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<第37回>
Steve Rappaport The ARF Listening Playbook
リスニング・マーケティング:
Social Media時代の新しい消費者調査 の第30回目です。
「第2章 ケース・スタディ:リスニングの活用」の第3回目です。
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2-2.新製品開発とイノベーション
リスニングによって、顧客中心の製品やサービスが生まれる。
対象が台所で使う新しい調味料から、新車、新しいWEBまで、成功した製品のデザインや関与度の高い顧客の創出に、リスニングは貢献するものである。
2.2.2 新製品アイディアのテスト:J&Dのベーコン・ソールトの例
ベーコン好きの2人の友人であるJustin EschとDave Lefkowは、ある時ベーコンの香りのする調味料があればすばらしいと冗談で言っていた。そして、アイディアは生れた。我々の多くは、あらゆるサービスや解決策、食品、商品の情報を多く含んだコマーシャルが組み合わされた同じような会話を行っている。
しかし、アイディアのテストや、見込み客の反応は、最悪なものであった。
アイディアは確実であるという自信と、市場からの声との間のギャップは大きなものであった。
我々は、多くの新製品の失敗率を思い出させる必要はなかった。
MySpaceのデータを使って、ベーコンの愛好家を検索したところ、35,000人以上の人々が、彼らのプロフィールの中でベーコンに触れていることを発見した。
ジャスティンとデイビッドは、ベーコン味の塩についての関心を調べるためにこれらの人々にアプローチを行った。
話題が関心に火を付け、製品が製造される前に、注文が行われた。
多くの的確なターゲットの発見とソーシャル・ネットワークのコミュニケーション・ツールによって、彼らは会話を外部に広げるバズを作り出すとができた。彼らは現在でもMySpace, Facebook, Twitter and YouTubeを利用している。
メーカーは、2007年販売を開始した第1週から、いきなり成功を収めた。
2008年には、収益が100万ドルに達した。
販売はこれまで65万個の注文があり、商品は広く流通している。
会社は一発屋ではなかった。リスニングによって、サンドイッチ用のベーコネーズやベーコン味のひまわりの種の開発を行った。
さらに会社は、ベーコンの香りがする石鹸やローション、ボディ・スプレーといったパーソナル・ケア製品の販売実験を行っている。そして、「bringing home the bacon」というフレーズに新たな意味を付加しようと試みている。
2.2.2 新製品イノベーションを構造化するフレームワークの活用:女性向けの食品の例
女性向け食品の新製品開発のプロジェクトにおいて、フルサービスのリスニング・ベンダーであるUmbria(現J. D. Power Web Intelligence)は、イノベーション・フレームワークと、女性の会話や投稿、コメントのテキスト分析と人的分析との組み合わせの活用を行った。
彼らの方法は次の3ステップを含んでいる:
1)消費者が取り組む課題と特定し、課題別の消費者のセグメント化
2)課題のドライバーとアンメット・ニーズの発見
3)それらを満たす製品の特定
アンブリア社は、女性と食品に関わる情緒的なランドスケープを調べた。
課題を4つの自己記述的なトピックに分類した。
①ミー・タイム、②体重管理、③バランスと健康、④内面からの美
アンブリア社は、新製品プロジェクトにおいて、4つの「ニーズ・ステートメント」を特定した。
①フォーカス、②活性化、③つながり、④リラックス(図3参照)
プロセスによって、同一条件での比較と日々の対照が可能な統一的な分析スキームが可能になった。
アンブリア社は、それぞれのニーズにおいて、目標や女性の活動、ポジティブやネガティブな感情、それらと関連する食品に関連したキー・コンセプトの整理を行った。
報告書は、日々の女性の関心や気持ち、好みの推移を表している。
ブランドは、製品イノベーションの可能性を評価することが可能であると報告書は結論づけている。
ミー・タイム視点から活性化ニーズをより詳しく見てみよう。
リスニング・データの要約(図4参照)から、分析者は、キーとなる戦略的インサイトを発展させた。女性のエネルギーは突然枯渇してしまう。(「その時ひらめく」)。そして、彼女たちは永続的な刺激を求める。それは、例えば、彼女らが「どんなものにも負けないという強い気持ち」を助ける良い簡便なスナックーである。
しかし、健康的な他のものがないので、彼女らは「ジャンク・フード」を食べている。
伝統的な新製品開発において、これらのインサイトは、新製品のアイディアを生みだすのに使われるだろう。開発プロセスを長くしたり、新製品を市場化するための最終的な時間を延ばすためのプログラムである。
他方、リスニングのデータの場合、例えば、Super Woman Chocolate Doseのような活性剤的なアイディアによって、時間を短縮することができる。
アンブリア社は、リスニング・データベースをマイニングすることによって、インサイトに関連した製品アイディアを探し出した。それは、ニーズに関連したインサイトからである。
十分に説明されてから、アイディアは、女性の目標や、活動、感情の適切な文脈において評価され、さらなる開発のために選定されるものである。
そのようなイノベーションのためのフレームワークは、非常に大きな価値を付加するものである。というのは、それがマーケターが、コンテキストを理解するのを助けるゆえに、思考とリサーチを構造化するからである。
基本的なフレームワークなしでは、リスニング・プロジェクトは、有効にアクションにつながることが難しい単なる「インサイト」の寄せ集めになる危険性がある。
ブランドが挑戦している課題が何であろうと、リスニングのフレームワークとプロジェクトの目的との合致が成功への鍵といえる。
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