2010年5月27日木曜日

リスニング・ソリューション: リアルタイム検索

 リスニング・マーケティング:

  Social Media時代の新しい消費者調査 の第15回目です。


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1-2.リアルタイム・サーチ:ソリューション・キー



リアルタイム検索と呼ばれる新たな検索サービスは、

最近大きな人気を得ている。

リアルタイム検索のベンダー達は、社会の動向に耳を傾けて、

ソーシャル・メディア・バズやトレンドとなっている話題を理解し報告を行っている。

あるベンダーは、対応機能を付加している。

それによって、課題を適切な担当者に報告し、

直接彼らが対応することによって、ブランドが望ましい結果を生むために

全力を尽くすことができる。


リツイートやブックマーク、Facebookへの転送のような共有機能を

持つソーシャル・メディアの特徴を提供することによって、

リアルタイム検索は、人々が投稿したり、バズに影響を与えたりすることをより簡単にした。

リアルタイム検索によって、ブランドは、受・発信している個人が

どのような会話を行っているかについて、即時のインサイトを得ることができる。

分析によって、ブランドはそれに対して、どうすべきか、

あるいはどうすべきではないかについて知ることができる。



1)ソーシャル・メディアへの焦点



リアルタイム検索を行うベンダーは、人々が積極的にコメントや、

書き込み、ツイート、更新などを行うソーシャルメディアからの情報収集に集中している。

それらには、ブログ(例えばTechnorati)のような「伝統的な」ソースから、

ツイッターや、ソーシャル・ブックマーク(DiggやDelicious)、

フォト・シェアリング(Flickr)、ビデオ・シェアリング(YouTube)や

その他のソーシャル・ネットワークなどが含まれている。

リアルタイム検索の結果は、すべてが同じデータを収集するわけではないので、

さまざまである。



2)キーワード検索による特定のトピックスの選択



ベンダーは、ユーザーが個別の検索を行うことを可能にし、

多くは連続的なモニタリングを可能にする「継続的な」検索を提供している。

というのは、ユーザーが、1つあるいはそれ以上の検索用語や

フレーズを24時間、蓄積したり利用できるからである。

アドバンストサーチによって、ユーザーは、ワードや人々、

場所、日付、投稿を特定することができる。

またそれらには、ページやメディアへのリンクが付いている。

多くのリアルタイム検索エンジンは、そのホームページに

トレンドになっている話題のリストを掲載している。

それは、現在何が起こっているかを簡単に把握するのに便利である。



図35(省略)のSocialmentionは、検索用語の入力ボックスを表している。

特定のソーシャル・メディアを選択することや、特定のトレンドを追うことも可能である。



3)結果の表示とソーシャルメディアによる機能強化



多くのリアルタイム検索ベンダーの表示画面は、標準的な検索エンジンの

表示ページと良く似たものであるけれども、より進んだものである。

ベンダーは、会話や投稿、ツイートなどのリストを人気度や伝達度、

インフルエンサーのプロフィールを表すリツイートや投稿(Diggs)などの

ソーシャル・データで補完している。

次にソーシャルメディアによる機能強化の種類を見てみよう。



①結果のランキング: 通常、結果はランキングの形で表示される。



ランキングは、次の3つに分類される。

i)人気: ツイート数やリツイート数、投稿数のような活動を測定する。

ii)リアルタイム: コンテンツの流れ

iii)ブレンド: 人気度や、活動、ウエブサイトや人物の信頼度を反映したもの。

OneRiot’s “Pulse Rank”がその例である。



②フィルタリング: フィルタリング機能により、検索結果を中身

(ストーリーやコメント、写真など)や、関心領域(ライフスタイルやエンターテイメント)、

カバーする期間(1分、1時間、1日、1週間)で特定することによって、

処理できる分量にし、より扱いやすく集中しやすいようにすることができる。



③作成者: 影響者を見つける方法として、ベンダーの中には、

最も活動的な作成者のリストと、そのプロフィール・ページへのリンクを

表示するものもある。(TOPSY)



