンツやメッセージの主導権を握っていた。
伝統的なメディアであっても、ウエブ上のものであっても、
そのコンテンツは、マーケターが作り出したものであった。
ビジネスというのは、「バランス・スコアカード」*的思考性を持っている。
つまり、指標によってパフォーマンスを改善することや、
組織的整合性**を達成するためにそれらを使うことに焦点を当てている。
注*バランススコアカードは、従来の財務分析による業績評価に加えて、お客様の視点(顧客の視点)、業務の内容や製品のクオリティ(業務プロセスの視点)、企業のもつナレッジ(アイディア、ノウハウ)や従業員の意識・能力(成長と学習の視点)を加味した業績評価を行なうことで、企業のもつ有形資産、無形資産、未来への投資などを含めた今を総合的に評価するためのマネジメント手法
注**Organizational Alignment は、企業と顧客の整合性、従業員と企業の目標の整合性、業務の達成度と期待感の整合性などのレベル。企業成功の可能性を評価、経営クオリティ向上のための経営課題を明らかにする。その組織が市場とアラインメント(方向性の一致)しているか、また、組織の中の従業員とベクトルがあっていうかどうかなど。
同時に、ビジネスは、マーケティングの成果を常に改善するために、
すべてのマーケティング活動のROIを測定するように求められている。
マーケティング・リサーチは、これらの組織ニーズを十分に活用した。
すなわち、消費者やマーケティングに基づいた重要な指標を測定して
スコアカードを作成したり、信頼性の高い指標をさらに正確かつ厳密なものに改善した。
特に、マーケティングのROI(投資収益率)を算出し、
最終的に改善することによって、マーケティング・リサーチは貢献ができるだろう。
事実、2003年には、コンサルタントや、リーダーシップ、インサイトという言葉は
必要なものとして含まれていた。しかし、差別化するほどのものではなかった。
組織が望むことー測定と検証に焦点をあてることは、リサーチの価値であった。
2004年から2005年にかけて、マーケティングの変化は始まった。
主導権は、既存のマーケティングやメディア体制から、人々に移行した。
そのころから消費者がウエッブサイトに群がり始めた。
そこでは、人々はお互いにつながりあい、自身のコンテンツの提供を始めた。
そこでの通貨は、相互依存であった。
現代では、消費者は、彼らのニーズやブランドの好みについての考え方や
写真、ビデオ、オーディオ、メッセージなどを直接、共有することができる。
消費者は、主導権を別の方法で獲得したのであった。
メディアや買い物のロングテールがどんどん長くなるように、
選択はほとんど無限になった。
コンテントのタイプとメディアとの一貫性はなくなった。
今日では、30分もののコメディ*は、もはやテレビとは同意語でなくなっている。
モバイルを含む、少なくとも3つのスクリーンでも見ることができる。
注*シチュエーションコメディ(situation comedy)はコメディのジャンルのひとつで、登場人物や場面が固定された連続もののコメディ作品やその手法を指す。しばしばシットコム(sitcom)と略される。日本で有名な作品としては『奥さまは魔女』や『フルハウス』、『フレンズ』など。
書籍は、キンドルのような携帯できる電子機器で見ることができる。
これは、書籍の広告の可能性を生みだしている。
マーケティングやメディア体制ではなく、人々が主導権を握っているのである。
人々の選択である。
CNNのニュースルームが、速報ニュースのために、
Twitterをモニターしているような世界で我々は暮らしているのである。
2006年に、タイム誌は、変化の予兆を表していた。
タイム誌の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」は、「あなた」(消費者、人間、人類)であった。
2006年を違ったレンズで見ると、異なったストーリーが見えてくるだろう。
かつてなかった規模でのコミュニティやコラボレーションについてである。
無限の知識の宝庫であるウイキペディアや、百万チャネルをもつ
人々のネットワークであるYouTube、
オンライン・メトロポリスであるMySpaceなどである。
少数者による変化のパワーや、相互扶助など、単に世界を変えるだけでなく、
世界を変える方法自体を変えてしまうということである。
これらはほんの始まりに過ぎなかったことを我々は現在、理解している。。。
(後半に続く)
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2010年4月18日日曜日
今週からDigital Consumer Planner's Blogは、毎週木曜日の午前中に更新になりました。
