2010年5月20日木曜日

リスニング・ソリューション: 人々とサーチエンジンとの会話をリスニングする

◆ リスニング・マーケティング:
  Social Media時代の新しい消費者調査 の第14回目です。



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1.検索エンジンとメディア・モニタリング




検索は自発的な行動である。

人々は主に、今すぐに情報を得たり、サイトを見つけたいので検索を行う。

検索ワードは、ゴールへのアクセスであり、手段である。



検索がポピュラーになり、その探索ボリュームも大きくなった。

検索は、Eメールに続く最も人気のある活動であり、

毎日オンラインを使う約半数の人々は、検索エンジンを利用している。

GoogleやYahoo!, Bing, Ask, and AOLなどの主な検索エンジンで、

月に140万の検索が行われている。

さらに、Facebookや CraigsList and Amazonなどでの検索を含めると

210万にも達する。(Pew 2008, comScore 2009).



人々が使う検索用語は、検索エンジンによって把握され報告される。

検索がメインな活動になるにつれて、検索行動が価値ある指標になるのではないかと

リサーチャー達は思い始めた。

彼らは、広告露出と検索トラフィックとの間の相関関係を発見し、

広告の影響を推定するための新たなツールを生みだした。



検索は、人々の間の会話ではないけれども、

人々と検索エンジンとの対話であると考えることができる、

あるいは恐らくそう考えるべきである。

これは少し変わった考え方かもしれない。

しかし、人々が検索用語を入力し、結果を得て、それらを検討し、

また検索を繰り返す行動を考えた場合、

それらは声にならない会話への積極的な参加であり、

リスニングに値すると考えることができる。



リスニングの観点から、検索は、次のいくつかの理由で、

広告主やマーケターにとって価値があると言える。



検索者は、トピックによって、動機づけられ、参加する。

検索ボックスの入力されたワードは、

人々がトピックについて語る時に使う言葉を表している。

例えば、それらは、広告におけるキーワードやテーマと

考えられ選ばれるかもしれない。



検索者は、適切かどうかとか、より厳密にするために、

検索ごとにより多くの検索用語を入力する。

人々が「スキー休暇」と入力した場合、我々は人々の一般的な関心を知ることができる。

さらに、「冬休みの間のユタでのスキー休暇」と入力した場合、

ブランドのマーケティングや広告に、戦略的、戦術的に利用できる

目的地やタイミングといった考え方も知ることができる。



検索ボリュームやパターン、トレンドは検索者の関心を反映している。

それらを時系列に追跡することによって、ブランドやイベント、セレブ、

人気のあるカルチャーへの関心を理解することができる。

事例として、comScoreは、「クーポン」や「失業の恩恵」、「破産」、「差し押さえ」の点から、

不況についての検索トレンドの比較を行った。

これらの用語の上昇を見て、comScoreのCEOのGian Fulgoniは、

「オンライン活動は、アメリカ人の興味や関心事を反映するようになった」と

語った。(comScore 2009)