④共有や伝達: 多くのベンダーは、検索結果のリツイートや、

Facebookやその他のソーシャル・ネットワーク、ブログ、

Diggなどのソーシャル・ブックマーキングに転載する機能を提供している。

OneRiotのようなベンダーは、コンテンツが共有された回数や、

共有の時間枠、誰と共有されたなどを報告することによって、

個々の投稿やツイート、メッセージの影響度の測定を行っている。



⑤コメント: あるサービスは、ユーザーが、検索結果にコメントを

追加することを可能にしている。これはいろいろな状況で役立っている。

例えば、顧客サービス・チームのメンバーが、投稿やツイートを共有したり、

それらに意見を付け加えたい時などである。

他のサービスは、個人の投稿やツイート、メッセージが生みだした

コメントにリンクしている。



⑥態度: さまざまなソーシャルメディア・サービスは、

ユーザーが彼らの態度や視点を表すことを可能にしている。

ツイッターは、人々がツイートに賛成や反対の印をつけられるようにし、

他のサービスは、評価の点数化や好き嫌いの表示を可能にしている。



4)コラボレーションとワークフロー



共有機能は、リアルタイムでのリスニングや同僚との関与のための

非常に基本的なツールを提供するものである。

既に述べたように、特にツイッターの企業採用は、

一連のモニタリングやコラボレーション、マネジメント機能を持った

ツイッターのリスニング機能と、顧客サービスを提供したり、

顧客の声を組織に伝達するための対応機能とを組み合わせた

新しい分野を生みだしている。

CoTweetやHootsuite2.0はこのような新しい動きを表している。



5)データ統合と共有



多くのサービスは、RSSやAPIによってデータの共有が可能である。

それによって、ソーシャル・メディア上の会話のトラッキングや

分析、対応のためのインハウス・データベースや、

外部のシステムとの統合が可能になる。

Web分析会社であるOmnitureのような外部の企業は、

彼らのコアのサービスにソーシャルメディアの様々な機能を付加している。



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2010年5月20日木曜日

リスニング・ソリューション: 人々とサーチエンジンとの会話をリスニングする

◆ リスニング・マーケティング:
  Social Media時代の新しい消費者調査 の第14回目です。



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1.検索エンジンとメディア・モニタリング




検索は自発的な行動である。

人々は主に、今すぐに情報を得たり、サイトを見つけたいので検索を行う。

検索ワードは、ゴールへのアクセスであり、手段である。



検索がポピュラーになり、その探索ボリュームも大きくなった。

検索は、Eメールに続く最も人気のある活動であり、

毎日オンラインを使う約半数の人々は、検索エンジンを利用している。

GoogleやYahoo!, Bing, Ask, and AOLなどの主な検索エンジンで、

月に140万の検索が行われている。

さらに、Facebookや CraigsList and Amazonなどでの検索を含めると

210万にも達する。(Pew 2008, comScore 2009).



人々が使う検索用語は、検索エンジンによって把握され報告される。

検索がメインな活動になるにつれて、検索行動が価値ある指標になるのではないかと

リサーチャー達は思い始めた。

彼らは、広告露出と検索トラフィックとの間の相関関係を発見し、

広告の影響を推定するための新たなツールを生みだした。



検索は、人々の間の会話ではないけれども、

人々と検索エンジンとの対話であると考えることができる、

あるいは恐らくそう考えるべきである。

これは少し変わった考え方かもしれない。

しかし、人々が検索用語を入力し、結果を得て、それらを検討し、

また検索を繰り返す行動を考えた場合、

それらは声にならない会話への積極的な参加であり、

リスニングに値すると考えることができる。



リスニングの観点から、検索は、次のいくつかの理由で、

広告主やマーケターにとって価値があると言える。



検索者は、トピックによって、動機づけられ、参加する。

検索ボックスの入力されたワードは、

人々がトピックについて語る時に使う言葉を表している。

例えば、それらは、広告におけるキーワードやテーマと

考えられ選ばれるかもしれない。



検索者は、適切かどうかとか、より厳密にするために、

検索ごとにより多くの検索用語を入力する。

人々が「スキー休暇」と入力した場合、我々は人々の一般的な関心を知ることができる。

さらに、「冬休みの間のユタでのスキー休暇」と入力した場合、

ブランドのマーケティングや広告に、戦略的、戦術的に利用できる

目的地やタイミングといった考え方も知ることができる。



検索ボリュームやパターン、トレンドは検索者の関心を反映している。

それらを時系列に追跡することによって、ブランドやイベント、セレブ、

人気のあるカルチャーへの関心を理解することができる。

事例として、comScoreは、「クーポン」や「失業の恩恵」、「破産」、「差し押さえ」の点から、

不況についての検索トレンドの比較を行った。

これらの用語の上昇を見て、comScoreのCEOのGian Fulgoniは、

「オンライン活動は、アメリカ人の興味や関心事を反映するようになった」と

語った。(comScore 2009)



