<第38回>
Steve Rappaport The ARF Listening Playbook
リスニング・マーケティング:
Social Media時代の新しい消費者調査 の第31回目です。
「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第4回目です。
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2.2.3 新製品の共創:フィアットMIOプロジェクトの例
消費者相手のビジネスにおいて長い間不可欠なものであった「提案箱」は、顧客の声を企業内に運ぶものであった。多くの場合、それは弱くて小さな声であった。
Stew Leonard’s グロサリー・チェーンのようなところでは、未だに「提案箱」を出口に置いている。
ソーシャル・メディアの発展によって、それは豊富なアイディアとイノベーション工場へと変化した。
MyStarbucksIdea.comは、最も早く、かつ最も人気があるサイトとして、熱狂的なファンと共に、アイディアを共有し、議論し、投票を行い、実際のアクションを行った例である。
2009年の後半までに、約7万におよぶアイディアを集めている。
フィアトMIOプロジェクトは、ブランドがその顧客と関わる別の方法を示した例である。
自動車メーカーは、通常、顧客から「ウオント・リスト」を作成する。
調査や、グルイン、顧客パネルによって作成されたリストは、製品の改良や新しいアイディア(3つあげるとすれば、カーホルダーや社内エンターテイメント・システム、設定可能なシート)に活用される。
しかし、人々のオープン・コミュニティとの協働によって、コンセプト・カーのような重要な開発を設計することは非常に稀である。
しかし、これがフィアットが、MIOプロジェエクトでまさに行っていることである。
フィアトMIOプロジェクトは、車をパーソナルにするためのアイディアを発見することに焦点を当てている。
結果がどうであれ、フィアットは、組織的にソーシャル・メディアとリサーチ手法を活用して専門性を学習し、発展させようとしている。このことは、人々が望む要素に完全に基づいた製品を開発するためのインサイトに関与し、活用し、開発することに役立つという利点を持っている。
MIOプロジェクトは、企業として、人々をその思考と方向に導こうとする3回目の試みである。
MIOのウエブサイトにある以下のメッセージは、彼らのコミットメントを表している。
「我々は集団として、また参加意識をもって、未来を考えなければいけない。それゆえに、フィアットは、フィアットMIOプロジェクトを継続し、あなたのアイディアを現実化するために行動するだろう。それらが簡単であるか、あるいは複雑であるかということは問題ではない。すべての人は、将来がどうあるべきで、よりよくするにはどうすればよいかについてアイディアを持っている。それゆえに、あなたが参加することが不可欠である。何かを生みだすために、あなたのアイディアと、我々の力を合わせましょう。我々はあなたとともに、新しいプロジェクトを立ち上げ、新しい車や次世代のための新たな輸送手段を作りたいと願っています。」
フィアットは、ブラジルのAgenciaClickという代理店と一緒にこのプログラムを運営している。彼らは、ウエッブサイトを作り、ツイッターやその他のソーシャル・ネットワークに登場している。
なぜブラジルなのか。
1つの理由は、ブラジルがデジタルに詳しい国だからである。
2つ目の理由は、フィアットは、ブラジルで最も大きな自動車メーカーであることである。およそ25%の市場シェアを持ち、5番目に大きな広告主であるからである。
ソーシャル・メディアだけではリーチを確保できないけれども、伝統的メディアとデジタル・メディアにおけるこの革新的なプロジェクトについての話は、プロジェクト・ニュースを拡大し、認知を広げ、口コミを生みだし、参加を促進した。
「2009年の8月にスタートして2週間で、サイトには6万7,000のビジターが訪れ、1,700のアイディアを投稿し、4万を超すコメントをツイッターに書きこんだ」とアドバタイジング・エイジは報告している。
10週間後に、MIOサイトは、次の7つのカテゴリーにおいて、9,301人の参加者から6,683のアイディアを収集した。カテゴリーは、一般や、安全、デザイン、駆動力、人間工学、機械材料、娯楽情報番組が含まれる。
投稿者は、書き込んだり、写真やビデオを掲示することができる。
サイトの訪問者の投票によって、提案の人気度やアピール度をMIOが推測することができる。
重要なことは、そのアイディアは必ずしも新しいものでなくてもよいということである。ある人は、既存の競合ブランドから望まれる特徴についての情報を投稿したりする。
インスピレーションのソースがどこであれ、人々は開発のプロセスの一部であり、彼らの声が「リスニング」されていることを望んでいる。
会話やコメントが推奨されるとともに、MIOは正しくリスニングするための戦略を持っている。それによって、彼らやコミュニティは、コンセプト・カーの開発ニーズを同じタイミングで動くことができる。
特徴やデザイン、現ステージが最初である。
次に、エンジニアがデザインの提案の最初のラウンドに集中する一方、ブランドとマーケティングのアイディアが、2010年3月には望まれるだろう。
最後に、コミュニティは、車の最後の組み立てを行うに従って、企業の努力やより特定の推奨についてのフィードバックを求められるだろう。
MIOは、コミュニティに情報を伝え、参加し続けるだろう。
リスニングとエンゲージメントを繰り返すことによって、ベスト・カンパニーとコミュニティ・アイディアの選定と実行が行われる。
プロジェクトは、第1ステージであるけれども、フィアットは、望ましい車についての貴重なインサイトを得ており、彼らの既存の車のマーケティングや広告を伝える顧客の声からその手ごたえを感じている。
フィアットあるいはその他のリスニング企業は、現在入手可能な特徴の中でどれが最も魅力的で強調すべきかを学ぶことができる。
例えば、特徴への関心の地理的な分布を知ることによって、企業がその提供を地域化することを手助けすることができる。
もう1つ例を上げると、メッセージやクリエイティブは、顧客のコミュニティで明らかになった動機や願望、ベネフィットに合致するようにあわせることが可能になる。
次の事例が示しているように、リスニングによって得られたガイダンスによって、顧客とのつながる企業の力を強化し、セールスの可能性を拡大させることが可能になる。
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