2011年2月21日月曜日

今週と次週のブログ投稿は、著者が海外出張のためお休みです。ご了承下さい。

2011年2月14日月曜日

ブランド・リスニング(傾聴)事例の紹介 (8) ブランド再構築とリポジショニング ③

<第49回>




Steve Rappaport The ARF Listening Playbook


リスニング・マーケティング:Social Media時代の新しい消費者調査 の第41回目です。


「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第15回目です。


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重要な問題にブランドを関連づける:
ダブ・キャンペーン:リアル・ビューティの事例

2004年に導入されたDoveのReal Beautyキャンペーンは、最もよく知られたリスニングのサクセス・ストーリーの1つである。


女性と美や、美の定義、美への満足度のレベル、美の自尊心への影響、マス・メディアやポップカルチャーの美に対する見解の関係性を実証した国際調査によって開発された非常に機敏なリサーチ・インサイトに、キャンペーンのルーツが存在する。


たった2%の女性しか、自分が美しいと思っていないというキー・インサイトが、キャンペーンのミッションを提供した。


それは、今日の美に対するステレオタイプ的な見方を拡大し、自分をもっとケアするように女性を勇気づけることによって、より多くの女性が、どこにいても、美しいと毎日と実感するように。


あらゆる姿の女性のイメージとして有名なキャンペーンは、強く問題に焦点をあて、女性がDove Campaign for Real Beautyのウエッブサイトや、Facebookグループで、議論や討論をするように刺激することに専念した。


ソーシャル・メディアによって、彼女らがコメントを行ったり、他の女性やDoveの専門家、ブランドの伝道者と関わることを可能にした。


キャンペーンが、新しいリスニング・リサーチによって展開されたということは、あまり知られていない。


2004年の“The Real Truth about Beauty: A Global Report”という最初のレポート以来、その後の研究は、全体像をよりつかむために、異なった視点から研究を行っている。


2005年に出された”Beyond Stereotypes: Rebuilding the Foundation of Beauty Beliefs”の研究は、10カ国の自尊心の研究を行った。少女や女性の圧倒的多数は、彼女自身について何かを変えたいと思っているが、3分の2はその社会状況から回避しようとしている。


2006年に出された“Beauty Comes of Age”は、9カ国の50歳以上の女性に、美と年令について調べた。それによると、ほとんどの女性が、彼女らの容姿、特に体型に対して、社会の目は好意的でないと感じている。


2008年の“Real Girls, Real Pressure: A National Report on the State of Self-Esteem”のレポートでは、8歳から17歳の少女の自尊心について研究を行った。70%の少女が、彼女らの顔や、学校での勉強、友人や家族との人間関係において、満足する基準に達していないと感じている。


最近のDoveの改革キャンペーンは、自尊心の問題に焦点を当てている。


研究のために、Doveは、Dove Self-Esttem Fundを設立した。そこでは、少女専用の自尊心ゾーンをサイトに付加し、理解や改善、肯定的な自尊心を促進するための内容や経験を提供している。


Dove Campaign for Real BeautyはDove.comのマイクロ・サイトである。


Dove.comは製品のサイトである一方、キャンペーンは、自尊心に関連した内容を通して、全体のサイトに影響を与えている。


Doveは、歩きまわり、語り続けた。つまり、アドバイスと広告の役割の面で女性をうまく活用した。


ビジネスの観点から見れば、キャンペーンとリスニングは、女性を共感させ、関与するイニチアティブをとった。


例えば、およそ300万近くが、Dove Self-Esteem Fundに参加し、それがブランドの業績に変換された。


2004年からの入手可能なデータは、非常に魅力的な影響を示している。


世界での売上は、会社の予想を上回り10億ドルを超えている。


今日、ユニリーバの企業サイトによれば、Doveは世界でトップのクレンジング・ブランドで、80カ国で25億ユーロ以上の売上をあげている。(ユニリーバ、2009)


Doveのキャンペーンは、ブランドの活性化と会話のリスニングの有効な事例を示している。それは、女性と少女の生活を基本的かつ根本的な方法で、究極的に改善するかもしれないという社会的パーセプションを変える会話である。


もしDaveが単にキャンペーンをマーケティングの実践として扱っていたならば、キャンペーンはこれほどまでには成功しなかったであろう。


誰もブランドの物まねを望んでいなかった。

自尊心の問題を上手に扱い、女性が彼女らの考えや、コメント、示唆を表現できるようにすることによって、Doveは、すべての参加者の個性を認識し尊重した。さらに積極的にリスニングを行い行動をとった。


結果が示しているように、間接的に選好を生みだし、販売を刺激することによって、Doveは利益を得た。


争点志向のキャンペーンを考えるブランドは、含まれるリスクを認識すべきである。


努力による成功を妨げるような挑戦が起こる。


それゆえに、反対の意見を聞き、どのように対処するかを決めることは非常に重要である。



*次回は、金融サービスの事例の紹介です。


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*このブログは毎週月曜日中に更新されます。

2011年2月7日月曜日

ブランド・リスニング(傾聴)事例の紹介 (8) ブランド再構築とリポジショニング ②

<第48回>




Steve Rappaport The ARF Listening Playbook


リスニング・マーケティング:Social Media時代の新しい消費者調査 の第40回目です。


「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第14回目です。


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コア顧客を維持する一方で、新規顧客を引きつける:Ladies’ Home Journalの事例