1-1.総合検索エンジン:ソリューション・キー



リスニングのために検索エンジンを使用する場合、

その人気度や、カバーしている情報源や、使っている人々、

彼らの価値観などが、検索エンジンごとに異なっていることを

まず理解することが重要である。

Googleは「世界中の情報を組織化する」を目指している。

他方、対照的に、Bingは、特に旅行や、ショッピング、ファイナンスの分野での

検索者の情報活用の手助けを行うことに特化している。

それゆえに、検索トレンドは、エンジンによって異なっている

このことのリスニングへの示唆は明らかである。

つまり、リスニングを行う場合、検索エンジンをよく吟味して、

使用する検索エンジンが、ニーズにあったものかどうかを確認する必要がある。



(1)トップ・リスト



人々が検索している最もポピュラーなトピクスを明らかにする

トップ・リストは、人々の心の中に何があり、

何を語ろうとしているかといったことの重要な手掛かりを与えてくれる。

主な検索エンジンの多くは、このような人気のある検索のトップ・リストを

1つ或いは2つ以上、作成している。

ある検索エンジンは、カテゴリー別に検索を分類し、

全般やエンターテイメント、ビジネスというような検索条件を付加している。

検索エンジンは、そのリストの長さー通常は最低10や、

リアルタイムから、1時間、毎日、1週間といった更新頻度もさまざまである。 



例えば、検索エンジンのAsk.comは、週間トップ10を表している。

リンクをクリックすることによって、最近の結果を得ることができる。

レポートとして最も人気のある数字のリストが、唯一の形式である必要はない。

Bingのようなエンジンは、ワード・クラウド上に人気のあるトピックの検索結果を表している。

すなわち、ワードが大きいほど、その人気度が高いことを示している。



(2)人気検索とムーバー(ライジング・サーチ)*


*Rising searchesは、検索数が伸びている関連するキーワードを表示

あるトップ・リストは、最大の検索ボリューム、つまり人気がある検索と、

多くの変化、つまり大きく上昇した検索の分類を行っている。

Yahoo! Buzzは、良い例である。



Yahoo! Buzzは、ボリュームやトレンドによってランクづけられた検索用語や

フレーズであるリーダー(Leaders)*と、必ずしも最大のボリュームではないけれども、

大きく増加した検索、すなわちムーバー(Movers)*のリストを提供している。

*Buzz leadersは、1日において最も大きなバズ・スコアをえたトピック。


*Buzz moversは、2日間において最も大きなバス・スコアの増加を示したトピック。.