1-1.総合検索エンジン:ソリューション・キー



リスニングのために検索エンジンを使用する場合、

その人気度や、カバーしている情報源や、使っている人々、

彼らの価値観などが、検索エンジンごとに異なっていることを

まず理解することが重要である。

Googleは「世界中の情報を組織化する」を目指している。

他方、対照的に、Bingは、特に旅行や、ショッピング、ファイナンスの分野での

検索者の情報活用の手助けを行うことに特化している。

それゆえに、検索トレンドは、エンジンによって異なっている

このことのリスニングへの示唆は明らかである。

つまり、リスニングを行う場合、検索エンジンをよく吟味して、

使用する検索エンジンが、ニーズにあったものかどうかを確認する必要がある。



(1)トップ・リスト



人々が検索している最もポピュラーなトピクスを明らかにする

トップ・リストは、人々の心の中に何があり、

何を語ろうとしているかといったことの重要な手掛かりを与えてくれる。

主な検索エンジンの多くは、このような人気のある検索のトップ・リストを

1つ或いは2つ以上、作成している。

ある検索エンジンは、カテゴリー別に検索を分類し、

全般やエンターテイメント、ビジネスというような検索条件を付加している。

検索エンジンは、そのリストの長さー通常は最低10や、

リアルタイムから、1時間、毎日、1週間といった更新頻度もさまざまである。 



例えば、検索エンジンのAsk.comは、週間トップ10を表している。

リンクをクリックすることによって、最近の結果を得ることができる。

レポートとして最も人気のある数字のリストが、唯一の形式である必要はない。

Bingのようなエンジンは、ワード・クラウド上に人気のあるトピックの検索結果を表している。

すなわち、ワードが大きいほど、その人気度が高いことを示している。



(2)人気検索とムーバー(ライジング・サーチ)*


*Rising searchesは、検索数が伸びている関連するキーワードを表示

あるトップ・リストは、最大の検索ボリューム、つまり人気がある検索と、

多くの変化、つまり大きく上昇した検索の分類を行っている。

Yahoo! Buzzは、良い例である。



Yahoo! Buzzは、ボリュームやトレンドによってランクづけられた検索用語や

フレーズであるリーダー(Leaders)*と、必ずしも最大のボリュームではないけれども、

大きく増加した検索、すなわちムーバー(Movers)*のリストを提供している。

*Buzz leadersは、1日において最も大きなバズ・スコアをえたトピック。


*Buzz moversは、2日間において最も大きなバス・スコアの増加を示したトピック。.


リーダー/ムーバー分析は、継続的な関心は何であり、

現在のホットなトピックは何であるかと示してくれる。

ディクライナー(Decliners)は、人気が下降しているトピックを表す。

Yahoo!Buzzは、検索条件(フィルター)をかけることによって、

さらにきめの細かい分析を可能にしている。 

Yahoo! Buzzの検索条件は、エンターテイメントやメディア、スポーツに集中している。

その他のエンジンでは、例えば、日付や地域、

検索結果の情報源(ニュースや、Web,ブログ)を含んだ検索条件が提供されている。

主要な検索エンジン以外の専門的サイトは、トップ検索やムーバー、トレンドを報告している。

スポーツ・メディア会社であるESPNは、その1つである。



(3)トレンド



トレンドは、上昇と安定、下降する関心のパターンの設定を行う。

検索トレンドをリスニングする表示期間は、非常にさまざまである。

日刊ベース(例:AOL Hot Searches)や週刊ベース(例:Yahoo! Buzz Index, ASK IQ)から、

それ以上の長期ベース(例:ESPN, Bing xRank, Google Insights for Search)にわたっている。

リスニングにとっては、トレンドの変化を特定することによって、

ブランド・パーセプションやブランド・ヘルス、ブランド・パフォーマンスに

影響を与える消費者の関心の変化の兆候を見つけることが可能になる。



コンテキスト上にデータを置くことによって、トレンドのパターンの解釈を容易にすることができる。

図31(省略)は、「ノーベル平和賞」についてのBing’s のxRankサービスの例を表している。



(4)キーワード検索によって、特定のトピクスを選択する



多くのリストは、単に用語のランキングである。

Yahoo!buzzや、Bing xRank、Google Trends、Google Insights for Searchでは、

1つ或いは複数のキーワードを検索し、その結果を見ることによって、

ユーザーが個人的にリストを作成することができる。

複数の用語を使うことによって、関連する用語や競合する用語を比較したり、

対照させることが可能になる。

以下は、Google Trendsの例である。



(5)トレンド・コンテキスト



検索トレンドをコンテキスト(文脈)で見ることによって、

豊富で説明力のあるものになる。

つまり、折れ線がフラットや、上昇、下降している原因の理解を助けてくれる。

BingのxRankのようなサービスは、図32が示すように、

キーとなる新しいイベントを直接グラフ上に連動して表示すことによって、

コンテキストを設定することができる。

その他のAOL Hot SearchesやESPN Searchesなどは、

ジャーナリスト的な視点も提供してくれる。



(6)分析とレポート



分析やレポートのタイプによって、検索データが、

インサイトや戦略、評価といった目的にどのように利用されるかが影響を受ける。

検索サービスの内容は、簡単なリスト(例えばAOL Hot Searches)の提供から、

複数の用語を比較、グラフ化したり、情報源や、カバーする日付や地域、

カテゴリーをより精緻化したり、ニュース・コンテキストを付加するといった

ミニ的なマイニング・ツールにまで及んでいる。

Google Insights for Searchは、図34に示すように、

H1N1ウイルスの検索の時に、一連の豊富な分析能力を発揮した。 



(7)データ統合



データの価値は、企業独自のシステムや外部のアプリケーションと

組み合わされ、分析された場合に向上する。

Google Insights for Searchは、いくつかのデータ統合の形式を提供している。

例えば、スプレッドシートやデータベースに簡単に取り込めるテキスト・ファイル形式や、

例えば、ダッシュボードやWEBページへの埋め込みができるウイジェト*として

ダウンロードできる。

*デスクトップ上で特定の機能を実行するための簡易的なアプリケーションの総称


ヤフー・バズ・インデクスは、xmlフィードを提供している。


★次回は、「リアルタイム検索」についてです。

 
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