●姉妹ブログ『みんなのMR.COM』と同時に、月曜日に更新されると、
読む方が大変との読者の方のご意見を参考にして、
今週からDigital Consumer Planner's Blogは、毎週木曜日の午前中に更新になりました。
(こちらも助かります。。。)
●今週は、『リスニング・マーケティング: Social Media時代の新しい消費者調査 (第11回)』で、
ARFのThe ARF Listening Playbookの
「第5章 リスニングとリサーチの変革」の紹介です。
リスニング・マーケティングにより、リサーチがどのように変わるかを論じています。
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●今週は、『リスニング・マーケティング: Social Media時代の新しい消費者調査 (第11回)』で、
ARFのThe ARF Listening Playbookの
「第5章 リスニングとリサーチの変革」の紹介です。
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2010年4月12日月曜日
リスニング・マーケティング: Social Media時代の新しい消費者調査 (第10回)
●今回は、ARFのThe ARF Listening Playbookの
「第4章 最先端: リスニング・マーケティングと、メディア戦略、組織デザイン」の
最後の第7節の紹介です。
1.会話量シェアと市場シェア
2.結果の予測
3.会話の貨幣的価値
4.注意事項: 販売の予測におけるセンチメント(好意度)の役割と、データの品質
5.リスニングによるメディア・リサーチ、視聴者ターゲティング、プラニング、広告テスト
6.組織デザインと展開
7.リスニングの可能性
**********************
7.リスニングの可能性
経済史における新たなインフラの適用や変革についての短い教訓を紹介して
本章を終えることにする。
現在では想像しづらいだろうが、1880年以前の工場の機械には、
モーターが装備されていなかった。
動力は、天井からつるされたシャフトによって回転する運転ベルトで
生み出されていた。
天井を見上げると、うるさくて油まみれの回転するパイプと、
吊るされた皮の輪を見ることができた。
当時の工場では、動力源を生み出す必要性によって生産は調整されていた。
そして、工場は動力を機械に分配、伝達していた。
動力が中断したりベルトが壊れると修理が行われるまで、オペレーションは中断した。
電化によって、これは一変した。
1880年から1930年にかけて、電力発電と電力モーターが登場した。
このことは、工場の機械が個別に動力を得て駆動することを意味した。
これは重要な意味を持っていた。
というのは、電力がもたらす新たなインフラによって、
ビジネスの再構築が起こるだろうと、経営者たちが気づいたからである。
彼らの焦点は、仕事の再編や全体的効率の向上といったこれまでの
主な関心事から離れて行った。
コスト削減は利益につながるけれども、最優先課題ではなくなった。
過去30年間、ビジネスの世界では「工場における数々のイノベーションと
より柔軟な生産方法」が開発されてきた。
それによって、よりよい方法で市場のニーズを満たすことが可能になった。(Devine1983)
ここでの「電化」を「デジタルインフラ」に、
また「シャフトやベルト」を「伝統的リサーチ」に、
「設計や生産における数々のイノベーション」を「リスニング」に
置き換えて考えたならば、
我々が得た教訓、すなわちリスニングの可能性は明らかになる。
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「第4章 最先端: リスニング・マーケティングと、メディア戦略、組織デザイン」の
最後の第7節の紹介です。
1.会話量シェアと市場シェア
2.結果の予測
3.会話の貨幣的価値
4.注意事項: 販売の予測におけるセンチメント(好意度)の役割と、データの品質
5.リスニングによるメディア・リサーチ、視聴者ターゲティング、プラニング、広告テスト
6.組織デザインと展開
7.リスニングの可能性
**********************
7.リスニングの可能性
経済史における新たなインフラの適用や変革についての短い教訓を紹介して
本章を終えることにする。
現在では想像しづらいだろうが、1880年以前の工場の機械には、
モーターが装備されていなかった。
動力は、天井からつるされたシャフトによって回転する運転ベルトで
生み出されていた。
天井を見上げると、うるさくて油まみれの回転するパイプと、