リーダー/ムーバー分析は、継続的な関心は何であり、

現在のホットなトピックは何であるかと示してくれる。

ディクライナー(Decliners)は、人気が下降しているトピックを表す。

Yahoo!Buzzは、検索条件(フィルター)をかけることによって、

さらにきめの細かい分析を可能にしている。 

Yahoo! Buzzの検索条件は、エンターテイメントやメディア、スポーツに集中している。

その他のエンジンでは、例えば、日付や地域、

検索結果の情報源(ニュースや、Web,ブログ)を含んだ検索条件が提供されている。

主要な検索エンジン以外の専門的サイトは、トップ検索やムーバー、トレンドを報告している。

スポーツ・メディア会社であるESPNは、その1つである。



(3)トレンド



トレンドは、上昇と安定、下降する関心のパターンの設定を行う。

検索トレンドをリスニングする表示期間は、非常にさまざまである。

日刊ベース(例:AOL Hot Searches)や週刊ベース(例:Yahoo! Buzz Index, ASK IQ)から、

それ以上の長期ベース(例:ESPN, Bing xRank, Google Insights for Search)にわたっている。

リスニングにとっては、トレンドの変化を特定することによって、

ブランド・パーセプションやブランド・ヘルス、ブランド・パフォーマンスに

影響を与える消費者の関心の変化の兆候を見つけることが可能になる。



コンテキスト上にデータを置くことによって、トレンドのパターンの解釈を容易にすることができる。

図31(省略)は、「ノーベル平和賞」についてのBing’s のxRankサービスの例を表している。



(4)キーワード検索によって、特定のトピクスを選択する



多くのリストは、単に用語のランキングである。

Yahoo!buzzや、Bing xRank、Google Trends、Google Insights for Searchでは、

1つ或いは複数のキーワードを検索し、その結果を見ることによって、

ユーザーが個人的にリストを作成することができる。

複数の用語を使うことによって、関連する用語や競合する用語を比較したり、

対照させることが可能になる。

以下は、Google Trendsの例である。



(5)トレンド・コンテキスト



検索トレンドをコンテキスト(文脈)で見ることによって、

豊富で説明力のあるものになる。

つまり、折れ線がフラットや、上昇、下降している原因の理解を助けてくれる。

BingのxRankのようなサービスは、図32が示すように、

キーとなる新しいイベントを直接グラフ上に連動して表示すことによって、

コンテキストを設定することができる。

その他のAOL Hot SearchesやESPN Searchesなどは、

ジャーナリスト的な視点も提供してくれる。



(6)分析とレポート



分析やレポートのタイプによって、検索データが、

インサイトや戦略、評価といった目的にどのように利用されるかが影響を受ける。

検索サービスの内容は、簡単なリスト(例えばAOL Hot Searches)の提供から、

複数の用語を比較、グラフ化したり、情報源や、カバーする日付や地域、

カテゴリーをより精緻化したり、ニュース・コンテキストを付加するといった

ミニ的なマイニング・ツールにまで及んでいる。

Google Insights for Searchは、図34に示すように、

H1N1ウイルスの検索の時に、一連の豊富な分析能力を発揮した。 



(7)データ統合



データの価値は、企業独自のシステムや外部のアプリケーションと

組み合わされ、分析された場合に向上する。

Google Insights for Searchは、いくつかのデータ統合の形式を提供している。

例えば、スプレッドシートやデータベースに簡単に取り込めるテキスト・ファイル形式や、

例えば、ダッシュボードやWEBページへの埋め込みができるウイジェト*として

ダウンロードできる。

*デスクトップ上で特定の機能を実行するための簡易的なアプリケーションの総称


ヤフー・バズ・インデクスは、xmlフィードを提供している。


★次回は、「リアルタイム検索」についてです。

 
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2010年5月13日木曜日

リスニング・ソリューション: ソーシャル・メディア・マーケティングにおけるリスニング(傾聴)の方法

◆ リスニング・マーケティング: Social Media時代の新しい消費者調査 の第13回目です。


2月8日からご紹介してきましたARF(USの広告リサーチ財団)の

The ARF Listening Playbookの6章の半分が終了し、後半部分に入りました。


全体の概略を説明した1章、リスニングの最先端の動向を展望した第4章、

そして、リスニングがもたらすマーケティング・リサーチの変革の方向性を

検討した第5章でした。


残りの章は、リスニングのUSにおける事例を紹介した第2章、

リスニング・ソリューションを提供する企業の解説を行っている最終章である第6章。

そして、今日から取り上げますリスニング・ソリューションの説明の第3章です。


本書は、2008年に出版された当時フォレスター・リサーチのアナリストであった

シャーリーン・リーとジョシュ・バーノフの衝撃的なイノベーションの著作である


『グランズウエル: ソーシャルテクノロジーによる企業戦略』


(翔永社)


が、リサーチに提起した、

「組織内の権力構造が変わる。

マーケターや開発チームの情報源となってきた市場調査部門は

脇に追いやられ、リサーチ部門であれ、マーケティング部門であれ、

傾聴を担当している部署が組織の意思決定を左右するようになる」(132頁)


