2010年12月3日金曜日

ブランド・リスニング(傾聴)事例の紹介 (6) 販売モメンタムの維持

<第43回>

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第36回目です。

「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第9回目です。

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販売モメンタムの維持


売り上げを増加させるために、マーケターは顧客のトレンドや市場環境に適応する必要がある。


以下の映画と車の事例に示すように、リスニング・リサーチによって、ブランドは、変化を理解し、迅速に反応し、セールスを増加させ続けるためのアクションをとることができる。

バズをトラッキングし、インフルエンサーに影響を与える:映画スタジオの事例

ソーシャル・メディアの1つの帰結は、権威や影響力が、批評家やファッション編集者、その他の権威を持った人々の伝統的な主流派の声から、尊敬されるオンライン上の声や単なる人々の会話や他の人との意見の共有に移行することである。


例えば、映画界はこのことを理解し、インフルエンサーに焦点を当てたマーケティングの活動を開始している。


リスニングは、重要な役割を果たしている。


Collective Intellectというフルサービスのリスニング・ベンダーを使って、ある1つのスタジオが、配給されている映画と個々の映画のマーケティング活動を評価し、チケットの売り上げを増やすための戦術を開発するために、リスニング・データを使っている。


CEOのDon Springerによると、映画スタジオは、「より細かいインサイトと分析」を含んだカスタマイズしたレポートを要求している。


これらのレポートは、映画や俳優、観客のグループをめぐるトピックやテーマ、影響力のある作家のリストを含んでいる。


事前鑑賞や特別の内容やプロモーションのようなスペシャル・オファーを持った人々をターゲットにすることによって、スタジオは彼らに影響を与える。


リスニング分析によって、情報がいかにネットワーク間に広がるかのパターンを明らかにすることができる。


とりわけ、熱心な人々の小さなグループの協力を得ることによって、映画の公開の前に関心を盛り上げ、バズを生みだすことを目指している映画にとって、


いつ、どこで、「センシティブ」な情報が外部に漏れるかを明らかにするように分析を行うことが可能である。


そうすることによって、マーケティング・キャンペーンを順調に進め、必要であれば調整することが可能になる。


今述べたことは、本来的な「インフルエンサー」プログラムーそこでは、ブロガーが、ブランドについて書くことを選択してくれるという希望をもって、ブランドが主なブロガーに接近するーよりは、より特別な意味合いを持っている。


ここでの違いは、特定の分野でインフルエンサーである人々を明らかにし、彼らの特定のブランドに対する考え方や感情について理解するためにリスニング・ツールを用いている点である。


ある人は、映画は「宗教に対して非礼である」と思うかもしれない。またある人は、同じ映画を見て、「非常に暴力的」で、「悪い行い」であると感じるかもしれない。


1つかそれ以上の関心を共有する人々と共感し、効果のない広い範囲のメッセージを制作することを避ける、1つかそれ以上のエンゲージメント・プランを立案するためのインサイトを開発するために、これは単に映画ではなくブランドを支援するものである。

パッションを発見し、そしてメッセージを送り、関与する:MINIの事例

2005年にBMW MINIは、再導入による成功を収めた。


しかし、2006年に潜在的な厄介な問題に直面した。新製品の発売によってもたらされる新モデルがカテゴリーに1つも導入されなかったのである。


これは次に様な問題を提起した。つまり、興奮を生みだす新製品の導入なしに、Miniがいかにしてその勢いを保つことができるだろうか。


彼らは何を提供し、語ることができるだろうか。


MINIは、オンライン上のエンゲージメントを増加することと、その活動とセールスとを関連づけることに焦点を当てたソリューションを考え出すために、リスニングのフルサービスのベンダーであるMotiveQuestを使った。


その名前が示唆しているように、MotiveQuestは、消費者のモチベーションを明らかにすることに焦点を当て、オンライン上で人類学研究を行う。


彼らの最初のステップは、カテゴリー・ドライバーを抽出し比較するために、MINIと競合車についてのオンライン上の会話を分析することであった。


結果によると、ドライバーは2つのセグメントー車関係とコミュニティ関係―に分類された。


図1は、会話によるMINIに対する感情は、ユニークで競合車と差別化したものであることを示している。


MINIのオーナーは、車を白紙のキャンバスのように考え、カスタマナイズと修正を通して、彼らのパーソナリティを投影し、それをバーチャルと現実で行い共有することを楽しんでいた。


より深く分析することによって、MotiveQuestは、創造性や発見、参加、協働、ファン/プレイ、自己表現が、これらの発見を引き起こしていたと結論づけた。


以下の引用がポイントをついている。


「他の車の文化に深く関与したことがない。MINIオーナーに出会った時、友人は次のように言っていた。我々の文化は、ある意味、非常に親しく完全にMINIへの妄想であり、またある意味、非常に異なった、つまり車を超越したものである。我々は、もっと個人的レベルでお互いを知っている。」


このインサイトを前提として、MotiveQuestは、関心を高めるために連続的に予定されたメッセージ作成と、絆を構築するコミュニティ活動のための戦略と戦術を開発するために、MINIとそのエージェンシーであるButler, Stern Shine and Partnersと共に働いた。


創造的開発は、特別のメーリングや、ライブイベントを含んでいた。というのは、それぞれのMINIは、ドライバーへのメッセージを個人化するデジタルの識別チップとデジタルの掲示版を含んでいるからである。


メイリングやイベント、掲示版の影響度によって、MotiveQuestは、「オンライン・プロモーター・スコア」―オンライン上で、ブランドを他の人に進めた人々の人数を測定―を開発した。


オンライン・プロモータ・スコアは、予測的である。スコアの増減は、セールスの増減を予測するものである。


リスニングに基づく測定や分析に注意を向けた時、このスコアをより詳しく見ることにしょう


*来週は、リスニングの事例の最終セクションである「ブランド成長の動因」です。

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