吊るされた皮の輪を見ることができた。
当時の工場では、動力源を生み出す必要性によって生産は調整されていた。
そして、工場は動力を機械に分配、伝達していた。
動力が中断したりベルトが壊れると修理が行われるまで、オペレーションは中断した。
電化によって、これは一変した。
1880年から1930年にかけて、電力発電と電力モーターが登場した。
このことは、工場の機械が個別に動力を得て駆動することを意味した。
これは重要な意味を持っていた。
というのは、電力がもたらす新たなインフラによって、
ビジネスの再構築が起こるだろうと、経営者たちが気づいたからである。
彼らの焦点は、仕事の再編や全体的効率の向上といったこれまでの
主な関心事から離れて行った。
コスト削減は利益につながるけれども、最優先課題ではなくなった。
過去30年間、ビジネスの世界では「工場における数々のイノベーションと
より柔軟な生産方法」が開発されてきた。
それによって、よりよい方法で市場のニーズを満たすことが可能になった。(Devine1983)
ここでの「電化」を「デジタルインフラ」に、
また「シャフトやベルト」を「伝統的リサーチ」に、
「設計や生産における数々のイノベーション」を「リスニング」に
置き換えて考えたならば、
我々が得た教訓、すなわちリスニングの可能性は明らかになる。
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2010年4月5日月曜日
リスニング・マーケティング: Social Media時代の新しい消費者調査 (第9回)
●今回は、ARFのThe ARF Listening Playbookの
「第4章 最先端: リスニング・マーケティングと、メディア戦略、組織デザイン」の
第6節の紹介です。
1.会話量シェアと市場シェア
2.結果の予測
3.会話の貨幣的価値
4.注意事項: 販売の予測におけるセンチメント(好意度)の役割と、データの品質
5.リスニングによるメディア・リサーチ、視聴者ターゲティング、プラニング、広告テスト
6.組織デザインと展開
7.リスニングの可能性
が続きます。
**********************
6.組織デザインと展開
リスニングによって、顧客の声がブランドに届けられるので、
組織は、顧客の声やインサイトの共有を助けたり、計画を立案したり、
人々やブランドが利益を得るような方法で対応するような関係性や
構造を構築する必要がある。
恐らくリスニング導入の初期段階の状況を反映して、
本書のためにインタビューを行った人々、
すなわち、広告主や代理店、メディア会社の活動的なリスナーの人々は、
彼らやそのクライアントが、インサイトを活用したり、
それに基づいて行動するようには適切に組織化されていないことを認めている。
このことは、2009年の11月に行われたARFの産業界リーダー・フォーラムで
確認された。
そこでは、リスニングが、トップ・マネジメントの関与や、
新たな組織構造、プロセスや継続性が必要な新たな業務方法であるというよりも、
多くの場合、これまでと同じ方法でプロジェクトを遂行する方法として
考えられていることに気づいた。
しかし、レゴのような会社も存在している。
以下はレゴ社のお話である。
(1)リスニングを中心に組織を再編したレゴ社
レゴ社は、電子ゲームやインターネット・ゲーム市場での
厳しい競争によるプレシャーにさらされている。
レゴ社は、フォーラムやブランドの支持層に対するリスニングによって、
熱狂的なコアな顧客層が存在することを発見した。
フォーラムごとに示された彼らの集合知や熱意、判断は、
企業内部にいる人間以上のものであった。
経営層は、ビジネスのすべての局面を再検討し、
消費者参加を制度化することを行った。
その結果、レゴ社は、平等な権限をもつ4つのラインからなる組織に再編された。
それらは、コミュニティ教育・指示部門や、管理部門、サプラインチェーン部門、
営業/マーケティング部門の4つである。
レゴ社の組織再生はおそらく例外的なケースであるけれども、
リスニングに真剣に取り組むことは、単にそれを既存の部門や機能、
プロセスに付加したり、通常のビジネスを行う以上のことである事実を
レゴ社の例は物語っている。
注目すべき分野は、適切なスキルと情熱をもち、人々について学ぶことに
献身的であるスタッフのリスニング組織への配置である。
リスニングには、リサーチを行ったり、概念化や分析、コミュニケーションの
新たなスキルが必要である。
それはプロジェクトのデザインを行ったり、技術的に実行するためのスキルである。
それには、正しい情報を発見するための探索方法を創造したり、
非常に大量のデータの分析を行ったりすることが含まれる。