問題に対してのリサーチ側の2009年末までの回答の試みです。


リスニングの理論的基礎や、リスニングの具体的な方法を初めて体系的に議論した書であり、

ソーシャル・メディア時代におけるマーケティングやリサーチに関心のある人々に

大いに参考になる著作です。


ARFは、マーケティングやリサーチの業界を巻き込んで、

いち早く、この問題に取り組み、本書を出版しました。


リスニング(傾聴)の方法として、グランズウエルでは、

①プライベートコミュニティを立ち上げる、

②ブランドモニタリングを始める(110頁)

の2つの方法が示されていましたが、その後のUSでの展開を踏まえて、

リスニング・ソリューションを次の6つに分類しています。


1)検索エンジンとメディア・モニタリングSearch Engines and Media Monitoring


2)テキスト分析のためのソフトウエア・ソリューション Text Analysis Software Solutions

3)フルサービス・リスニング企業 Full-Service Lsitening Vendors

4)オフラインとオンラインの口コミ Offline and Online Word-of-Mouth

5)バズ会社と口コミ促進プログラム Buzz Agencies and Instigated Word of Mouth Programs

6)個別のブランド・コミュニティ Private Branded Communities


今回はそれらの概要の説明です。


ARFの考えは、

マーケティング・リサーチが、マーケティング思考の中心に「人間」(human)を置くことによって、

ビジネス戦略を鼓舞し、ビジネス成長をばく進させるための革新的ビジョンに基づき、

迅速に学ぶマーケティング組織への変革や、

イノベーションに導く「予期せぬこと」を聞くためにのソーシャル・メディアのリスニング方法

の開発を目指しています。




グランズウエルから、

・「企業は顧客の声を聞いている。そればかりか細心の注意を払い、大金を費やしている。

しかし、こうした活動は「傾聴」ではなく、「市場調査」と呼ばれる。

市場調査をすれば、特定の質問への答えを知ることはできるが、

顧客インサイトは得られない」(107頁)


・「うまくやれば、カスタム調査はどんな質問への答えも引き出せるが、

考えてもみなかった質問への答えは得られない。

そしてビジネスの世界では、考えてもみなかった問いが、

最も重要な質問かもしれない」(107頁)


・「通常のリサーチは、想定の範囲内で進む。想定外の答えがでることはまずない」(113頁)


高見 俊介、ソーシャルメディアマーケティングの最重要戦略「Listening」の本質とは「顧客の声に耳を傾ける」を本気で考えてみる(翔永社、MarkeZine)も参照。





