2010年9月30日木曜日

ブランド・リスニング(傾聴)事例の紹介 (2) 新規顧客の発見

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<第36回>

Steve Rappaport The ARF Listening Playbook

リスニング・マーケティング:

Social Media時代の新しい消費者調査 の第29回目です。


「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第2回目です。



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2-1.新規顧客の発見




新規顧客の獲得なくして、ブランドは、その拡大や革新、利益を生む出す力は制限される。



リスニング手法は、真に革新的な方法で「顧客のゴールドを抽出する」ために使用される。



以下では、2つの事例を紹介する。



最初の事例は、ウエッブ・サーバー・ファイルから収集される行動トレンドのリスニングが、いかに新規顧客を導くためのインサイトの発見を促進するかについて述べている。



第2の事例は、カテゴリーにおける会話のリスニングと、男女の割合の変化がいかに市場の変化を示唆したかを理解することの重要性を明らかにしている。



(1)ウェッブ活動からインサイトを活用する: ヘネシー・コニャック



世界的なコニャクのリーディング・ブランドであるヘネシーは、2005年に企業ウエブサイトと、アフリカ系アメリカ人の最大のネットワークであるBlackPlanet.com間のリンクが増加しているトレンドを発見した。



詳しく調べると、ブラック・プラネットのメンバー数は、ヘネシー・サイトへの個人的なページとリンクしていたことがわかった。



さらには、ヘネシーブランドから拝借したイメージでそのページを飾っていたものもあった。



リンクする行動に含まれていたシグナルをリスニングすることによって、彼らが気づいていなかった熱い市場を偶然見つけることができた。



ヘネシーは、これらの消費者についてより詳しく知りたいという関心から、彼らの考えを理解し彼らのブランド・イメージを使うために、ブラック・プラネットのメンバーのウエッブ・ページを無作為に選んで調査を行った。さらに、リサーチのパートナーであるCRMメトリクス社を使って、彼らの態度や使用、影響力などを調べるためにオンライン調査を行った。



メンバーのページで表されていたヘネシーブランドのビジョンは、「必ずしも我々のビジョンそのものではなかったけれども、その正当性を損なうものではなかった」



「ブランドは、ブランド・マネジャー同様、その多くは消費者に属している。それゆえに、我々は偏見なしでリスニングを行う必要がある」ことを調査は示していた



別の言い方をすると、このことは、顧客との「共創」(co-creation)であり、重要なブランド・エンゲージメントのすばらしい例である。



調査結果は、これらの個人を魅力的に描いていた:

・10人中8人は、「高い価値」の消費者であった、

・彼らは、アルコール飲料の選択について周辺の人々に強い影響を与える人であった。



回答者の約半分がオピニオンリーダーであった。それは通常よりも高い割合であった。



ブラック・プラネットのメンバーの一貫した可能性のある価値を認識することによって、ヘネシーは、自社のサイトをどのように改善し、より興味深く、彼らにとって楽しいものにすることができるかを学ぶように努めた。



しかし、ヘネシーは、サイトを少し修整するだけでなく、「ヘネシーコニャックを飲む経験をより楽しくするにはどうすればよいか」についての示唆を尋ね、リスニングを行った。



インサイトを得ることによって、ヘネシーの改善は、サービス提供の中心に位置付けられた。



最初に、ヘネシーは、ページの修飾やブランド認識のための壁紙や共有のイメージを行うダウンロードの部分の強化を行った。



ブラック・プラネットのメンバーは、飲酒することやヘネシーとその他のお酒を混ぜることを楽しんでいることに気づいたので、ヘネシーは、コニャックを主な成分とするレシピを追加したり、パーティのためのヘネシーブランドのe招待状の提供を行った。



最初の対応から5年が経つけれども、ヘネシー・サイトは、ブランドによるリスニングへの継続的実施や、関係性や経験の進化を表している。



2009年には、ヘネシー「芸術的才能」イニシアティブが、音楽家や、音楽ツアー、インターネットでの音楽配信、注目のアーティストなどのスポンサーを行っている。



インサイトの要素を構築することによって、リスニングの活動は、「ミキシングのグローバル・アート」というフレーズに結晶化した。



ヘネシーはまた、フェイスブックやYouTubeにアカウントをもつことによって、ソーシャル・ネットワークの要素も追加している。





(2)新しいお客を見つけるための会話のトラッキング:電子ゲーム



誰が製品カテゴリーやブランドについて会話しているかをトラッキングすることによって、進行している会話に注目し、トレンドを特定することができる。



誰が話したかを明らかにする分析によって、声の変化は、一時的上昇や流行ではなく、長期的で構造的な違いを特定する市場の変化の初期のシグナルを提供することができる。



アンブリア(Umbria: J.D.パワーウエッブ・インテリジェンスとしてブランド化以降)は2004年7月に遡って電子ゲーム市場の研究を開始した。



その当時、会話のおよそ40%が女性によるものであった。



このインサイトは、これまでの常識を覆すものであった。



業界のマーケターが焦点を当てている若い男性をはるかに超えて、女性が重要な市場であった。



9か月後の2005年の3月に、ニールセンのゲーム・レポートは、リスニング分析を確認し承認を行った。

2009年の終わりには、M16とePollリサーチは、ゲーム産業史上初めて女性が男性よりもゲームを行っていることを発見した。(J.D. Power, 2009b; Knight, 2009).


 
 
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