2009年10月のARFの産業界リーダー・フォーラムの時に、
今後リスニングを採用していこうとしている企業は、このことを理解したようである。
技術面を超えた異なった視点を持つことが必要である。
例えば、Crispin Porter + Boguskyといった成功した広告会社には、
文化人類学者やジャーナリストその他のスタッフがいて、意味を解読したり、
ストーリーを語ったり、クロス・カルチャー的に働いたりして、行動のための
リスニングに基づいた戦略やプログラムを展開している。
経験豊富なリスナーは、継続的にリスニングを行うことによって、
消費者がどこにいて、どこに向かっているのかや、どのように協調してゆくか
といった感覚を発達させている。
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「第4章 最先端: リスニング・マーケティングと、メディア戦略、組織デザイン」の
第6節の紹介です。
1.会話量シェアと市場シェア
2.結果の予測
3.会話の貨幣的価値
4.注意事項: 販売の予測におけるセンチメント(好意度)の役割と、データの品質
5.リスニングによるメディア・リサーチ、視聴者ターゲティング、プラニング、広告テスト
6.組織デザインと展開
7.リスニングの可能性
が続きます。
**********************
6.組織デザインと展開
リスニングによって、顧客の声がブランドに届けられるので、
組織は、顧客の声やインサイトの共有を助けたり、計画を立案したり、
人々やブランドが利益を得るような方法で対応するような関係性や
構造を構築する必要がある。
恐らくリスニング導入の初期段階の状況を反映して、
本書のためにインタビューを行った人々、
すなわち、広告主や代理店、メディア会社の活動的なリスナーの人々は、
彼らやそのクライアントが、インサイトを活用したり、
それに基づいて行動するようには適切に組織化されていないことを認めている。
このことは、2009年の11月に行われたARFの産業界リーダー・フォーラムで
確認された。
そこでは、リスニングが、トップ・マネジメントの関与や、
新たな組織構造、プロセスや継続性が必要な新たな業務方法であるというよりも、
多くの場合、これまでと同じ方法でプロジェクトを遂行する方法として
考えられていることに気づいた。
しかし、レゴのような会社も存在している。
以下はレゴ社のお話である。
(1)リスニングを中心に組織を再編したレゴ社
レゴ社は、電子ゲームやインターネット・ゲーム市場での
厳しい競争によるプレシャーにさらされている。
レゴ社は、フォーラムやブランドの支持層に対するリスニングによって、
熱狂的なコアな顧客層が存在することを発見した。
フォーラムごとに示された彼らの集合知や熱意、判断は、
企業内部にいる人間以上のものであった。
経営層は、ビジネスのすべての局面を再検討し、
消費者参加を制度化することを行った。
その結果、レゴ社は、平等な権限をもつ4つのラインからなる組織に再編された。
それらは、コミュニティ教育・指示部門や、管理部門、サプラインチェーン部門、
営業/マーケティング部門の4つである。
レゴ社の組織再生はおそらく例外的なケースであるけれども、
リスニングに真剣に取り組むことは、単にそれを既存の部門や機能、
プロセスに付加したり、通常のビジネスを行う以上のことである事実を
レゴ社の例は物語っている。
注目すべき分野は、適切なスキルと情熱をもち、人々について学ぶことに
献身的であるスタッフのリスニング組織への配置である。
リスニングには、リサーチを行ったり、概念化や分析、コミュニケーションの
新たなスキルが必要である。
それはプロジェクトのデザインを行ったり、技術的に実行するためのスキルである。
それには、正しい情報を発見するための探索方法を創造したり、
非常に大量のデータの分析を行ったりすることが含まれる。
2009年10月のARFの産業界リーダー・フォーラムの時に、
今後リスニングを採用していこうとしている企業は、このことを理解したようである。
技術面を超えた異なった視点を持つことが必要である。
例えば、Crispin Porter + Boguskyといった成功した広告会社には、
文化人類学者やジャーナリストその他のスタッフがいて、意味を解読したり、
ストーリーを語ったり、クロス・カルチャー的に働いたりして、行動のための
リスニングに基づいた戦略やプログラムを展開している。
経験豊富なリスナーは、継続的にリスニングを行うことによって、
消費者がどこにいて、どこに向かっているのかや、どのように協調してゆくか
といった感覚を発達させている。
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