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第3章 リスニング・ソリューション




会話をリスニングする方法の起源は、人々の発言を研究する「メディア内容分析」

に遡ることが出来る。

第2次世界大戦中から現在に至るまで、内容分析は精緻化されて、

軍事や大学、ビジネス上の課題にインサイトを提供してきた。



長い間、内容分析は、コーダーと呼ばれる訓練された人々に頼ってきた。

コーダーは、用語や人々、組織、問題、行動、関係性、感情などを

雑誌や新聞、専門誌、原稿、イメージ、

さらには、自由回答の個人的な回答から抽出してきた。

コーディング作業によって、古くは大型電子計算機、

現在では小型の処理能力の高いパソコンで行う統計分析のための

データ準備が行われた。

今日では、WEB上でのサービスを提供することによって、

クライアントがハードやソフトをもつ必要がないサービスを提供している企業もある。



従来の内容分析には、多くの時間や人手、お金が必要であった。

しかし、過去10年間における電子出版や検索、

会話型WEBの出現やその拡大によって、

分析のための膨大な量の情報入手が可能になった。

さらに、ブロガーやワードプレスのような無料あるいは低料金のブログ・サービスや、

Bazaarvoiceなどの顧客のフィードバックや評価システム、

YouTube、 Flickrなどのビデオや写真の共有、

Diggなどのソーシャル・ブックマーク、

FacebookやOrkutなどのソーシャル・ネットワーク、

Twitterなどの非常に柔軟性のあるマイクロ・ブログの登場がある。

これらによって、すべの人が、全く新しく、かつてない規模で 

ライターや出版者、プロデュサー、コメンテイター、評論家、支持者、

対話者になることが可能になった。

人々は、日々自身の意見を発信し、拡散させている。

発行されるかどうかわからない「編集者への手紙」とか、

読まれて改善につながるかどうもわからない「苦情受付部署への手紙」、

CRMシステムで復元されない発言といったものに、

発言の場がもはや限定されることはない。

また、Eメールの量や影響力も制限されない。

つまり、マーケターや広告会社は、彼らが扱っている商品に、

興味があったり使用している多くの人々の意見を「聞く」ことができ、

会話に「参加」したり、彼らの声に従って「行動」することが可能であることを意味している。



このような驚異的な発展によって、リスニング・アプローチや、

検索用語分析、テキスト分析ソフト、フルサービス・プラトフォーム企業、

コミュニティの運営、オンラインとオフラインでの口コミ研究などの隆盛がもたらされた。 

これらは、ブランドが人々の意見をリスニングし、解釈、行動をする

手助けとなる技術やサービス、専門知識を提供してくれる。



(1)リスニング・ソリューションの分類



リスニング・ソリューションの数や、その内容の豊富さには驚かされる。

リスニング・ソリューション市場は、顧客の新たなニーズを満たすために

急激な変革を遂げている。

リスニングに大きなビジネス・チャンスを見い出した

ベンチャー・キャピタルや非公開会社によって資金援助をえた多くの企業が参入している。


我々は、リスニング・ソリューションを分類し、その特徴を整理しようと試みた。

まず、プロジェクトのタイプによって分類できるかどうかを調べた。

いずれのプロジェクトでも、どのリスニング・ソリューションも

活用することができることをわかった。

それでプロジェクト別のリスニング・ツールのマッピングはうまく行かなかった。

そこで、検討の結果、共通の特徴によって分類することにした。

すなわち、リスニング・ソリューションの「王国」を4つのグループに分類した。



①検索とモニタリング



・検索サービス

検索エンジンは、オンライン・ソースのインデックスを提供している。

検索エンジンは、検索用語のトラッキングを行い、

人気の高い検索用語とトレンドを報告している。

そのサービス内容は、簡単なリストの作成から、

テキスト・マイニング的な分析能力をもったものまでさまざまである。

あるサービスは、新しい結果が生じた時に知らせてくれる

アラート・システムまで提供している。



・リアルタイム検索

ソーシャル・メディアに特化した新しい検索エンジンは、

「ソーシャル」についてのインサイトを提供している。

それらは、情報がどのように共有されるかを説明し、

情報によって行動するためのツールを人々に提供している。

それらの多くは、アラート機能を持っている。

リアルタイム検索は、非常に関心の高い分野である。



・メディア・モニタリング

ソーシャル・メディアや通常のメディアをモニターしている。

ユーザーへの報告には、アラート・システムや、ダッシュボードを活用している。



②テキスト分析のソフト会社



テキスト分析のソフト会社は、以下の機能を遂行するための

ツールや能力をもったソフトを提供している:

・会話の収集や、処理、分析、レポーティング

・ワークフローやコラボレーション

・CRMや、外部や社内のシステムとのデータ統合



それらのサービスは、企業ごとに設定されたり、WEB上で提供されている。

多くの会社は、その両方で提供を行っている。

テキスト分析は、人気のある分野であり、特にWEB上の分析への関心が高い。



③フルサービスのリスニング・プラットフォーム提供会社



リスニング・プラットフォーム提供会社は、

オフラインとオンラインでの口コミを分析するソリューションのための技術や

サービス、コンサルテーションを行っている。

中には、リスニングを超えて、マーケティングやメディア、広告、PRの

プラニングや実施、評価をするエージェンシー的なサービスを提供する会社もある。



④個別ブランドのコミュニティ



個別ブランドのコミュニティは、ブランドの相互作用と

ソーシャル・メディアを併せた招待制によるWEBコミュニティである。

コミュニティは、コミュニティのメンバー間や、

ブランド担当者との会話を生み出すためのプログラムや活動を行っている。

アンケートを使ってフィードバック収集も行ったりしている。

以上のように、リスニング・ソリューションには、

グーグルやビングのような検索エンジンから、

会話型WEBやコミュニティに至るまで、さまざまツールが含まれている。

その処理や分析能力、サービス、システムの統合性の点でも内容はさまざまである。

どの方法を選ぶかは、組織やブランドが

リスニングを行う目的や、予算、スタッフ体制によっても変わってくる。


本章の以下では、それぞれの方法の特徴をより詳しく見て行くことにする。


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