Better Homes and Gardens and Parentsといった他の出版物が増加している一方、MeredithのLadies’ Home Journal (LHJ)の広告収入や購読者数は減少していた。



Meredithの調査によると、ロイヤルな読者の存在にも関わらず、若い読者の満足度の要因は低下していた。



世代交代の問題に直面して、Meredith社は、長期の成長には、若い女性の声のリスニングとそれへの対応が必要であると理解した。



Meredith社のリサーチのヘッドであるBritta C. Wareは、次のように我々に語った。

現在のコアなロイヤルな顧客を満足させるか、あるいは将来の購読者を引きつけるような編集を活気づけるか、の間の綱渡りをしなければならなかった。



広告主のサポートを得るために、改善したLHJへの関心を増大させる一方で、既存の広告主を失わないように、彼らは新しい方向を打ち出す必要があった。



成功へのプレッシャーに加えて、不況の真っただ中であった。彼らの任務を終えるのに、2008年の9月から2008年の12月の3カ月があった。



新創刊号は2009年の2月に店頭に並ばなければならなかった。



以前、Meredith社のMixingBowl.comの導入のレビューをした時、我々は、Merdith社のリサーチ・サービス・グループが、参考として、Real Women Talkingのコミュニティの声を聞いていたことを学んだ。



当然、リサーチ担当は、新創刊にあたって、コミュニティを活用しようと考えた。しかし、まず最初に、Real Women Talkingが必要であると、新任の編集者を説得しなければならなかった。



組織の中で誰かによって通常使われていた場合でさえ、多くの人にとっては、馴染みのないものである。内部の顧客を説得するには、会話や気配り、証明が必要である。



リサーチ・サービスは、コミュニティの女性は、雑誌のコアでありターゲットとしている読者にマッチしていることを示した。さらにそれまでに行われた膨大なリサーチが参考になることを示した。



幸いこれらは成功した。コミュニティは、作業の中に組み込まれた。



MixingBowl.comのように、編集チームは、デザイン改訂のビジョンを開発した。それは、コミュニティでの議論やフィードバックのための小雑誌として、具体化された。



調査票が使われ、ライブ・チャットが行われた。それらは、Communispaceによて実施された。



調査票への回答によれば、見込み顧客と既存の顧客の両方が、新しいデザインに対しておおむねポジティブな反応をしめした。



チャットでは、既存顧客の反応を得ることに集中した。すなわち、編集方向やデザインを最終化するために必要なポイントについて、より詳しい説明を尋ねた。



例えば、雑誌のトーンについて、どのように感じますか。



育児にもっと大きな関心をよせるべきだと思いますか。



この最後の質問は、核心であることが証明され、社内には挑戦的なものであった。



少し前にふれた新任の編集者は、以前Meredith社の中で成功したParents雑誌の担当者であった。



彼女やデザイン・チームは「ノー」という声を率直にリスニングした。



女性達のコメントは、好意的ではなかった。育児の他の情報源を求めることに懐疑的であった。特に彼女らの子供が10代であればなおさらであった。



しかし、ある女性は、もっと「ファミリー」についての記事を読みたいという提案を行った。



その発言が、会話の流れを変えた、他の女性が、その考えに賛同し、彼女らが知りたい話の例を語った。例えば、いかに家族が課題に立ち向かい、困難を克服したかを知りたいと。



Meredithは、彼女らの声をリスニングし、その会話にしたがって行動を起こした。



Meredith社のWare氏は、次のように付け加えた。わずか一度のフィードバックによって、「彼らは、ニューデザインをテストすることが可能で、Real Women Talkingによって指導されて、それらが正しい方向に向かっていると信じている。

新しい雑誌は、若い女性を対象にすべきであり、またロイヤルな読者を引き止めるほど、ブランド・イメージにも十分一致したものであった。」



MixingBowl.comの話と同じように、広告営業チームは、強気の見積もりを提出しながら、新しいデザインに対する読者の情熱を伝えることができた。



Ware氏は次のように語っている。当初の結果によると、『デザインの改訂は、確かに成功であった。広告主は、新デザインを「よりモダンで」「より妥当であり」「より新鮮である」を評している。創刊号の2009年2月号の売上は前年比25%アップであった。』



より詳しく言えば、ビジネスは、美容といった主要なカテゴリーで成長している。経済が落ち着きを取り戻せば、成長は始まるだろうと経営層は感じている。



1つは新製品の導入であり、もう1つは古典的なブランドのリポジショニングであるMeredithの2つの事例を考えると、リサーチ・サービスは、Real Women Talkingのコミュニティを活用し、参加者への関与やガイドとなる声をリスニングする点において、一貫した統制のとれたアプローチを採用したことがわかる。



リスニングが進化するにつれて、多くの企業が、自社のブランドにあった最も良い方法を開発するだろう。


 
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